【エッセイ】 タイガービートルの羽の色
最近、思うこと
感性に命を奪われた人はどれくらいいるのだろう?と
きらりと光っていて、それでいて捕まえ難い
そして、感性の鋭さゆえに穴の中に隠れてしまう
まるでそれはタイガービートルのように
感性の鋭さと言うものは、目の前の出来事を錚々たる痛みにも
針の筵にもしてしまえる
見えているものが多いから
感じているものが多いから
だから誰かと違った反応をしたりする
ーなんとく嫌な感じがするー
そんなことを仲間内に話したところで
誰とでも仲良く卒なくのこの世界では、こちらが変わり者と言われてしまうもので
感じることを言葉にしつくしていたら、こんな風にきっとどこへ行ってもやっては行けないのだと思う
だから、感じていることを自分の中に収め
口をつぐんで
穴に籠る
穴に籠った分だけ、その場をやり過ごす薄ら笑いが上手くなったりもする
感性には扱い方があるような気がする
それは、タイガービートルがふわりと飛ぶ時に光る背の煌めきのように
きらりを見つけることのように思う
感性にはメーターがあり、負の状態に感性を向けてしまうとどんどんと悪い方にと想像ばかりが膨らんで行く
いつだってメーターを悪い方へと振り切れば、地獄の底まで落ち込んでしまい起きあがれなくなる
でも、もしこの感性のメーターが良い方向に向いている状態を保てたら
それは、喜びや心地よさを人一倍感じられると言う事でもあるのだと思う
春の花びらが落ちる音を奏でているような音楽を耳にする時
一瞬で、野の花畑にまで行くことができ
夜に月を眺める時は、梯子を徐に取り出してきて月まで行き
そこに住む生物の正体を暴き覗き見しようと
あぐねる事もできる
小さなゴキブリみたいな生物がみんなで輪になり踊っている
そんな、ありもしない宇宙生物なんかを想像して
使い方次第で、地獄にも野原にも月にも行ける
だから、自分の感じることを信じて
穴から出てきていいのだよ
どんなに隠れても
どんなに隠しても
どんなに穴の中に逃げ込んでも、その背中はどうしたって光っている
タイガービートルのように
akaiki×shiroimi