「ダメ」だけど面白い建築のガイドブック
今回は『メイド・イン・トーキョー』という本を紹介します。この本は東京の建築物、それも著名な建築家が造った一般に「良い」とされる建築物ではなく、建築学やデザインの観点からは評価されない、むしろ「ダメ」な建築について扱った本です。
東京という都市が急激に成長していく中で機能や効率を重視した結果生まれた、本来隣り合わないもの同士が隣り合ったり、珍妙な形をしていたりする建物たち。この本ではそんな建物に少し面白い名前を付け、短い説明と写真・イラストとともにガイドブック形式で紹介しています。下にいくつか面白かった例を挙げておきます。
パチンコカテドラル
中央にパチンコ屋のビル、その両側にサラ金のビルが建つことで、パリのノートルダム寺院のような形になったビル。パチンコ→サラ金という生々しい人の動きを反映した建築。
大使館ビル
一つのビルに十数ヵ国の大使館が雑居。東京の地価が高いため財力のない小国がビルをシェアしている。本の中の「ビル全体が治外法権」というワードはインパクト強し。
パークonパーク
上は木々の生い茂る公園、その下が駐車場になっている変な空間。
スーパー・カー・スクール
スーパカーの訓練所ではなく、スーパーマーケットの屋上が自動車教習所になっている建物。
射撃墓場
自衛隊の射撃場と墓地が隣り合っている。ネーミングが物騒。隊員は墓場に向かって銃を撃ち、墓場には射撃音が響く。
と、いうような感じです。上に挙げた他にも様々な建築が、合計70件紹介されてます。それぞれ一見した時の見た目のヘンテコさもさることながら、作者の側の着眼点やタイトルの付け方が地味に面白いです。ヘンテコな建築に興味がある人は面白く読めると思います。
ただ、出版が2001年ということで、登場する建物はおおむね20〜30年前のものですので、もう残っていないものも多いと思います。そこはご注意を。
それでは、また。