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俳優小泉今日子はこれくらいがいい「とりつくしま」
「ほとぼりメルトサウンズ」の東かほり監督待望の新作は母東直子の小説の映画化作品だった!
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と書いても全然ピンとこない人には「カメラを止めるな!」を生んだENBUゼミナールのシネマプロジェクト第11弾作品と書けばちょっとはウンっ?となるだろうか。
なんと書けば興味を持ってもらえるだろうかと思案してタイトルは小泉今日子さんのことを書きました。
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物語は
人生を終えた人たちがあの世で最初に語りかけてくるのがとりつくしま係。現世に想いを残した人が愛するものを見守るために命の無いものにとりついてその人を見守ることが出来るという。そのとりつくものがとりつくしまでとりつくしま係の女性はとりつきかたを教えてくれる案内係。
夜に思い立ってピルクルを買いに行ったら自動車にはねられてなくなった女性は残した夫が気がかりで彼が愛用するトリケラトプスにとりつき、幼くして亡くなった少年は生前に大好きだったジャングルジムにとりつき、お祖母ちゃんは孫にあげたカメラにとりつき、少年野球をする息子を見守りたい母は手につけるすべりどめのロージンになって息子の試合を見守るが…
というお話。
ほとんどが家族愛を描く物語になっていて、それが母東直子の原作を娘東かほりが映画化していることに非常にうまく働いていて、オムニバスながら全編にほんわかした愛情が感じられます。
ENBUゼミナールのシネマプロジェクトは俳優のためのワークショップの側面があるのでほとんどのキャストが無名です。
無名キャストがメインなのに…
それなのにこの作品は全国のシネコンでロードショーしていてもおかしくないメジャー感あるファンタジーに仕上がっているのはひとえにとりつくしま係を演じる小泉今日子の存在感のおかげによるところが大きいと思います。
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小泉さんは80年代から非凡すぎる存在感で時代の寵児となってきた人です。還暦近くなった今もそのオーラは隠しきれず、ドラマで主演とかするとやっぱり強烈すぎて、NHKBSでやっている「団地のふたり」とかは小泉さんに小林聡美さんという同年代の強烈な個性をぶつけることで中和していたりするくらいです。
そんな中、「とりつくしま」です。
この作品の小泉さんはもはやこの世のものではなく新人の死者をやさしく迎え入れ、まだ死んだことを自覚できない人たちにとりつくしまという成仏までの猶予期間をガイドします。
オムニバス作品の狂言回し的な役回りですが、要所要所で彼女で登場することで観たことない俳優の演技にも安心感を与えてくれます。
小泉さんは本当にこれくらいがちょうどいいから新作「室井慎次」2部作にも回想シーンとヒロインの母というちょい役くらいで十分なんだと思います。
それにつけても「とりつくしま」の面白さは「カメラを止めるな!」の再来と言えるほど万人向けなヒューマンドラマに仕上がっていて、それでいてありきたりに落ちていないのは東かほり監督の強烈な作家性と東直子さんの原作の持つ力も半端じゃないからだと思います。
名古屋ではシネマスコーレで絶賛上映中ですが、これから観る機会がある人はまさに必見の作品です。