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第21話 学芸員古沸妖の妄想宇宙論【実体験×科学×オカルト=ビックバン】いっしょにぶっ飛び!
人はなぜ生きるか?
7.この物語の骨子-1
この12歳の娘さんの事を考えていくと。
大切なのは、自分一人では何もできないという事です。
赤木館主は、テレビ番組などで紹介されていた同じような個性を持つ子どもは、瞬きやら眼球、指先をほんの少しでも動かせて、周りの質問に答える事ができているのを見た事があります。
この娘さんはそれすらもできなかったのです。
腸は養分を消化し、心臓は動き、脳を除くどの臓器も問題く機能しているという事は、心を使って自発的に筋肉を動かす事ができない、つまり、心の動きを体に伝える脳機能が使えないという事になります。
では、心が無いのかというとそうではなく、お母さんには「喜んでいる」という感情を伝えています。
この一言が館主に気を遣って発言されたものではないという大前提があればとなりますが、少なくとも赤木館主は嘘を言っているとは受けとらなかった。
又、テレビ番組で見た同じような個性を持つ子どもは、かろうじて動く指先や眼球の動きで応えている、つまり感情を持って、心を持って、それを表現しているんですな。
幽体離脱の経験からみてみると、魂は独立して物を考え、いろんな事を感じる事ができる。
ただし肉体と密接に繋がって、釣り合ってる場合には肉体という物質に影響されて、肉体の持つ個性がその行動を制限しているのですな。
でないとみんな超能力者。
だから鼓膜が破れると耳から情報が入ってこないし、眼球が壊れると目から映像としての情報が入ってこない。
この子の場合、目や耳、鼻、手、足、といった器官は動かせないだけで情報が入ってきている、感覚は入ってきている、のかどうかまでは突っ込んで聞けなかったですが(脳波や脳のサーモグラフィーからの科学的な解析結果など)無いとは言えない。
一つ確かなのは、それらを動かす脳の働きが機能していないという事です。
自発的に他人とのコミュニケーションができません。
能動的に何かをするという事ができないのです。
その後何年か経って、赤木館主はその娘さんの生きる意味は何だろうと本気で考え始めました。
お母さんは生きてる事が全てと言っていたが、その事をどうとらえるといいのか?
人生では意味のない事は起きないと言われる事があります、出会いの全ては必然と言われる事もあります。
そう、前世の記憶がないと今世に生まれるという新しい体験はできないのですから、その記憶が今世での学びを青図にしている、という事は決めてきた学びの為に必要な出会いが用意されている。
そう考えると出会いは必然なのです。
そして赤木館主は思った、この出会いに生きるとは何かを問題提起されたのだと。
そして、人が人として存在している以上、そこには目指すべき方向があり、全員が——意識しようが無意識だろうが——同じ大命題を背負っていて、その娘さんも同じ事をしている筈だと、それが何なのかを考えないといけないと行き着いた。
ここまでくるのにかなりの紆余曲折がありましたがね、なぜか、答えを知らないままで人生を終わらす事はできないと思ったんですな。
生きるとは一体なんでしょう?
お客様はどう思いますか?
その答えは、この子の周囲の人の状況を照らし合わせる事で見えてきたんです。
つづく
→第22話
第1話 1.プロローグ 2.ここは思念の世界です
第2話 3.物語を進めるにあたって
第3話 作用と反作用-1
第4話 作用と反作用-2
第5話 作用と反作用-3
第6話 概念における作用反作用-1
第7話 概念における作用反作用-2
第8話 心における作用反作用
第9話 思い出すってなんでしょう?-1
第10話 思い出すってなんでしょう?-2
第11話 思い出すってなんでしょう?-3
第12話 思い出すってなんでしょう?-4
第13話 オカルトなお話し-1
第14話 オカルトなお話し-2
第15話 出会い-1
第16話 出会い-2
第17話 魂と脳という臓器-1
第18話 魂と脳という臓器-2
第19話 魂と脳という臓器-3
第20話 魂と脳という臓器-4