見出し画像

《詩》静寂の先に

この世界の時が止まったような
夜明け前の景色
誰もいないわけじゃないけど
存在を消してしまったような世界

私は窓辺に立って
静かな世界に包まれている
呼吸をするだけで
奇跡のような気がする

手にあるカップの温もりを感じ
虫の音が夜から続いているのを聞き
裏の空き地の草が少し枯れた様子を見て
その後いつものように遠くの山を眺める

見ると眺めるは違う動作で
聞くと聴くは別のもの
息をすることと深呼吸は異なること
ここにいるだけで
普通の生活を送っているようで
いつも何かしながら生きている

静かなこの世界にもう少し
身を委ねるのも悪くない

(にじぐち)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?