アルゼンチンタンゴとは?
こんにちは。
ブエノスアイレス在住、タンゴライフアドバイザーのAKANEです。
「アルゼンチンタンゴを踊っています」
と言うと、ほとんどの方がどんな踊りかを想像できない、ですよね?
フラメンコやサルサと間違われることも多く、南米の…あっちの方の踊りという感じ。
そこまではおおむね間違っていません。
あともう一歩、歴史を交えながらアルゼンチンタンゴについてご紹介したいと思います。
どこで生まれた踊りなの?
南米大陸に位置しながら行き交う人も街並みもヨーロッパのような雰囲気のブエノスアイレスが発祥と言われています。
アルゼンチンの首都ブエノスアイレスは、1800年代半ばヨーロッパの戦争や貧困、飢餓から脱出し、新天地を目指す移民の人々が最初に南米大陸に降り立つ場所でした。
船から降りた船乗りたちが、退屈しのぎに踊ったとか、港町の娼婦との値段交渉として踊ったとか。
つまりは場末のバーで飲んだ勢いで踊ったものだったのでしょう。
ブエノスアイレスは、ラ・プラタ河の河口にあり、その対岸には隣国ウルグアイもあります。船が右に行くか左に行くかで到着する港が違ったため、タンゴはウルグアイにも存在し、同じように親しまれています。
さて、そんな場末の酒場の踊りだったタンゴは、1900年代に入りヨーロッパに渡り社交界で注目されます。
そこからまた逆輸入されてアルゼンチンに戻ってきた時には、場末の踊りから一般市民が楽しむものへと変化した、というのがタンゴ誕生のお話です。
2009年にアルゼンチンとウルグアイの無形文化遺産としてタンゴ文化(踊りだけでなく音楽も含む)はユネスコに登録され、今や世界中で踊られるダンスになり人々を魅了しています。
どんな踊りなの?
現在のタンゴには、サロン(ピスタ)とエセナリオ(ショー)という2種類のカテゴリがあります。このカテゴリ分けは、2002年から始まったアルゼンチンタンゴダンス世界選手権の分け方に沿っています。
タンゴをご存じの方がイメージするタンゴは、女性のスカートからチラリと見える美しい脚が印象的な、妖艶でアクロバットな踊りなのではないでしょうか。
ブエノスアイレスに点在するタンゲリアと呼ばれる観光客向けの劇場では、若いダンサー達がディナーショーでそんなタンゴを踊っています。
しかし、本来ブエノスアイレスで親しまれているサロンタンゴは、ミロンガというタンゴの社交場で踊られ、老若男女楽しめる踊りです。
タンゴは港町の場末で広がった踊りから進化して、ブエノスアイレスの市内の公民館や体育館に地元の人々が集まり踊られるようになり、タンゴを奏でる楽団は高級サロンや舞台で演奏し、1930年、1940年と2度の黄金期と呼ばれる盛り上がりを見せ、タンゴは広く市民に愛されました。
タンゴは上半身をアブラッソ(抱擁)しながら踊ります。
初めてその踊りを見る日本人はこの至近距離に怯む方も多いですが、慣れてしまえばそう気にならなくなりますのでご安心ください。
タンゴは共に踊るパートナーと歩くことを基本とした動きのため、地元のミロンガでは、80歳過ぎのおじいちゃんおばあちゃんでも踊っている姿を見かけることもできます。
ミロンガは昼間も開催していますが夜の時間が多く、朝方4時くらいまで踊ります。
途中で帰る方もいますが、盛り上がっていれば多くの人が残っていて、70代80代の方も元気に踊っています。
夜は早く寝るもの、お年寄りは早く起きるもの。
と信じてきた私には、衝撃的な時間帯に踊るご老人を拝めるのがブエノスアイレス。
そのために毎日肉を食べてワインを飲み、昼寝してタンゴを踊るのでしょう。
年齢に関係なく、自分の好きなもの、着たいものを着るアルゼンチン人。
タンゴのおしゃれも年齢を気にせず、皆さん素敵な装いで社交場のミロンガに集います。年齢を重ねても肌を出したり、短いスカートを履いたりすることもありますよ。
人の目を気にせず自分の気分が上がるものを身に付ける喜びは、年を重ねたことを忘れイキイキと暮らす秘訣かもしれません。
どこが魅力的なの?
タンゴをどう感じるかは人それぞれ。どんなタンゴが好きかによっても違います。
私が今感じるタンゴの魅力は年を重ねても踊れること。そしてアブラッソの心地よさ。
40代になって身体の不調を感じるようになって、あと何年身体が制限なく自由に動くのかな?と今まで考えなかったことを考えるようになりました。
タンゴは歩ければ踊れる、シンプルなダンスです。40代から始めても決して遅くはありません。大好きなことがこれから先もずっと続けられて、これからもダンス仲間が増えるかもしれない。年を重ねても楽しめることの大切さは、40代になって気づけた魅力です。
そしてアブラッソ。誰かと抱き合うと、身体から幸せホルモンの成分であるオキシトシンが分泌されます。精神安定の効果があり、信頼感の高まりや不安の抑制など良いことずくめ。また、一定のリズムで踊ればセロトニンが、タンゴを楽しいと感じるとドーパミンが出て、タンゴを踊ると3つの幸せホルモンが揃うのです。
悲しい時、辛い時、人生にはやり切れない時もあるけれど、このアブラッソの心地よさを感じてタンゴを踊れば、曲が終わる頃には何だかがんばれそうな気持ちになる。
私にとってタンゴは、精神安定剤の代わりかもしれません。
でもそんなタンゴをもっと美しく表現したくて、感覚を澄ませて自由に踊りたくて、苦しくなったり悩んだりもするんですけど。
それは、私がタンゴに魅了されて地球の反対側まで来てしまった理由のひとつですね。
さて、アルゼンチンタンゴがどんな踊りか、ご理解いただけたでしょうか。
もしアルゼンチンタンゴに興味を持った、もしくは前から気になっていた、という方は今が始めどき。ぜひチャレンジしてみてください。
そして、いつか本場ブエノスアイレスにお越しの際は、ぜひAKANEに声をかけてくださいね!
ここから宣伝になりますが(笑)
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詳細は「私の好きなブエノスアイレス〜ブエノスアイレスの街案内〜」に掲載しています。
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