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確信犯的なマカロニウエスタン風味が堪らない「室町無頼」
あまりなじみのない室町時代を舞台にした時代劇アクション「室町無頼」をIMAXの先行上映で観てきました。東映時代劇では初のIMAX上映というこの作品、その仕上がりはいかなるものだったのか?
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物語は
応仁の乱前夜の京、大飢饉と疫病により路上には無数の死体が散乱し、無能な幕府は民から税を搾り取るばかりで、それに鬱憤をためた人々は方々で一揆の企てていた。
そんな町の警護職を預かっていたのは盗賊上がりの骨皮道賢。道賢の一党は取り締まりと称して、いろんなところで略奪をしまくり私腹を肥やしていた。
そんな中、方々で自衛する策を指南して歩いていた蓮田兵衛は、人々を苦しめる役人たちに立ち向かい、関所を焼き払っては役人が人々から巻き上げた金品を取り返し、困窮する人々に分け与えていた。
道賢と兵衛は元々盗賊同士の顔見知りで道賢はときに一揆の機運高まるところがあれば兵衛を金で雇って一揆を企てるものを鎮めさせたりしていた。
兵衛は道賢と交渉をする際にもらい受けた若者の才蔵を老師のところへ武者修行に出してひとかどの棒術使いに仕立てあげる。
その修行の最後の仕上げはお金を賭けた実戦。
棒術の使い手になった才蔵は兵衛が仕掛ける一揆に参加し…
舞台は室町でもテイストはマカロニウエスタン
東映がかなりの予算をかけて製作しているのは明らかですが、ルックと言い、音楽と言い、衣装と言い、撮影と言い、どれもこれもかなり昭和の時代劇風のB級臭さでした。
監督が衣装担当者に伝えたイメージは「マッドマックス」だったそうです。室町時代のことなんてよくわからないので自由にやっちゃえというスタンス。
全体的に一番影響を感じされるのはセルジオ・レオーネ監督とクリント・イーストウッドのドル3部作。音楽はエンリオ・モリコーネ風だし、撮影も編集もあからさまにマカロニウエスタンのテイストです。
兵衛役の大泉洋さんが演じる上で参考にしたのが「用心棒」「椿三十郎」の三船敏郎さん。レオーネが三船主演の「用心棒」をパクって、イーストウッド主演で「荒野の用心棒」を作り、マカロニウエスタンが誕生したことを思えば先祖返りのようなお話です。
あと才蔵がらみの修行シーンはジャッキー・チェンのカンフー映画を再現。修行方法は「少林寺木人拳」だし、それを指導する老師は「酔拳」風。
撮影自体はカメラがぐるぐる動いて、ルックは現代的なアクションですが、やっていることはカンフー映画の定番シーンです。
アクションシーンは全般的に昭和のテレビ時代劇風でした。萬屋錦之介の「子連れ狼」とか三船敏郎主演の「江戸の旋風」とか「木枯し紋次郎」とかあの頃の時代劇な感じでした。
撮影方法などで現代にアップコンバートした時代劇アクション映画
やっていることは入江監督が少年時代に観た好きな活劇リミックスなんだと思います。それでも古さを感じないのは、昭和の作品なら残酷をきわめた切り株描写やサービスエロを盛り込んだりしていたところをあえて再現しないクリーンな仕上がりだから。
そういうことをしないのが物足りないと昭和世代は考えますが、昭和を知らない平成生まれならちょうどいい新鮮な時代劇アクションなのかも。