好みの話
最後の交換品、ブレーキ。……のパッド。こいつだけ、はるばる台湾から運ばれてきよったです。本社が台湾なので当たり前ですかね。
「TRP SPYRE メカニカル」
泣く子は黙るかわかりませんが、泣いて欲しがる大人はいました。つまり私ですが。
かつて、師匠の店にちょこっと手伝いに行った際、わずか4時間ほどの勤務の報酬にこのブレーキを前後セットで頂いたものです。
金額の話はしたかありませんが、お値段¥11000-ほど。確か当時もうちょっとお値段が張りました。
「さすがに頂けませんよ!」と割りかし真面目に遠慮したものの、師匠は「今の俺には必要ない。てかお前のブレーキ音、耳障りだからさっさと交換せい」と言われてしまい。ぐうの音も出せない私はありがたく頂戴したわけです。頭が上がらん…。ほんとなんで俺が欲しいものを…。
ちと長くなりましたが、そんなこんなで使い続けておりまして。まだパッド交換してないし、そろそろかなーと。
まずはここ。パッドを固定している心棒の脱落防止ピンをグッと押して外します。そして、
反対側からアーレンキー で緩めます。2mmだったかなぁ…。
緩めた心棒を引っこ抜き、赤いパッドを上(?)から押すと…。
ズルッと出てきます。もちろんですが、パッドに油が付着すると通常再利用がほぼできないので、お手入れの際は御注意を。
…まぁ、それなりのすり減りを。騙し騙し使えなくもないですが、とりあえず交換で。
やっぱり正常なものと比べると、すり減ってるなーて。銀色の部分が、パッドの外枠兼簡易的なスプリング…にもなっているのかな?曲げや変形は厳禁です。
後は逆再生。嵌め込んで心棒締めてピン掛けたら完了っ。
油圧ではなく機械式、パッドの左右前後もなく、比較的交換しやすい部類のブレーキかと。
そう。私はブレーキの中でディスクブレーキ、それも機械式が一番好きです。ひねくれていた大学時代はリムブレーキ全否定派でもありました。今ふつーに使ってますけどね。
雨の中でも一定の制動生を保ち、パッドすり減りの鉄粉や黒ゴムの汚れも極めて少なく、オイル漏れやエア抜きの必要もなく、コストも目が飛び出るほどではなく、しかも機械式の欠点であるパッドが片方しか動かない点を克服したSPYRE。あえて言うとSHIMANOのSTIとちょいと相性がよくないそうですが(個人的には違和感なく使ってましたが)、めちゃくちゃ好きな一品です。てか欠点て何?
もちろん、厄介なとこはあります。ハブのグリスアップの時は、グリスがつかないかヒヤヒヤですし、いや外せよ、と言われても6穴式はめんどいですし。
ホイールも気軽に使いまわせないですし、ハブ重たいし。ローター直径サイズも差があり、メーカーごとのパッドの相性その他も確認しなきゃですし。ローターの変形は普通に使っても起こり得ますし、その修正は割りかしフィーリングで曲げて整えてです。振れ取りほどハッキリと出すのは難しい。輪行時も車輪を外す時つける時はリムブレーキほど手軽ではないし、そもそも乗りたいフレームでディスクマウントが設けられているのが少ない…と。
最後の文句はもはやディスクブレーキ使いたいだけですけど。
挙げ連ねればきっとキリがありません。それは私に限らず、またディスクブレーキに限らず、多くの自転車乗りや整備士も、好みの問題で思うところかと。
でもそれでも、私は好きなんですよね。機械式のディスクブレーキが。他のどんなブレーキタイプよりも、使いたいと思うのです。
どんな欠点があっても、それも込みで好きだと言える。なんなら、欠点とすら感じない。周りに何をどう言われても、やっぱり好き。このディスクブレーキしかり、ハンドルしかり、ClarisのSTIしかり。
私がこれより仕上げる自転車は、そんな『自分好み満載』な相棒です。