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アカネの小説

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2019年8月の記事一覧

【連載】訪問者7(魔法仕掛けのルーナ25)

【連載】訪問者7(魔法仕掛けのルーナ25)

(このシリーズがまとまっているマガジンはこちら)

「僕はアレク・シアン。この街に住んでいる兄と連絡がつかなくなったので、様子を見にきました。でも兄の家に行くには魔法使いの杖が必要だと、そこの——ジョージさんに聞いて、知り合いの魔法使いを紹介してもらうところでした」
「? なぜ、杖が?」
「兄の家は北の森の中にあるらしいんですけど、入れなくて」
「ああ! あの森に。
 そう言えば、森でお薬を作って

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【連載】訪問者6(魔法仕掛けのルーナ24)

【連載】訪問者6(魔法仕掛けのルーナ24)

(このシリーズがまとまっているマガジンはこちら)

「ごめんなさい……」
 おずおずと言いながら姿を見せたのは、アレクと同じ年頃——二十歳そこら——と思われる女性だった。丈の長いゆったりとした白衣で首元から膝下までをすっぽり覆っている。左右に分けた赤毛のお下げ髪は、ほどくと腰まで届きそうだ。
 小柄な彼女はアレクを見上げながら、ずり落ちたメガネをそっと直した。
「所長は留守なので、ご用は伺えないの

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【連載】訪問者5(魔法仕掛けのルーナ23)

【連載】訪問者5(魔法仕掛けのルーナ23)

(このシリーズがまとまっているマガジンはこちら)

「さて、行こうか」
 ジョージが立ち上がって歩き出した。足取りには確固とした自信が感じられる。
 アレクは彼を追いながら、背中に声をかけた。
「魔法使いのいるところに向かってるんですよね?」
「そうだよ。俺とフリードの共通の友人がこの先に住んでるんだ。彼女もフリードのことを気にかけていたから、きっと君の力になってくれるはずだ。
 ……この街にいる

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