岩石その2:そろそろ理解したい火成岩と火山編。
もう少し詳しくなりたいと思っている岩石について、お話しします。
久しぶりの岩石回です。
2020年冬アニメ「恋する小惑星」を視聴して以来、門外漢ながら地質学を修めようとなんとなく努力をしているのですが…
2024年現在、一目見るだけで「あ~、○○岩ね!」と同定できるまでには至っておらず、もう少し頑張りたいなァと思う、今日此頃であります。
そんな岩石、成り立ちから大別して①堆積岩、②火成岩、③変成岩があるのですが、前回は堆積岩について扱ったのでした。
そして今回は【②火成岩】について、語ります。
火成岩とは、マグマが冷えて固まってできる岩石。
さらに細分化すると‥‥‥
深成岩:地下の深いところでマグマがゆっくりと固まってできた岩石。結晶が成長した等粒状組織が特徴。
←花崗岩、閃緑岩、斑糲岩火山岩:地表や比較的地表に近い浅いところでマグマが急速に冷やされて固まった岩石。細かい結晶とガラスから成る石基の間に大きな結晶の斑晶が混ざる斑状組織が特徴。
←流紋岩、安山岩、玄武岩
今回も覚えるべき知識はたったこれだけです。
少ない!!!
中学生時代に、必死に暗記したのを思い出しますね!
国内のジオスポットには非常に優良な岩石展示がありますので、その展示内容を拝借しまして簡単に説明を。
原則として、火成岩は二酸化ケイ素(SiO₂)のの含有量(重量%)によって、多い順に酸性岩・中性岩・(超)塩基性岩とに分けられます。
すなわち‥‥‥
深成岩
酸性岩 → 花崗岩
中性岩 → 閃緑岩
塩基性岩 → 斑糲岩火山岩
酸性岩 → 流紋岩
中性岩 → 安山岩
塩基性岩 → 玄武岩
という分類となります。
また、SiO₂含有量が多いほど見た目は白っぽく、少ないほど黒っぽい。
そういうわけで、上記の6種類の区別が基本となるのですが‥‥‥
こういった細分化しようと思えばいくらでも細分化できるものでして、たとえば画像のアプライト、有色鉱物を含まない細粒の火成岩でして、成分的には花崗岩に近いけれど結晶はそこまで大きくない、そんな岩石。
現在でも便宜上に用いられる分類群である半深成岩に属します。
こんな具合に幾らでもあるのですが、まァでも、一気に詰め込み過ぎても覚えられませんので。
今回は基本的には上記の6種類に留めつつ、気になるテーマをピックアップしていく流れで進めていきます。
そしていつもの地質図を片手に、実例で確認していきましょう!
深成岩その①:花崗岩
花崗岩は肉眼で見えるほど鉱物の粒が粗く、白い粒(カリ長石・斜長石)に透明で黒く見える粒(石英)、そして黒雲母主体の有色鉱物が混じります。
結晶の粒はほとんど同じで揃っている印象。
全体的に白っぽく、等粒状組織がよく観察できます。
直方体のブロック状に割れる方状節理が特徴。
風化が進むと真砂土と呼ばれる砂と粘土が混ざった土になり、瀬戸内の海岸なんかでも見られます。
日本で最も多い岩石である花崗岩は、長らく建築材として用いられてきた歴史があります。
とりわけその白の美しさから、煉瓦隧道の装飾など近代建築のさまざまな場面で目にすることがあります。
写真は群馬県と長野県の難所区間を結んでいた信越本線の廃線区間、1997年廃止。
現在「アプトの道」として整備されている当地には無数の煉瓦隧道が残り、煉瓦の赤と花崗岩の白、そして大自然の中のさまざまな色彩が美しい。
深成岩その②:閃緑岩
閃緑岩は花崗岩よりも黒っぽい深成岩で、肉眼で見えるサイズの有色鉱物と白っぽい無色鉱物から成ります。
一方で花崗岩と違いカリ長石をほとんど含まず、実際に白く見える斜長石を主成分とし輝石や角閃石などを多く含みます(30%程度)。
石英が無色鉱物の5%以下しか含まれないのも特徴のひとつです。
島根県松江市の大芦石などは聞きますが、正直言って露頭ではあんまり見かけないイメージ。
というわけで、その中間である花崗閃緑岩も紹介。
花崗岩よりもカリ長石が少なく斜長石が多いです。
花崗岩に黒やピンクの有色鉱物を増やした印象で、見た目はまさに胡麻塩おにぎり。
深成岩その③:斑糲岩
斑糲岩は黒い鉱物からできた硬い岩石で、地球の地核下部を構成し大陸だけでなく海底深くにも存在します。
無色鉱物は斜長石のみ、有色鉱物の多くは単斜輝石。
肉眼でもわかるような大きな結晶の集合であり、白っぽい鉱物と黒っぽい鉱物が区別できます。
「糲」とは黒米のことで、まさに黒米のような斑点が観察できます。
斑糲岩は非常に風化に強く、角が削られずに角張った形になりがち。
周囲の浸食作用から取り残された地形を残丘と呼びますが、写真の筑波山は固い頂上部の斑糲岩が取り残され、周囲のやわらかい花崗岩が削られてできた山です。
火山岩その①:流紋岩
続いて火山岩に入ります。
流紋岩はマグマが急冷されて細かい結晶となった火山岩で、有色鉱物は少なく白や灰色が美しい。
一方、鉄分を含むと褐色になるなど見た目のバラエティも豊か。
溶岩が冷えながら移動することによってできた縞模様である流理構造が典型的に観察できますが、筋模様がないときは白っぽい磁器のような基質が見られ、石英などの斑晶体「球顆」がポツポツと含まれます。
日本三大瀑布が一角、那智の滝は熊野那智大社の御神体。
地質的には、浸食に強い流紋岩と比較的やわらかい砂岩との境界であり、自然条件があってこその信仰なのだと改めて感じさせられます。
こちらは前回出た堆積岩の分類ですが、建材としてよく知られる大谷石は流紋岩質角礫凝灰岩。
綺麗な白っぽい見た目、軽くて軟らかいため加工しやすく、加えて耐火性・防湿性に優れているという有名石材。
コチラは軽石っぽい穴が開いているので、流紋岩とは混同しないようにしましょうね!
火山岩その②:安山岩
安山岩は灰色の石基に輝石・普通角閃石などの有色鉱物、斜長石など無色鉱物から成る多くの斑晶を含む岩石。
白と黒の粒が散らばっており細かい基質が観察できます。
岩体が板のような形に割れ目をつくる板状節理が特徴。
また、石基に含まれる鉄分が酸化すると赤みを帯び、ガラス質の場合は黒っぽくなります。
環太平洋造山帯で最も一般的に見られる火山岩であり、日本列島で見られる火山の石といえばコレ。
その名前も"Andesite"、すなわち「アンデス山脈の石」を日本語風にしたものであり、こんなところにプレート運動のダイナミズムが垣間見えます。
火山岩その③:玄武岩
玄武岩は地球上で最も多く見られる岩石で、全体が黒っぽくきめ細かい。
流れやすい溶岩が元になっているためなだらかな火山や溶岩台地をつくり、しばしば規則正しい割れ目である柱状節理を形成します。
火山から流れ出た溶岩がゆっくりと冷え固まる際に収縮してできる割れ目で、六角柱や五角柱、四角柱などさまざま。
成分に磁鉄鉱が含まれ弱い磁気を帯びていて、この磁気の方向は溶岩が冷えて固まる時の地磁気の影響を受けます。
そして、玄武岩は富士山の岩石としても有名であります。
江戸では富士山信仰から富士講が発達しましたが、御神体である富士山に模した人口の山・富士塚を築く例もあり、わざわざ富士山の溶岩を持って来ているというのだから面白い。
大半が第四紀堆積物から成る関東平野で、珍しく天然?の玄武岩が観察できる場所ですね!
なお、安山岩と流紋岩の中間であるデイサイトも屡々見かける。
深成岩の花崗閃緑岩に対応するものです。
典型的な斑状組織を成し黒や白の小さな鉱物が散らばっています。
安山岩になるマグマよりも粘性が高く、噴出しても流れる速度が遅いため火口付近で固まり溶岩ドームを形成します。
火山についての微考察
おまけです。
せっかく火成岩について語ったので、火山について、なんとなく振り返ってみたいと思います。
そもそも火山とは、天体の地殻深部にあるマグマが地表あるいは水中に噴出することで形成される、特徴的な地形のこと。
気象庁によると、2024年現在の日本列島の活火山は111存在。
火山噴火予知連絡会によるその定義は、「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」のこと。
で、れいの如く成立過程やら噴火の様式やらでいろいろな名称に分類されていくわけですね。
私自身がぜんぜん理解できていないので、ここで詳しくは説明できないのですが‥‥‥
成層火山、カルデラ、溶岩円頂丘、スコリアといった単語は頻出ですので、訪問するたびに学んでいきたいところです。
あるいは火山と謂えば、なんとなく温泉を思い浮かべますが‥‥‥
沁み込んだ地下水がこれまた火山の地下にあるマグマ溜まりの熱に温められ、マグマのガス成分や熱水溶液などが混入したり、流動中に岩石の成分を溶解したりして温泉の様々な泉質が形成されるという、そんなイメージ。
こういった温泉は火山性の温泉と呼ばれ、一方で非火山性の温泉もあり、更にこれは深層地下水型と化石海水型に大別されます。
私は†温泉ソムリエ†の資格を受け継いだ正統後継者でありますので、近日中に、温泉については別記事にてまとめます。
火成岩がマグマのパワーを点で観察できるものだとすれば、火山は面で観察できるところだと言えるでしょうか。
日本全国、休火山含めさまざまな火山地形があり、また観光地化している活火山などもありますので‥‥‥
火山活動が再開して封鎖される前に、観に行きましょうね!
おわりに
以上、火成岩の振り返りでございました。
とどのつまり①堆積岩、②火成岩、③変成岩しか覚えるべき知識がなく、普段の「和風」解説や民俗学解説よりも圧倒的に考察要素は少ないはずなのですが‥‥‥
なんか難しい、難しくない‥‥‥?
私自身も素人なりに、建築や金石文なんかは、観察すればその名称が直ぐに出てくる程度には判然と区別できるのですが。
一方岩石たちは、その細やかな違いがややこしいのと、私の個人的経験が足りてないせいで、パッと名前が出てこない。
だから難しいんだなァと改めてガタイで分析。
ウーム、実践あるのみですね!!
次回予告というか、続いて学ぶべき岩石知識についての覚書。
第三の分類群、天体が生み出した神秘の結晶【②変成岩】であります。
いわゆる青石と呼ばれる綺麗な庭石なんかも該当しますので、堆積岩や火成岩よりも見た目での区別はし易い気がしますので‥‥‥
引き続き、旅行中の資料採集と観察眼磨きをやっていきたいですね!
*基本的に現地散策での情報源+コチラの書籍が出典です。
上記URLから購入しても私にマネーは入りません。
みなさん気兼ねなく読みましょう!!!
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