ヒロインのおっぱいが見えるのが衝撃的だった90年代の中国映画「太陽の少年」
「鬼が来た!」などで知られるチアン・ウェンの監督デビュー作となる1994年の中国映画です。
日本公開当時に観ていますが、当時、中国映画なのにヒロインのおっぱいが見えたことが衝撃的だった作品でした。
物語は
1970年代の中国。文化大革命下の北京では青年層の若者が下放政策で農家に送られ、街は少年たちの天下だった。中学生のシャオチュンは悪友たちとつるんで悪さばかりする日々、そんな彼の前に年上の少女ミーランが現れ、彼らの心をわしづかみにする。シャオチュンはミーランに近づこうとあの手この手を考えるが祖父の死で家族ともに一時、北京を離れることになる。
しばらくして北京に帰ってくるとミーランは年上の悪友仲間のイクーと親密になっていて…
中国映画としては珍しい性春映画だった!
80年代の中国映画はチャン・イ―モウ、チェン・カイコーといった中国第五世代と言われる監督たちが注目され、彼らは下放政策で農地に送られた青年たちの土臭い重厚なドラマを描きがちで中国映画は重苦しいイメージでした。この作品は真逆で都会に残った不良少年の話だったのが新鮮でした。
90年代になると第五世代もグローバルな活躍をするようになり、映像的にもスタイリッシュなものが作られ「さらば、わが愛/覇王別姫」など世界的な評価を得る作品も生まれました。
そんな中、登場した「太陽の少年」は主人公が不良少年でヒロインにHな欲望を爆発させていました。中国映画で今までそんなに露骨に性描写を入れる作品がなかったので少年のチンコの勃起とかヒロインがおっぱい丸出しとかが出てくるこの作品の登場は衝撃的でした。
今回改めて観てみたら、子どもたちが屋外上映の「1917年のレーニン」を観ている間、大人たちが映画館で謎のおっぱい丸出しの史劇を観ているシーンがあり、中国でもそんなポルノチックな映画が密かに上映されていたことにまた驚きました。
テイストは「岸和田少年愚連隊」
この映画観て思い出したのは井筒和幸監督の「ガキ帝国」「岸和田少年愚連隊」「パッチギ」といった昭和時代を描く不良青春映画でした。
不良グループ同士の大集団の抗争が始まるかと思いきや意外な展開があるのが井筒映画とは違うけど。
それでも日々何事にも必死でまっすぐな主人公がとても魅力的な映画でした。
チアン・ウェンは今?
この作品の次に2002年に監督した「鬼が来た!」も高く評価されながらその後、監督としてはパッとせず、いつのまにか普通に俳優に戻っているのが残念です。でもハリウッドで「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」に出演しているところを観るとやっぱり本業の俳優もすごい人なのかも。