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【第201回 開催レポート】「花芯」瀬戸内寂聴

開催日:2022年4月23日
課題図書:「花芯」瀬戸内寂聴

今回の読書会に参加したメンバー全員、瀬戸内寂聴さんの小説は初めて。
僧侶の印象からか抵抗があった人も表現の巧さと多くを語らず真理をついてくる文章の美しさ・繊細さに 驚いていた。

この本に収められているのは5編の短編小説。
どの作品も女性による女性の為の「性」を書いた作品だと思う。

表題作「花芯」は、親の決めた許婚と結婚するも愛を見いだせずにいる主人公の園子が夫の訳あり上司に惹かれ、夫と子どもを捨て恋に走る。
結ばれたと同時に恋は終わり、かんぺきな…しょうふ(文中で平仮名で表記されている)へとなっていく。

『かんぺきな…しょうふ』とは?
という疑問が…

文頭の「きみという女は、からだじゅうのホックが外れている感じだ」にはインパクトがある。園子はそういう女性。
しかし複数の男性と関係を持っても芯はぶれない、世間に流されず純粋に素直な自分でいられる、
だから『かんぺきな、しょうふ』になったのではないか。
と読書会を経て考察した。
読まれた皆さまはいかがでしょう?
ちなみに「花芯」は中国語で子宮の意味。

昨年99歳で亡くなられた瀬戸内寂聴さんは36歳でこの作品を発表した時『子宮作家』と酷評され5年間文学雑誌から干されている。
誰にでもある女性の心情を書いただけなのにそれ程の内容かとメンバーから意見が出た。

今から60年以上前の時代。
良妻賢母を求め、女性に貞操を押しつけていた男性中心の社会にはセンセーショナルな内容で脅威を感じたはず。
つまり男性陣はビビったのだ!
女の業を表現した先駆者の苦労。

後にこの不幸な5年間があったから、その後60年間の小説家生活が続いた大切な作品と語っている。

このレポートを書いていて、思い出すのは90歳を過ぎてからのテレビのインタビュー。
「悪口雑言を浴びせてくる人がたくさんいて、みんな死ねーー!て思ったら死んだわよ。」と大きな笑顔で屈託なく応える姿。
ニヤッとしてしまう。

今回花芯を読んで、園子の悲哀は理解できるがこんな人が身内にいたら大変だな…というのが正直な感想。
瀬戸内寂聴さんの事がミステリアスで魅力的な印象に変わったので他の小説も読んでみたい。

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