私と家と物の関係、「収納」から「適量」への変化 3
家族は増える、家の広さは変えられない
30代に入り、出産の為に産休に入った。さあ、赤ちゃんを迎える準備ができる、と思っていたのだが、私は困った。今の家は夫婦2人の荷物でいっぱいだった。
引っ越して1年が経っていたが、新たな職場、妊娠、介護が重なり、家の中に意識を向ける余裕がなかった。
産休に入れば時間が取れるから片付けられるだろう、と高を括っていたが私の思惑は見事に外れた。時間はできたが、体が思うように動かなかった。妊娠を甘く見ていた。
それでも、赤ちゃんは産まれてくる。待ったなしだ。
私は目標を立てた。ベビーベッドと赤ちゃん用品を置くスペースを確保する。
その為には、収納ではもう追いつかない。物を減らすしかない。
この時私は初めて、大切にしていた漫画を手放す覚悟を決めた。何度引越ししても手放さなかった物たちだ。20年一緒だった作品もある。
産まれてくる赤子と漫画を天秤にかけたのだが、私にとってより大切なものは明白だった。
500冊以上はあったと思う。最終的には9割型手放した。
本が無くなると、空っぽになった本棚が残った。必要がないものは処分だ。粗大ゴミはお金がかかる。ノコギリで切って燃えるゴミに出した。
本棚をどかした床はホコリだらけで、綺麗な空間だと思っていた私はがっかりだった。掃除をして改めて6畳ほどの部屋を一望すると、本棚が無くなった部屋はとても広く感じ、私はある種の開放感を得た。
好きな物に囲まれることが幸せだと思っていたけれど、存外閉塞感を感じていたのかもしれない。この時私は所持している物の量に疑問を覚えた。本当にこの量が私に必要なのか。
改めて家の中を見てみると、クローゼットや棚などは天井まで物が詰まっている上に、入りきらない物を収納する為、さらに少しの隙間に収納を増やし全てがぎゅうぎゅうに詰まっていた。
私の家、素敵じゃない。私は悲しくなった。
しかし、そこで時間切れ。
目標は達成できたが、さらに一歩を進める前に赤ちゃんが産まれた。
続く
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