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ただの感動実話だけじゃない過酷な現実も描かれる「型破りな教室」

メキシコで2011年に起きた実話をもとにした作品ということですが、過酷な現実と向き合いながら教育の本質を考えて子どもたちに向き合った教師の姿に打たれる作品でした。

物語は

2011年メキシコ、マタモロスにある小学校に6年生の半数以上が卒業を危ぶまれるなか、出産のため辞職した6年生の担任の代役にマタモロス出身の教師フアレスが赴任する。フアレスの型破りな授業を通して子どもたちは学ぶ喜びを知り、それぞれの才能を開花させていく。しかし、その教育スタイルを問題視した教育委員会は彼を休職にし、代役教師に試験勉強をさせようとする。そんなときある生徒を悲劇が襲い…

どこまでが現実なのか

エンドロールでフアレスの教育によって生徒たちが試験で驚異的な結果を残したことが語られますが、映画の中では生徒たちのそれぞれの家庭の事情が描かれます。
哲学に興味を持つある女の子は子だくさんの家の長女で子守のために来年から学校に行けないと言われ、数学で天才的な才能を見せる女の子は家がゴミ拾いをする仕事の貧困家庭でスペースキャンプを夢見ながらお金のことで断念させられ、ある少年は勉強が苦手だったけど、先生の授業のおかげで学ぶことに意欲的になるが将来は犯罪組織に入るしかない家系で育ちその運命に逆らおうとして悲劇に見舞われます。

子どもたちの過酷な現実!

日本ではありえない大きな危険

型破り教師ものはドラマなどでよくありますが、この作品ほど悲劇的な展開を迎える作品は稀有かも。
日本ならあんな大事件に小学生が巻き込まれることはなかなか考えにくいし。それはメキシコのスラムなら当たり前にあることの怖さ。そんな環境で育ち、また帰ってきて子どもたちに夢を与えようとする先生もその悲劇によりかなりのダメージを受けます。

「コーダ あいのうた」の音楽教師役のあの人が主演!

「コーダ あいのうた」の音楽教師役で注目を集めたエウヘニオ・デルベスが教師フアレス役を好演しています。
この作品は泣かせるだけじゃない厳しい現実もしっかり描いているところに好感が持てます。
主演の教師の他にもボンクラそうだけど人情家な校長先生もいい味出していました。
教育関係のボス役の人の憎々しさもなかなかのものだし、子どもたちもみなはまり役でした。
ゴミ拾いの娘ながら美少女で天才とかすごいキャラです。これが実在する人物というのも凄いです。
お正月映画としては地味ですが、たぶんこの冬、一番感情を持っていかれる作品だと思います。

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