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天然のドライフラワー 花のゆくえ、種のゆくえ


子供の頃に身にに付けた私の特技

その背景には、枯れ色の毎日が広がっていた

だからこそ見つけた色彩豊かなな物語は
冬の中に見つけた様々な輝きの様


つまらない
だから、面白く

うちじゃ誰も遊んじゃくれなくてね
ゆく日もゆく日も、ひとりぼっちで
右を見ても左を見ても、毎日を埋めて行く小競り合いに嘘

その真ん中でぼんやりして雲を眺めていては馬鹿にされ

だからと、無邪気な少女は自然と頭をひねり
曇り空に虹をかける方法を考える様になっていた


幼い頃から数々のひとり遊びを編み出して来て
思えば、無邪気なひとり時間を重ねて来たもの

人といるより、ひとりがいいと思うような人間の作り方は熟知しているつもり


帰り道の缶蹴りから石蹴り

すずめにカマキリ、コウモリとも仲良くなって

漫画も描いたし、お気に入りの本は何度も読んだ


時には、自分自身に挑戦を挑んだり
競う事はつまらない一連の作業もヒートアップし楽しくなる

いつもの場所も、目を凝らし
新たな何かを見出そうとしたのなら
当たり前は新しい何かに変わって行く

頭の中は、まるで遊園地で
電飾で飾り付けをする様に、楽しみは思うよりもたくさんあるものだ


私はそんな価値観を、子供の頃に虫眼鏡であちらこちらを観察する様にひとりぼっちの時間から得てきたのです



そんな自身も母になり
しっかりとした母には残念ながらなれず
しかしながら、未だ現役のまだまだ少年の様な瞳は私の取り柄

息子の手を引き
いつもの森を新しい森に変える魔法を教えるのです


冬の植物観察


夏になれば、虫を探しました

それはもうたくさんの虫に出会い、仲良くなれたでしょう?
節を数え、羽根を数え、図鑑を開いて

秋には、きのこを探しました
きのこは思いもよらないほど、多くの種類や色や形があって胸は高まるばかりでした
赤に黄色、変な色

では、冬は?
冬は静かで、さほど生き物に会うこともありませんし
草木は眠り、色はあたり一面の枯れ色……

……本当にそうなの?

もう少し、小さな世界を目を凝らして見てみたら?
面白い発見があるかもしれない

私は思い立ち、冬の天然のドライフラワーたちを探す事にしました

名前も分からないけれど

花のゆくえ
種のゆくえ

生き物たちはちゃんと冬も生きている
 


天然のドライフラワーを探しに

春や夏や秋に、めいいっぱいに力を使った植物たちも
冬になればくたびれて

萎びて、傷を負って、色が変わって

でも、それだからの良さがきっとあるのでしょう


冬の枯れ色の中では、赤やオレンジ色は目を惹きます

きらりとひかる宝石みたいに

あなたたちが、最後の最後まで美しく輝いていた事を
私はよく知っている




毛むくじゃらで、白銀色にひかる
太陽の光があたると、さらにきらきらと

枯れ色だんて言わせないって?
そう言っている様に



ゆすれば、まだ底に残っていた種たちが
カサカサと落ちてくる

こうしてまたはじまっていくみたい

色々な形があって
色々な大きさがあって

毛並みも、長さも違うでしょう?

名前は全くわからなくて、それもまたおもしろい


どうしてこんなにおもしろいんだろう?


自然の中では、不思議なことの連続
思わぬところで、思わぬものに出会い

新たな何かにも度々出会える

まだまだ、私の知らないことがここにあったのね…と出向く度に教えてもらい帰って来る

未知の連続の連続は、毎日を退屈なんてさせてはくれない


この中には、無惨にも萎びた幼虫が入っているのだろうか?とか


おっ…
木の小さな穴の奥で、蜂が眠っているとか


 


願わずとも、春は近づいているのね…とか



どうして、冬でもサルノコシカケだけは生き生きしてるんだろうね?
なんて顔を見合わせて話したり



こんがりきつね色の焼き具合
天然のパンケーキに出会ったり…


土に刺さった木を抜いたら
見事なエメラルド色のカビ

マインクラフトでエメラルドを掘り当てた気分になったり


こんなに美しい編み目をしていたんだね…と
思わずため息が出そうになったり



枯れ色の向こう


冬は何度でもやって来て

私たちの指先を冷やすでしょう

望んで無くても何度も何度も

知っているのは、悲しいかな
また、冬は来ると言うこと

そんな寒さを受け止めながら、枯れ色の中に僅かな色を探してみる

大丈夫、本当はいつでもここにあるのだから


また、冬は来る

だから、出来るだけ冬を好きになる
受け止め上手になろうとしている



akaiki×shiroimi






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