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第12話 学芸員古沸妖の妄想宇宙論【実体験×科学×オカルト=ビックバン】いっしょにぶっ飛び!

心ってなんだろう

4.思い出すってなんでしょう-4

 というのもその時は、暑い夏の盛りで、北海道だったので昼間でもベランダを開けると(エアコンなんてなかった)乾いた風が入ってきて涼しいはずなのに、その日は無風でやたらと暑くて、腕に汗が滲んでいた事。

 S短大の文字を見て変な大学名だと思った事。

 文藝春秋って厚い本だなと思った事。

 今まで読んだ事も無かった父の本だったけど、大学特集と書かれていて始めて真面目に中を読んだ事。

 裏表紙にあったトヨタチェイサーの茶色いカラーリングの車の新発売の広告を見て、運転してみたいなと思った事。

 映像として記憶している以外にそれら全部を思い出したという事は、どこかで全ての状況を記憶いや記録していたという事。

 いつ使われるか分からない現在の行動が、過去になっても、どこにも記録されていなくて消滅していると、記録データがどこにもないという事になり、何も思い出す事はできないからです。

 という事は忘れる忘れないじゃなくて、心は日常全ての体験を整理して記録してるんじゃないでしょうか?

 それを意識する意識しないを別に思い出すというプログラムを起動して、必要な部分を引っ張りだして記憶として再現している。

 ただここで重要なのは、意識したところに特化して思い出しているという事。

 その文藝春秋の内容は、変な名前と思ったS短大の大学名と裏表紙のトヨタチェイサー新発売の車の広告しか思い出せないんです。

 つまり、いつ使われるか分からない情報、日常の全ての事を記録していながらも、その時心で感じた思いをブックマークして、自分では意識できない部分の無意識という心が活用してるんです。
  
「何の脈略も無く突然思い出す」というのはそういう事じゃないのかと、赤木館主は自身の体験を通じて思ったんですな。

 お客様、みなさんも車を運転する方はその時の事、料理をする方はその時の事、旅行をする方はその時の事、思い出してみるといいですな、同じような事は日常全てにある。

 赤木館主の体験の場合、本を読んで、心が感じた作用による反作用が何年も経って返ってきた、ここでようやくなぜその記事を読んで気になったかという事に対する釣り合いがとれている。

 その他の記録は今は必要ないと、自己認識していない、無意識の部分の心が判断したから思いだせない。

 という事は記憶は思い出せる部分以外も消えてはいないという事になりますよね。

 人は新しい何かを経験するとその反作用で新しい記憶ができ蓄積される。

 逆に記憶が蓄積されていないと、生存本能と呼ばれる記憶も含めてですが、新しい経験が出来なくなる、作用反作用のバランスが崩れるからです。

 もしも生まれ変わりや輪廻転生が正しいとしたら、幾つもの肉体を使って経験した全てが蓄積された記憶として残っているはずです。

 なぜなら、生き物において最も貴重な新しい体験は何かと考えたら、それこそ、この世に生を受ける事だからです。

 そう、人として生まれる事、この新しい体験がない限り現世を生きる事は始まらない。

 というと前世なり、前々世、もっと前からかも知れないですが、蓄積された記憶を持ってない限り現世に生まれる事はできないのです。

 更に言うと、その記憶の中から今世は何を学ぶか青図を描きつつ、現世では未来を予測できないというルールにのっとって、赤ちゃんの時は生存本能という基礎データ以外は全てが白紙なのでしょう。

 だから、自由意思で記憶を作った結果、心を成長させる事ができるし、その逆、心の成長を退行させる事にもなるんです。

 心の何を成長、もしくは退行させるのかは、もう少し先で出てきます。

 では過去の、心を持ったエネルギー体が幾つもの肉体を経て経験してきた、その膨大な記憶の記録領域が脳であるとすると(そこにアクセスできるかできないかは別として)、あまりにも小さいのではないか。

 脳というこんな小さいスペースに、いくつもの人生で経験した全ての五感、及び心の動きを記憶した日常データが収まるのでしょうか?

 だからこそ心を持ったエネルギー体は、霊的な記憶領域=アカシックレコードを持っていて、脳はその領域と意識や無意識を使ってやりとりする臓器と思えたんですな。

 そうした考えを巡らせた結果、心は自身の持つエネルギーを利用してアカシックレコードに記憶を作る、物質という空間という概念とは違うエネルギーだから空間に囚われない、つまり、無制限に記録できるものだろうと行き着いた。

 そして、肉体に影響されて今を生きる為に必然性がある範囲の事柄、今世の出来事だけを思い出す事ができるのではないのかと。

 とすると、アカシックレコードは物質空間とは違うところにないといけなくなる、空間という制限のある場所には無制限、それも世界中の、いや人類創生以来生まれて亡くなった、全ての人間の記憶や五感のデータを無制限に記憶できる場所など作れないと思われるからです。

 それにそんな場所があったら、科学力を使ってとっくに発見されていてもいいでしょう、いわばコンピュータのサーバーのようなものですから。

 それに、物質があり空間があり時間がある世界があるとしたら、その真逆の世界がないと釣り合わないですよね、おっと、いけないいけない、先走った。

 それは、一体どこでしょう?

 心を持ったエネルギー体とは一体なんでしょう?

 次はちょっとオカルトな体験を見てみます。

 へっへっへっ…。

つづく
→第13話

第1話 1.プロローグ 2.ここは思念の世界です
第2話 3.物語を進めるにあたって
第3話 作用と反作用-1
第4話 作用と反作用-2
第5話 作用と反作用-3
第6話 概念における作用反作用-1
第7話 概念における作用反作用-2
第8話 心における作用反作用
第9話 思い出すってなんでしょう?-1
第10話 思い出すってなんでしょう?-2
第11話 思い出すってなんでしょう?-3


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