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〈追い焚き後の熱湯〉
投票率の低さを話した。
現状に満足しているからの結果なのだろう。もしかしたら大半の人は世界に疑問を感じず、不満も然程感じず、仕方ないと何かを諦め、現状を甘んじて受け入れているのかもしれないと思った。
多数の大学生の就職希望先が公務員なのを知った。
小学生の頃は、サッカー選手、ユーチューバー、ゲーム会社、パティシエ、保育士、看護士など夢を抱いたあの頃は遠く過ぎ去り、成熟した頃には、夢を失くしていくのだろう。
誰かに指示された世界が楽なのかと問うと、そうなのだ、と答える。
だとしたら独裁国家が良いのかと問うと、戦争に行ってこい、と言われない限り、その方がいいのかもしれないと言う。
それはもう自由国ではなく共産国なのではないのかと問うてみると、そうかもしれないねと笑って答えた。
息子が先に入っていたお風呂に足を入れたら熱湯だった。
よくこんな熱い風呂に入れたなと聞くと、
「徐々に温めたからわからなかったよ」と言う。
大人がまごまごしてて良い時間は、もうとうに過ぎている。
気づいた時がスタートである。