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ごごしま音楽プール2023の記録 (4)

08:00 am

本番当日。8時過ぎに、メンバーが島に借りている家の2階で目が覚めた。階下へ降りると誰もいない。一緒に泊まっていた徳永や矢野、PAスタッフの勝間田さんらは、早朝から最後の準備のためにすでに会場にいる。(それもあって前日から島の家に泊まっている)毎年、当日の朝はみんな僕を起こさないで出ていく。「当日くらいはちゃんと出演者として扱うけん、ゆっくり寝とけ。現場のことはまかせといたらええ」という徳永が全体の指揮を取る。二度寝するほどでもないしなあ、とコーヒーを入れていると、メンバーの矢野から探し物をして欲しいと電話が入った。会場の設営に必要な資料のファイルだと言う。矢野の担当領域は広く前日の夜はいちばん忙しいので、昨日もあまり寝ないで作業をしていたのだろう。「たぶん1階の私が作業しよった部屋のテーブルの上か、その周辺にあると思うんよね」と言われた場所を隈なく探すが目当てのファイルは見つからず、まさか押し入れとかに入ってるわけはないか、と見てみると押し入れの奥のそのまた奥にに目当てのそれがポンと置いてあった。探すように言われた場所とのかけ離れ具合に声を出して笑ってしまった。おかげでしっかり目も覚めて洗面台で鏡をみるとすごい寝癖がついていた。しばらく髪の毛と格闘した後、スタッフと出演者、比率はまだ7:3くらいな気分でギターを背負って会場へ。

快晴。虹もばっちり。
教室が楽屋に。

10:20 am

前日から松山市内に泊まっていた出演者の高野寛さん、奇妙礼太郎さん、アンチモンのメンバーと関係スタッフが島へ渡って来た。こちらのミスで船を1便逃し到着を遅らせてしまったせいでライブエリアの開場時間が迫っている。「急いだ方がいいね」と気遣ってくれた高野さんはそのままプールへリハーサルに。そうしている間にも校庭のマルシェエリアにはお客さんが並び始めた。

例年より早くから多くの人が。
水色のTシャツがスタッフのしるし。

今年はチケットの売れ行きが早く例年よりも来場者が増えることがわかっていたので、いつも手伝ってくれている人たちに加えて、矢野が声をかけてくれたボランティアの皆さんも増員。おかげでとても助かった。島民のみなさんにも、マルシェへの出店や会場整備など、いつも以上にたくさんの人たちの力を借りることになった。ありがたい。それにしても天気がいい。目に入る風景ひとつひとつが気持ちいい。晴れるって最高だ。ライブが開催される有料プールエリア隣の校庭をテントをU字型に囲んだマルシェエリア(入場無料)も徐々に賑わいを見せ始めた。

入場無料のマルシェエリア。

少しずつ気温が上がって来る。スタッフが頻繁に熱中症への注意を呼びかけるアナウンス。風船、ブルーシート、すずらんテープで装飾した「ミニプール」を作って体育館を開放し早めに誘導できたことで、日差しを避けられる場所もうまく確保できた。おかげでここまでは大きなトラブルもなく、出演者のリハーサルもスムーズに終了。定刻のam11:30よりも少し早くにライブ会場のプールエリアがオープン。ミカン箱を使った座席がお客さんで埋まっていく。

体育館。ミニプールはいい涼み場所になった。
プールにも人がたくさん。

11:55 am

校舎の2階、楽屋に使用している教室の開け放たれた窓から風が通る。校庭を行き交うお客さんたち。よく晴れた空。プールの上で揺れている虹。その景色はすでに素晴らしかった。まだ演奏も始まっていないのに満たされた気持ちになり、しばらく窓の外を見ていた。「思いとどまれないですか」。藤内さんの言葉が浮かぶ。「今年は間に合わんかったけど」。前日に徳永とプールで交わした会話を思い出す。来年。この先のごごプー。考え始めると目の前の景色を見ているのに見ていないような感覚になった。このままステージに出たら歌詞を飛ばしてしまいそうだった。楽屋の教室を出て階段を上がり誰もいない踊り場でゆっくり息をする。まずは今日を最後まで、丁寧にやり切ろう。そこで見えてくるものを見てみよう。階段を降りて楽屋へ戻る。立ち上げメンバーの中川さんから連絡が入った。「プールはほぼ満席ですね。ライブは予定どおり12時から開催します」。ライブ用の衣装に着替えて軽くストレッチ。ここからは出演者になる。12:00PM。開演を告げるチャイムが鳴った。

会場で配布したパンフレット。


(つづく)

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