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日本いい橋探訪その3:水没プレイn回目の潜水橋編。
橋としての常識が覆される潜水橋について、お話しします。
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日本国内のいい橋を巡りつつ、なんとなくその名称を覚えようとするこのシリーズ。
第3回となります今回は、なんと「あの」潜水橋をご紹介いたします!
長閑な田舎を逍遥しているとふらりと遭遇する、あの橋。
単純で味気のない見た目ながら、その素朴さこそが芸術性を高めている、あの橋です。
そんな潜水橋の魅力をお伝えします。
お前らを芸術品に仕立てや・・・仕立てあげてやんだよ
お前らをげいじゅつし・・・品にしたんだよ!
お前らを芸術品にしてやるよ(妥協)
潜水橋の定義
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さてまずは、潜水橋とは何か。
辞書的な定義によると、堤外地に設けられる橋で、多くは欄干を欠き、洪水時には橋面が水面下に没する橋のこと。
ふだん水が流れている高さの場所(低水敷)に架橋され、床板も河川敷の土地と同じ程度の高さとなります。
すなわち、低水位の状態では橋としての機能を全うするものの、増水時には水面下に沈み流出を防ぐ、あるいは流されてしまう程度の設計で架けてしまうという、実に潔い設計となっています。
呼称については地域差があるようで、リバーフロント研究所の資料をまとめると、以下の通り。
潜水橋(せんすいきょう):全国、行政上ではこちら
潜り橋(もぐりばし):全国
冠水橋(かんすいきょう):関東 ex). 荒川
地獄橋(じごくばし):関東 ex). 久慈川
沈下橋(ちんかばし、ちんかきょう):高知県 ex). 四万十川
潜没橋(せんぼつきょう):京都府
流れ橋(ながればし):岡山県 ex).旭川
沈み橋(しずみばし):九州
親水橋(しんすいきょう):近年各地でみられる
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ふつうこれらは長期間での付け替えを想定する永久橋。
感覚的には、やはり「潜水橋」が最もメジャーに思えます。
また、潜水橋と対になる概念として、一般的な橋である永久橋は、川の増水時にも沈まず、長期間にわたって付け替えの必要のない橋を云う。
毎年のように氾濫し恐ろしい被害を与えてくる暴れ川を前に、いちいち堅牢な橋を立て替えて真っ向勝負するよりは、コストの安い潜水橋を立てて川の水と時の流れに天運を委ねよう…
そういった生活の知恵ですね!
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しかしその定義で考えると、車の通行を前提にしたコンクリート製の潜水橋は、永久橋という点で、本来の潜水橋とは云えない気がするのですが…
欄干の無い桁橋との違いもわからないですし…
どうなんですかね?(無知)
徳島県・善入寺島の例
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というわけで、潜水橋がどのように沈むのかを確認しに来ました。
ここ四国は潜水橋の聖地であり、長閑な自然の風景に溶け込むように潜水橋が点在。
そして、今回訪れた川は、四国どころか日本を代表する暴れ川・吉野川。
この四国三郎、急な河川勾配、降った雨が短時間で流出、川幅を広げた下流で越水、氾濫を生じる危険性が高いという、凄まじい河川。
吉野川の渇水時と増水時の水量の差は、同じく三大暴れ川の一角である「坂東太郎」利根川の4倍近くあり、江戸時代には隔年のペースで洪水があったそうな。
治水に相当苦労した歴史が、このバカでかい図体から垣間見えますね…
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その一方で、人びとが大河から恩恵を預かってきたこともまた事実。
広大な扇状地は土地を肥沃にし、人びとの集住に適する場を生み出します。
あるいは、徳島の特産品といえば、染料の原料となる藍。
吉野川流域で生産された藍は、その吉野川で舟に積まれて徳島藩のお膝元である港へ。
そんな河川舟運で栄えたまちのひとつが、うだつで有名な美馬市脇町。
実際にまちを歩いていると、そんな淵源なる歴史を五感で垣間見ることができ、とてもたのしかった(小並感)
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さて現在、吉野川には8つの潜水橋が残されているとのことで、交通の便も考えるとそれなりにアクセス良好。
これ私のブログ要る?(存在証明)
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今回訪れる潜水橋は、吉野川の中州である善入寺島に架橋されているもの。日本最大の川中島である善入寺島は、現在は広大な農地の広がる無人島。
東西約6km、南北約1.2km、総面積約500haという巨大さであり、地図で見てもその巨大さは一目瞭然。
島内に阿波市市場町と吉野川市川島町の境界をもち、6本の潜水橋で対岸と接続されているのですが、それはすなわち、増水時にはこの島が完全に孤立してしまうということ。
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そのような生活事情や河川改修の面での重要性から、かつては3000人もの暮らしがあったこの地から、大正4年(1915年)に強制退去命令が実施。
100年以上もの間、吉野川上に浮かぶ広大な無人島をやっているということなのですね。
潜水橋・真の姿
さて。
いままで紹介してきた写真は、川の水位増がほぼ無い平常時のもの。
これはこれで、確かにエモエモな風景だったのでけれども…
せっかく潜水橋に来たんだから、「潜水」を見に行こうぜ!
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というわけで、台風一過に再送だ!
列島各地に甚大な被害をもたらした、2023年の台風6号と7号。
ここ徳島県でもそれなりの被害を及ぼし、これはキツイですよと感じる程度の雨と風が続いていました。
台風接近で出張が増えるよねと苦笑いしながら、たまたま出張で同地に来ることとなった私は、営業中にずぶ濡れになりまくり風で煽られまくり白目剥いて吠えまくり。
それでも、せっかく同地に来たということなので、出張後にもう1泊とって善入寺島を再訪することとしたのです。
出張にマイ折り畳み自転車を持っていくのは…やめようね!
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そんなこんなで現地です。
徳島線阿波川島駅で下車。
澄み渡った青空ですが、潺湲なる田舎の河川のイメージとはほど遠い、恐ろしく濁り切った吉野川がお出迎えしてくれます。
心なしか流速も以前来た時より早いし…
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いざいざ、件の川島潜水橋とご対面ですが…
なんだこれは… たまげたなぁ…
流木、濁流、水没。
堤防からさらに視線を下げてみると、如何にえげつない速度と水量で川が差し迫っているかを実感できます。
どう考えても通行は不可能ですね…。
これが潜水橋の真の姿、ということなのでしょう。
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西側へ移動して、善入寺島へ続く別の潜水橋がどうなっているかを確認。
こちらの学島潜水橋は、沈んではいないものの橋と水面がギリギリ擦れ違うかどうかくらいの距離に迫っていて、危ない。
川島橋については、やや流路を曲げる袋の場所であるがために水量が多く沈んでしまった、ということなのでしょう。
轟音を荒げる吉野川、この橋を実際に渡ってみると命の危機を感じるレベルでした。
間近には、それなりの交通量のある阿波麻植大橋が美しいトラス・シルエットでよく見え、そりゃあ、建築物としては永久橋の方が優秀わよね…と思ってしまう。
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阿波市側の香美潜水橋もこんな具合。
学島橋ほどではないが、やはり水位はとても高くなっており、流れも速い。
木々は根元が見えないほど水に浸かっており、尋常ならざる光景だと理解できます。
うお…すげぇ水没… マングローブかな?
おわりに
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以上、潜水橋の真髄を体験しようと頑張ってみた回でした。
割りと特殊な橋の形態であるので「わかっている」つもりでしたが、よくよく考察してみると、その深淵さが垣間見えて面白かったです。
真の姿を拝むこともできましたしね!
ただし、あぶないことはしてはいけない(至言)
しかし、潜水橋のエモさは夏に限る…
やっと… 夏が終わったんやなって…
また、観に行きましょう…。