心が風邪をひくということ(2023)
2021年、東京オリンピックでアメリカの体操選手、シモーンバイルズ選手がウェルビーイングでない状態を理由に競技を棄権しました。
そのことが多くのメディアに取り上げられることで、注目されつつあったウェルビーイングという言葉の民主化がさらに進んだと感じています。
しかし、一方ではまだまだこの「心」に対する意識化は進んでいない様にも感じています。特に子どもたちには。
私たちは普段生活をしていて、わりと体の不調はわかりやすいと思います。違和感を感じた時に体温計で測って知る、顔が赤いor白い、唇が青いなど視覚でわかる、全身がだるいという感覚でわかる、あそこが痛い、ここがかゆいなど触感でわかる、、、and more
一方で心の不調は、なかなかに自他共にわかりにくい。つらさがあってもサボりと見られてしまったり、しんどさがあっても乗り越えるべきとガッツを入れられたり。。。
心と向き合う活動をしていると、表現の中に時折「心の〜」という言葉が出てきます。いろいろな心に関する言葉に触れる中で、特に次のお二人の言葉が私にとても沁み込みがよく、その後子どもたちとも使っているのでシェアしたいと思います。
■子どもアドボケイトを推進する「一般社団法人子どもの声からはじめよう」の代表である川瀬さんは、子どもとの対話の中で
「心も風邪をひくことがあるからね」
という言葉で、子どものモヤモヤの気持ちを受け止めていると話してくださった。
「風邪」という病気未満のなんかだるいの状態が、心にもあるということ、私もこの年になるまで意識を持っていなかった。
心がかかる(罹る)のは、いわゆる鬱病などの「病気」とどこかで決めつけていた。でもよく考えれば、病気になるまでに前段があるはず。ちなみに心の風邪という表現は、早速我が子にも使っています。子どもたち自らの口からもそのうち出てくる様になるといいなーと思っています。
■オープンダイアログを推進する、森川すいめいさんは、先日、ダイアログを始める前に
「心も準備体操をしないとケガしますからね」
と、言って対話への導入としてのチェックインや自己紹介をとても丁寧に進めて下さった。そのため、私も気持ちがおいていかれることなく、1日を通してとても心地よくいられる場となった。
今年度私は何度か仕事を休んだり遅刻をしたりしたが、その多くが体の不調ではなく、子どもたちや自分の心の乱れだった様に感じる。
熱はないし、若干体のだるさは感じるけど、特に不調はない。それでも多分今日は休養が必要。または、今日はこどもたちとの時間が必要、サインがあれば対話もしようと直感で感じたことによるものだった。
幸いにも、職場はそのことを理解してくれ有り難かった。説明する際に、言葉の使い方も難しいですが、気持ちが崩れてしまい..という様な表現をしていたことが多かったと思います。
「心が風邪をひきまして」という言葉がもっと一般化していくといいな。
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