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ジャニーズ問題 国連が調査に乗り出したワケ
なぜ国連人権理事会が動いたのか
7月12日に共同通信などの報道で、国連人事理事会の「ビジネスと人権作業部会」が来日して、ジャニーズ問題の調査に乗り出すことが明らかになりました。
これはジャニーズ事務所が性加害問題の全容解明に後ろ向きだったことで起きた事態である、ということが言えるでしょう。ジャニーズ事務所の対応は、6月12日の再発防止チームの記者会見から止まっていた。日本では解決のの道が険しいということで、問題は国連へと飛び火することになったのです。
国連調査の今後の展開予想については後述しますが、まずジャニーズ事務所の問題としては、主に3つが挙げられると考えます。
1ジュリー藤島社長が表に出て来ての説明責任を果たさない。
2再発防止チームは、網羅的な調査をしないと明言し全容解明に後ろ向きである。全容解明なくして、どのように再発防止に取り組むのか。
3心のケアも、対応者が名前を名乗らないなど、形だけのものであることが文春の報道で明らかになっている。
つまりジャニーズ事務所に対する国内批判は、再発防止チームに元検事総長がいるし、心のケア担当には元自民党大臣鴨下氏もいる。政治家と元検事、そしてジャニーズ事務所の看板のパワーで、日本国内のメディアは黙るだろうし、性加害問題をウヤムヤにすることが出来ると踏んだうえでの適当な対応だったと分析することができるでしょう。
山下達郎発言の時代錯誤
同様の考え方は、山下達郎氏のラジオでの釈明でも垣間見ることが出来ました。
スマイルカンパニーから契約解除をされた音楽プロデューサーの問題を受けて、山下氏はラジオで見解を述べました。山下氏は「性加害は許されない」というオキマリの建前に少し触れただけで、ジャニー喜多川氏については彼を持ち上げる発言をしました。さらには性加害は「憶測」とまで言い、まるで自身がジャニーズ事務所幹部であるかのような擁護、忖度ぶりだったといえるでしょう。
そして最後の捨て台詞として「私の姿勢をですね、忖度あるいは長いものに巻かれているとそのように解釈されるのであれば、それでも構いません。きっとそういう方々には私の音楽は不要でしょう」と啖呵をきったのです。
この言葉は、山下氏自身がジャニーズ事務所は強大な存在であることを自ら認めている、と読むことが出来ると思います。こうした山下氏の態度は、ジャニーズ事務所が無くなることのない強大な存在であるという前提に立ったものであると想像できます。
未成年への加害は海外では巨額賠償に
ですがジャニーズ事務所が問題企業であることが世界的に明白になったいま、同じように強大な存在であり続けることが可能であると考えるのは、あまりに時代錯誤、お花畑思考だったと言わざる得ないでしょう。
ジャニーズ事務所と山下達郎氏にいえることは、BBC報道と文春報道により彼らを取り巻く環境は大きく変わっており、そのことに気が付かなければならない、ということなのです。
そして週刊文春報道により、長きに渡る性加害問題という実態は根深いものであることが明らかになりました。BBC報道によりジャニーズの性加害問題は人権問題として取り扱われることになることは明白でした。いずれジャニーズ問題は国連人権理事会に持ち込まれる、という情報はBBC報道直後から出ていました。
似たような海外事例として、故ジェフリー・エプスタイン事件があります。ジャニー喜多川氏の事件と少し似ている事例で、エプスタインは自動性犯罪を繰り返し何度も逮捕されました。
その後、どうなったか?
例えばドイツ銀行はエプスタインの被害者らに約103億円の和解金を出し、JPモルガンは約404億円の和解金を出しました。いずれの企業もエプスタインの口座があったというだけで、広告に起用していたという訳ではありません。つまり児童性犯罪を犯すと、取引先企業でも大きな損害を被ることになるのが欧米の常識なのです。
一方で日本のジャニーズ事務所はどう対応したのか? ちょっと謝っただけで、心のケア窓口を設置しました、と軽い対応を続けている。取引していただけで巨額の和解金を支払うことになったドイツ銀行の例を来る返すまでもなく、あまりにぬるい対応だと言わざる得ないのです。
国連はどう判断するのか?
では、国連人権理事会の調査でどのような結論が導き出されるのか?
世界的な常識から見て、ジャニーズ事務所性加害問題を調査したときに「問題なし」という結論が出ることはあり得ないと思います。また海外メディアではジャニーズ事務所問題を「重大な犯罪」として捉えており、国連の人権理事会でも同様に「日本の当局は、死後でも捜査すべき」という指摘をしてくる可能性もあるでしょう。
日本メディアは性加害という表現を使って報道していますが、個人的なイメージでは「ハラスメント」の延長線上で議論しているように見えます。法的な解釈が難しいのがその一因ですが、やっていることは世界的に見たら重大犯罪です。日本ではハラスメント的な扱いだからこそ、ジャニーズ事務所も「心のケア」とか「再発防止」などのぬるい対策を出して許されている側面があります。
ざっくり言うと国連人権理事会では「ビジネスと人権」に関する指導原則が定められており、
a)人権を保護する国家の義務
b)人権を尊重する企業の責任
c)救済へのアクセス
とされています。ジャニーズ事務所性加害問題は、表面上はこれらを満たすように見えますが、中身に満足しているという声は聞こえてこきません。そして事実上、性加害の被害者たちには何の補償も救済もない状態となっているのが現状なのです。
おそらく国連調査で問題ありとなれば、来年6月の人権理事会に報告され、日本およびジャニーズ事務所に勧告がなされるという流れになるでしょう。
勧告には法的拘束力はありませんが、おそらく日本政府も少年への性加害問題だけに受け入れるしか方法はないはずで、そのときもう一回ジャニーズ問題が国際的に白眼視され、世界に報じられ広がることになるのです。
延命を模索するジャニーズ事務所
いまジャニーズ事務所は水面下でいろな策を練っており、なんとか「生まれ変わったジャニーズ事務所」をアピールして、生き残りを図ろうとしていると言われています。
しかし、その見通しは暗いと言わざるえないでしょう。。
ジャニーズ事務所の再発防止チームは調査を進めています。その結果発表は、8月とも9月とも言われていますが、国連が動き始めたいま生半可なものは出せなくなった。
今月から始まる国連人権理事会の調査と並行することもあり、世界が納得できる徹底調査レポートを出せるのかという世界線になるわけです。元検事総長という看板で日本メディアを黙らせようという作戦でしたが、国連の登場にローカルな威光も通じなくなったわけです。
前にお話した通り8月の24時間テレビを前に、ジャニーズ事務所と距離を取ろうとする人は増えつつある。そのうちジャニーズそのものをキャスティングしないと決断するテレビ局が出てくる可能性もある。
そうしたなかで、山下達郎氏のようなジャニーズ事務所とベッタリンコの人たちは過去の遺物となっていくのではないでしょうか?
いくらジャニーズ事務所に過去の栄光があり、ビックビジネスが存在したとしても、それらが少年への性加害のうえに成り立っていたものなのです。そんななかで、ジャニーズ事務所を評価すること自体が時代錯誤であり、大きなリスクとなる日がすぐそこまで来ているのです。
前にYouTube番組で「ジャニーズ事務所は身売りか、解散か」と予測しました。
その予測はあながちピントハズレではない可能性も出てきました。国連調査を経て、来年六月の国連人権理事会でその内容が報告されることになります。その後に国連の勧告が出たときまで、はたしてジャニーズ事務所にがどのような対応するのか、そして存続し続けることができるのか、ということも含めて注目となりそうです。
(了)