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おすそわけ日記 290「寝る前に聞いてはいけない 母さんの昔噺」

寝る前に母が昔噺を語り出した。

「昔々、あるところにお婆さんがいました」

お婆さんオンリー、ウチと同じだ。

「川に行くと、大好きな桃が流れてきました」

桃大好きなの、私じゃん。

「大きな桃から、『ポーン!』と」

母さん、勢いよすぎて、大口開いてるぞ。

「あかね太郎が出てきました」

待って。太郎を残して、桃を削る意味。
そこは、桃あかねじゃないの?

「桃あかねです!」

修正案が採用されて、一安心。
じゃあ、私は布団に入って、漫画の続き読むからね。

漫画に集中していると、母の語りが聞こえてくる。

「桃あかねは、月に帰って行きました」

何気なく聞き流していたが、頭の中で母の言葉がリフレイン。

いやいやいやいや。その桃、月から流れてきたの!?
大気圏突破して!?

話が壮大と言おうか、桃が頑丈と言おうか。

それも、月から遠路はるばるやってきて、何もしないで直帰。

ツッコミとハテナマークで頭の中がいっぱいになる。

眠いのに、眠かったのに、寝れないじゃん。

語り終えて満足そうに「おやすみなさい」と寝室に引っ込む母の背に、思わず、「夜鍋して、隣の部屋でハタでも織ってろ」と叫んでしまう私であった。




【#つづく日々に】のタグをつけて、日常で心ときめいたことを投稿中。日常のよろこびをみんなでシェアしあって、笑顔が増えたら嬉しいです。

【#好きなことを練習している人と繋がりたい】タグも作って「うまくて面白い作品」を作る練習をしています。同じく練習中の方と繋がって、作品作りを楽しみたいです。

今日もおつきあい頂いて、ありがとうございます。

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大橋 あかね
毎日、書く歓びを感じていたい、書き続ける自分を信じていたいと願っています。