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ハリウッドリメイクはインスタントラーメンの味にしかならないことを教えてくれる「スピーク・ノー・イ―ブル 異常な家族」
日本では今年の5月に公開されたデンマーク/オランダ合作の2022年製作の傑作胸糞ホラー「胸騒ぎ」をブラムハウスがリメイクした作品です。
物語は
アメリカ人夫婦のベン一家は失業の痛手をいやしに行ったイタリア旅行でイギリス人夫婦のパトリック一家と意気投合し、ベン一家がイギリスのパトリック家へ遊び行くことに。しかし、そこではパトリック夫婦の異常さが垣間見え、パトリック一家は明け方に逃げるように帰ろうとするが…
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途中まではほぼ同じだけど…
「胸騒ぎ」という邦題は実によく出来たタイトルでした。全編、この夫婦ヤバくないという胸騒ぎのする映画だったから。
オリジナルではデンマーク人とオランダ人で言葉の壁もありましたが、このリメイク版ではアメリカとイギリスなので英語で通じ合うので言葉の壁はなくなっていました。
それでも主人公夫婦の嫁がヴィーガンだったり、娘がうさぎの人形に依存していたりするところはそのままでそれにまつわる展開はそのままあったりします。
ただこのリメイク版にはオリジナルにあった「胸騒ぎ」する感覚が欠けていました。
ジェームズ・マカヴォイは頑張っているけど…
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ジェームズ・マカヴォイは上手い俳優だと思うし、ニュアンスを出そうとしていたとは思います。
でもやっぱりハリウッドではオリジナルにあった料理でいえば出汁のような味わいにかけていて調味料の単純な味しかしない感じ。
この感じを例えて言うなら行列の人気ラーメン店の味がインスタントラーメンで再現されているような感じ。
それだけで食べればまあまあおいしいけど、お店の味を知っているとどうしても劣っているようにしか思えない感じです。
ハリウッドリメイクするということは工場で作る製品に仕立て直しようなもの
名店の味を再現というけど、大量生産するにはいろいろ単純化するしかなくて、近いものは作りましたけど…な仕上がりになりがちなハリウッドリメイク。
思い返せばJホラーも…
「リング」しかり「呪怨」しかり、ハリウッドでリメイクされアメリカではヒットしシリーズ化までされていますが、それがオリジナルより面白かったことなどありません。撮影環境は日本のそれより格段に良くなっているはずなのに。
スウェーデンの傑作ホラー「ぼくのエリ 200歳の少女」も「ハリウッド」で原作のタイトル「モールス」となって生まれ変わりましたが、原作の魅力が1ミリも再現されていないガッカリ作品に成り下がっていました。
今回の最大の失敗は…
やっぱりラストの真逆な改変が酷いとしか言いようがありません。どう考えても主人公夫婦は嫌なヤツなのにそこはそのままでラストを原作と真逆にしてしまうのはどうなのか?
あまりにも原作に対するリスペクトのないエンディングでした。