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えちえち小説に13フェイズ構造を取り入れた実践メモ

突然ですが、快楽堕ちする話、好きですか!?!?
私は、TL小説なら快楽に浸されるのを怖がっていたヒロインが、ヒーローにとろっとろに溶かされて、「大好き~」って言いながら相手にしがみついて、もっと欲しいとねだっているのが最高だと思っている人間です。
※これがみんなが考える「快楽堕ち」なのか、わからないけれど、私の中での定義はこれとします。

推しCPがそんな状況になる小説、読んでみたい~でも理想形は自分の中にしかない~なら書くか~(DIY精神)と、以前書き始めた時、ぶつかった壁があります。
それは、初めヒロインは拒絶していたのに、何らかのイベントを経て、最終的に受け入れる、という心理面の変化を自然に表現したい、という課題です。人間は突然拒絶していたことを受け入れるわけがないですし、基本的に緩やかな波のように感情が振れていくはずなので。

この自然な心境の変化を表現するために、「13フェイズ構造」を応用して書いてみたことがあるので、その経験を書き記したいと思います。
※あくまで私個人のやり方です。参考にしてもらえれば幸いです。


13フェイズ構造とは

このページにも書かれているように、日本発祥のプロット構造の一つです。特徴は、「主人公の成長を書くのにうってつけの構造」。

私が書きたい「初めヒロインは拒絶していたのに、何らかのイベントを経て、最終的に受け入れる、という心理面の変化」は、言い換えるとヒロインの(心の)成長とも言えます。なので、ぴったりだと思って今回使いました。

ちなみに、「千と千尋の神隠し」にも使われているんじゃないか?って言われていたり、他のアニメでも使われているのでは?とか言われてます。

一幕で、ヒロインが快楽堕ちの決意をする

一幕ではヒロインの状況説明をしながら事件を起こしました。この事件では、絶対に絶対にヒーローの術中にはまるような設定を盛り込んでおきます。
これは私が取り扱ってるヒーローが策士だから出来ると思っています。この点は、各自取り扱いヒーローに従ってアレンジしたほうがいいかなあって思ってます。

「ヒーローがヒロインを堕とすなんてしないだろ!」と思ったり、ヒーローやヒロイン起因にすると「悪者みたいに見えて嫌だ」と思う場合は、例えば、外的要因でそうせざるを得ない状況にするとかいいかもしれません。
外的要因で有名なのは「○○しないと出られない部屋」系です。あれは本当に便利な物語の装置だと思います。

今回はヒーロー起因で条件に引き入れようと思います。
ヒロインを逃げられなくするとき、私はよく心理学を使います。読み手に不自然さを感じさせずに作者がやりたい条件に引き込めるので。

例えば、心理学でいう「返報性の法則」を使うとこんな感じ。

【例】
・ヒーローに何かしてもらったヒロイン
 そのお返しをしないといけない気持ちが強まった
 または
 ヒーローにお返しをすることを約束してしまった
 …etc.

→この「お返し」として快楽堕ちを要求される

「一貫性の原理」も使えそうですね。これを使うとこんな感じかと。

【例】
・ヒロインは、ヒーローからの小さなお願いを受け入れることを繰り返しているうちに、気づいたら快楽に染まるよう迫られ、うっかり了承してしまう

こんな風に私は物語の中に心理学を取り入れるのが好きです。

そんなわけで、ヒロインを追い詰めて、快楽堕ちせざるを得ない状況の下地を作っておきます。

とはいえ、日常シーンから突然快楽堕ちの要求をされるのは、あまりに突飛すぎると感じたので、その前のシーンで予兆的なシーンを入れる構造にしました。読者への心の準備とか掴みのつもりです。
あと、ヒーローが快楽堕ちを要求する動機もここで示しておけば、後々の展開で不自然さはなくなるはずです。さりげなく組み込んでました。

ちなみにヒロインに真正面から「快楽堕ち」の要求はしていません。文中にもこの用語は出てないです。クッションとして何らかの行動の経験を経て、快楽に染まって堕ちる、という形式をとってます。

一幕最後は、ヒロインが自ら決断して問題に取り組む姿勢を出しておくところが重要かなと思います。
13フェイズ構造でも、私の大好きな「SAVE THE CATの法則」でも書くことになっている要素です。ここの手を抜くと、読んだ時の納得感が違う気がします。

一幕の構成まとめ

・冒頭で快楽堕ちを予兆させる
 目的は、掴みと読者への心の準備
 →さりげなくヒーローが快楽堕ちを要求する動機を示しておく

・事件が起きて、ヒロインが快楽堕ちをせざるを得ない状況にする
 
自然になるように気を配る
 →心理学を応用するといいかも
 →外的要因にするなら、「○○しないと出られない部屋」系は便利

・主人公が自ら決断して問題に取り組む姿勢を出しておく
 →読み手の納得感のためにも手を抜かない

二幕で、ヒロインに経験を積ませて堕とす!!

さあ、ヒロインに快楽堕ちを決意させました!!やった!!
すぐに快楽堕ちさせる……のもいいかもしれないですけれど、やっぱり葛藤してほしいんですよね。物語として面白いし。

なので、私はヒロインには乗り越えなければならない壁があることを二幕冒頭で示しておきました。
例えば、「羞恥心」「漠然とした恐怖心」「過去のトラウマ」などをセリフや行動でさりげなく示しておきます。

これによって、
壁を乗り越える=経験を積む →成長する
というのを物語を通して表現していく構造を取ることにしました。

これらを乗り越えていく過程を、13フェイズ構造で表現していきます。
簡単に言うと、2種類のトライがあると思っています。

1度目のトライ:誰かに助けてもらいながら取り組む
2度目のトライ:ヒロインが一人で取り組む

盛り上げる意味で、1度目・2度目と徐々に大きな壁にトライするような構造にしていくと、読み進めるごとに興奮が増していくと思います。
※私が書いている小説は、読者を楽しませる目的のエンタメ小説なので、ここを大事にしてます。

私は短編を書いているのでトライ回数は2回で構成しましたが、もっと長く書きたい!!って思う人は、トライ回数を増やしたりトライまでの工程を長くすることで、長編の構成を作れるのだと思います。

あと、ヒロインが1度目のトライ後、「これはいいことなんだ」と思わせるために、何らかの報酬を与えるようにも構成しました。
例えば、ヒーローから褒められるとか甘やかされるとか。
そうすることで、次の2度目のトライをやりやすい素地を作っておきました。

そして、いよいよヒロインが誰の助けも得ずに壁を乗り越え、それと同時に壁が壊れ、快楽の沼へ真っ逆さま……という構造です。

※厳密には13フェイズ構造なら3幕冒頭が「対決」なんですが、BS2の「第二ターニングポイント」として私は早めに持ってきちゃいました。だからこの記事は、13フェイズ構造の応用ってことです。この点、ご了承ください。

二幕の構成まとめ

・ヒロインに乗り越えなければならない壁を冒頭で示しておく
 →この壁を乗り越えることで成長したことを表現する

・壁を乗り越える過程に、13フェイズ構造を応用して使う
 1度目のトライ:誰かに助けてもらいながら取り組む
 2度目のトライ:ヒロインが一人で取り組む
 →ここの回数を増やしたり、トライ過程を長くすることで長編にも応用できるかも

・壁を乗り越えたあとは、報酬を与える
 →次のトライに取り組みやすくなる 

三幕で、思う存分快楽堕ちを書く

やった!!好きなだけ快楽堕ちが書けます!!作者への報酬です!!長かった!!

ここはもう、好きに書きました。
一番盛り上がるし、作者も読者も読みたかったところに違いないので、あらゆる手を尽くしてエロエロに書ききった!

ただ、私が好きで使っている「SAVE THE CATの法則」に則って、テーマを意識して書いてはいましたが。

三幕で一番苦労したことは、物語のたたみ方でした。どんな物語でもたたみ方は大切だし苦労しがちなんですけど、この話が一番苦労したかもしれません。たたみ方をプロット段階で決めてから執筆を始めたはずなのに、5パターンぐらい書き直しました。いつもと違う「快楽堕ち」という特殊なものだったからかな……。
物語の終着地点は、ぜひきっちりと決めてから取り組むことをお勧めします。

三幕の構成まとめ

・全力で快楽堕ちを書く!
 みんなが読みたかっただろう所なので、思う存分書く 
 テーマを意識して書くと、書きやすいかも

・物語のたたみ方をプロット段階で決めてから執筆する

まとめ

今回は「快楽堕ち」する話で13フェイズ構造を応用したことを書きましたが、もちろん主人公の成長であれば何でも応用できると思います。
ぜひ、主人公の成長を納得感ある構成で表現してみてください~!

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紅音
いただいたチップは、私の大好きな紅茶になり、執筆のおともにさせていただきます。