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読書感想文を書くのが苦手だった、小学生の頃のあの子へ

毎月、国民の休日である「祝日」の把握は欠かさない。3連休の前はわくわくする。1年の中で祝日のない6月はちょっとがっかり。思えば私は子供のころから「休日」を待ち遠しがる子供で、学校が嫌いなわけではなかったけれど、週中で指折り数えて待ち焦がれるほど、「休日」は格別に大好きだった。そんな私なので夏休みが嫌いなわけはなく、始まる前からわくわくどきどき。夏らしい予定があろうがなかろうが、そんなの関係ない。1年で1番長い「休日」。それだけでハッピーだった。(次いで好きだったのは年末年始)

楽しい楽しい夏休みだったが、忘れちゃいけない定番はきっとどの時代も、どの世代も「夏休みの宿題」だと思う。(個人的には次点で新学期の持ち物、夏休み中の登校日が続く)夏休みの宿題の王道と言えば・・・そう、読書感想文だ。中学生、高校生では書かないことも多いかもしれないが、小学生であれば1度や2度必ず経験するものだと思っている。(近頃の小学生事情はわからないので、知っている人がいれば教えてください)
わたしは小学生時点においては、読書感想文が苦にならないタイプだったと記憶している。(わたしの脳内が都合のいいように記憶を改竄していなければ、だが。)比較的おしゃべりで、自分の読んだ本の内容を母や父に事細かに説明することもあった。両親にとってみれば、強烈なネタばれマシーンに化すこともしばしばだったように思うので、その件に関しては申し訳なさの限りだ。読書感想文が苦にならない子どももいれば、辛くて苦しい、ただの苦行にしか感じることのない子もいるだろう。得意なものがあれば苦手なものもある、好きなものもあれば、嫌いなものだってある。人それぞれ違うものだし、だいたいのことはそういうものなのだ。

「どうしたら読書感想文、ちゃんと書けるの?」

あの子は読書感想文が苦行だったのだと思う。
わたしに尋ねてきたのは、去年の読書感想文コンクールでわたしが入賞したからなのだと思った。(ここ、note書きながら思い出して、ちょっと得意げになってます。)当時のわたしは「ちゃんと書く」の意味も「どうしたら」の答えも何一つ思い浮かばず、「うーん、わかんない…。」と、ほんのちょびっとの困惑と、頼られたというちょっとした誇らしさと、たくさんの"そんなこと言われても、わたしもわかんないなぁ"の気持ちで答えた。あれから十数年。もし今、当時のあの子に同じことを尋ねられたら。当時のあの子は小学4年生ぐらいだったから、そのぐらいの子に伝える気持ちでまとめてみようと思う。

1.原稿用紙の使い方は最適に。

もし、読書感想文が夏休みの宿題であるならば、きっとそれは担任の先生が読むのだと思う。もしかしたら教室に貼り出されて、クラスの子も読むかもしれない。書いた文章はきっと誰かの目にとまる。その時に原稿用紙の使い方が違っていると、読み手は面食らってしまうだろう。スポーツには一緒にスポーツをする人が誰でも楽しめるようにルールがある。原稿用紙も一緒で、読む人誰もが楽〜に読めるようにルールがある。読む人を大変にさせないように原稿用紙のルールを踏まえて書くことは大切だ。

ただ、もし君が原稿用紙ルールの書き方では、どうしても伝えきれなかったり書ききれない何か理由がある時には、ルールを破ってもいいんじゃないかとわたしは思う。大人の人には怒られてしまうかもしれないけれど、こういうことを伝えたくて、そのためにはこのルールだとダメだったんだ。ということがしっかりと説明できて、その理由が読む人にとって応援したいな、と思ってもらえるものだったらきっと大丈夫。応援したいなと思う人は多少読むのが大変でも、きっと読んでくれると思う。でも、世の中には応援したい人ばかりではないので、応援がもらえなくてもがっかりしないでね。

2.本の選出は要

どんな本を選ぶのかは大切だ。正確に言えば「本」よりも「どうやって選んだのか」が大切だ。もし、何を読めばいいのかわからない時は、本屋さんでも図書館でもamazonでもいい。本がたくさん置いてあるところへ行って「気になる本」を1冊だけ選ぼう。そして、どこが気になったのかを書き出してみよう。長く書く必要はないので、シンプルにたくさん書いてみよう。例えばそれは「表紙」かもしれない。表紙に描かれている絵が気になったのかもしれないし、色が気になったのかもしれないし、肌触りや感触が気になったのかもしれない。例えば「タイトル」。好きな果物の名前が入っていたのかもしれないし、韻を踏んでいたのかもしれない。例えば「大きさや厚さ」。今まで手に取った中で一番薄い本かもしれないし、厚い本かもしれないし、片手で持てるぐらい軽いかもしれないし、両手でやっと持てるぐらい重い本かもしれない。外見ばかり挙げたけれど、もちろん本を読んで見て、内容の気になることも書き出していこう。作者や著者、どこかで耳にした話題が気になったのならば、それも書いていこう。

ここで、書き出す時のヒントを2つ。1つ目は文末を「〜だったから」「〜だから」のように「から」で終わらせるように書くこと。2つ目は、その本を知らない電話の相手に話すように書くこと。電話の向こうの相手はこちらの状況が見えないので、どんな本なのかわからない。その相手にどこが気になったのかを伝えるときはどうやって話すだろうか。この2つを意識するだけで、グッとわかりやすくなるはずだ。

3.理由を言葉にしてみよう

気になることを書き出すことができたなら、次は「なぜ、気になったのか」を書き出す。つまり、気になった理由を言葉にしていく段階だ。2番目までの書き出しは、本によってはきっと人と同じことを書いている場合も大いにあると思う。着目点がかぶるということはよくあることだから。ただ、理由までかぶることはそうそうないと思う。なぜなら、人はそれぞれ違う生活をしているので「蓄えられている経験」が違うからだ。「泣いた赤鬼」という本で具体例を挙げてみよう。

4.読み手の人と情報を揃えよう

自分の書き出した「気になること」に対して、「気になる理由」が加えられたら、今度は話を広げていこう。もう少し具体的に言うと、読み手の人が持っているだろう情報と自分の感想文から受け取れる情報の格差を埋めて、情報を揃えるイメージだ。難しい言葉で言えば「認識を揃える」「前提を揃える」ということになると思う。
例えば、毎日顔を合わす家族やクラスのお友達に「昨日学校で席替えがあったんだけど、Y君が隣になったから、ほっとしちゃった」と話したとしよう。頻繁にお話しをしている人であれば、「席替えする前もY君と楽しそうに過ごしていたから、前と同じように楽しく過ごせるね。」とほっとした理由に共感してくれるかもしれない。もしかしたら君がとても人見知りであまり他の人とおしゃべりできていないことを知っていれば「隣の席がまだ話したことのない人だったら、君はちょっと困ってしまうかもしれない」ことを踏まえて、ほっとした理由に共感してくれると思う。
でも、もしそれが1年に1回しか会うことない親戚のおじさんだったら?親戚のおじさんは席替えをする前の席が同じY君の隣だったことは知らないし、もしかしたら君が人見知りであることも知らなければ、まだ話したことのない人と隣同士になると困ってしまうことまでわからないだろう。だから、どうして君が「ほっとする」のかもわからないから君の気持ちが伝わらないのだ。親戚のおじさんに話すときは、席替えする前もY君だったことを話すことが必要だと思うし、君がまだお話ししたことのない人と隣同士にになると困る、という感情になることは伝えておいた方がいいだろう。
人は時に「自分の前提」が「相手の前提」になってお話をしてしまうことがある。そして、その前提が違うことで「よくわからない」ことが起こり得てしまう。伝わらないことの原因は自分の持っている情報と相手の持っている情報の差によって引き起るのだ。だから、感想文を書くときは、この差を埋めていくことを意識して書いてみよう。ポイントは「親戚のおじさんがもっと詳しく話を聞きたいと思ったら、どういうことを聞いてくるのか」を考えて、自分に対して自分で質問をしていくようなイメージで進めてみるといいと思う。「あの出来事が…」という何かきっかけがあるのならばそれも書こう。もし自分だったら、と想像したことがあれば、それも書こう。

ここまでできたのならば、あとは削っていく作業になる。「気になること」に「気になる理由」を付け足して書き出したものの中から、自分が1番話したいものを1つだけ選ぼう。多くても3つまで。選ぶ時の基準は「自分が1番話したいもの・話しやすいもの」がいいと思うけれど、それでも迷ってしまう場合には「ほかの人が最も経験したことのないエピソードや考えたことのないエピソード」を選ぶといい。あとは、その「気になること」と「気になる理由」を核にして、わかりやすくエピソードを書いていこう。
(このあたりの詳細はまた別途用意したい気持ち。)

5. 誰かに貸してあげるときに添える言葉を考えよう

最後に、もしお友達でも家族でも、この本を貸してあげたいと思う相手に、本を手渡しすることをイメージしながら何と言って貸してあげるか考えよう。きっとそんなに長い説明はしないはず。その「誰かに貸してあげるときに添える言葉」をタイトルにしてみよう。もし、タイトルに似合わないと思ったら、きっと君にとってぴったりだと思えるタイトルは、既に頭の中にあるはずなので、そっちを書いてあげるといいと思う。

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