ファッションデザイナーの監督が描く熟女シングルマザーの叫び「山逢いのホテルで」
ファッションデザイナーとして活躍するマキシム・ラッパズが監督&脚本を担当したドラマ「山逢いのホテルで」は、珍しく熟女の性を描く人間ドラマでした。
物語は
毎週火曜日になると山合にある観光ホテルへ行き、男あさりをするクローディーヌ。毎週、見ず知らずの男と後腐れの無いセックスをエンジョイする彼女はアルプスをのぞむ小さな町で障害を持つ息子を一人で育てながら仕立て屋をして生計を立てているしがないシングルマザーだった。
同じ男性とは2度会わないつもりだった彼女がたまたま同世代のシングル男性ミヒャエルと再会しまた身体を重ねてしまったことから、人生を考えなおすことになり…
ジャンヌ・バリバール演じるヒロインが痛切
普段仕立て屋として仕事しながら息子の面倒をみる良き母であるクローディーヌとホテルで男性を品定めし近づき、すぐさまベッドを共にするセックスに対する欲求が強すぎる熟女としてのクロ―ディーヌの二面性を56歳のジャンヌ・バリバールが身体を張って演じている姿に気迫を感じます。
なかなかこんな熟女の濃厚なベッドシーンを最近は見ないのでインパクトも半端ないです。
それが冒頭にあるのでそういう官能映画を期待して観始めると彼女のプライベートの姿が描かれ、その日常のストレスから解放されるため、彼女には濃厚なセックスが必要なのかと納得させられます。
セックスも部屋の中だけでなく、ダムの上で愛撫されたりするシーンもあり、なかなかの迫力です。
監督は意外に若くて…
マキシム・ラッパズという未知なる監督のことを調べても1986年生まれと熟女の性を描く監督にしては意外に若くてびっくりでした。
ファッションデザイナーという肩書とは程遠いストーリーラインですが、ヒロインが仕立て屋さんという部分に監督のファッションデザイナーとしての経験が少しは反映されているような気がします。
終盤の展開の意外性がたまらない(以下ネタバレ)
ヒロインは人生を見つめ直し、息子を施設にあずけ、男と旅立つ決意をします。母として子ども施設に預けっぱなしにすることに罪悪感を抱く彼女は、やっぱり男と旅立つことが出来なくなり、息子のいる施設へ行きます。
そこで息子は母親の苦悩なんてまるで意に介しておらず、施設の若い女の子とイチャついていたりして青春を謳歌しています。
そんな息子の姿を見て彼女は施設を後にします。
そのときの彼女の声にならない叫びの悲痛さが凄いです。この強烈なラストはジャンヌ・バリバールの演技あればこその名場面だと思いました。