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第16話 学芸員古沸妖の妄想宇宙論【実体験×科学×オカルト=ビックバン】いっしょにぶっ飛び!
人はなぜ生きるか?
2.出会い-2
「はーい」
ドアノブが回され中からドアを開けてくれた、それから何十年たってもその光景は昨日の事のように覚えていると赤木館主はいいます。
丁寧に挨拶をして玄関に入った、お母さんは四十代であろうか? ──実年齢は定かではない。
細身でどちらかというと小柄なお母さんだった。
お母さんがいった。
「お昼時にごめんなさい介護の写真を撮らせてほしいという事だったので、食事くらいしかお見せできないと思いまして…」
「食事くらいしか…」──館主は疑問に思ったが、真意はわからなかった。
「こちらこそご無理を言ってすみません」
お母さんは微笑むとスリッパを出した。
「どうぞ」
館主は出されたスリッパを履くと、短い廊下を歩くお母さんについていった。
そして、白いドアが開けられリビングへと入ったのです。
お母さんは12歳の娘に声をかけます。
「◯◯ちゃんお客様よ東京都の取材だってすごいね!」
「今日は」
元気に館主は声をかけます。
──白いドアの向こうのリビングの中心に、女の子は車椅子に座り背を向けるように庭をみていた──と思った。
しかし、返事はなくピクリとも動きません。
首は、背もたれにあずけ曲がったまま。
胴体も座っているというより、入れられている。
不思議に思いながらも車椅子を回り込み、かがみこみ少女の顔を見つめて、もう一度声をかけてみる。
「今日は、今日はよろしくお願いしますね」
少女は何も言わない、それどころか目も口も動かない、体の温もりは見て取れる、でも全く生気がない。
どうしたんだ生きているのか? ──不謹慎にもそう思ったそうです。
そんな館主を察してお母さんが話し始めた。
つづく
→第17話
第1話 1.プロローグ 2.ここは思念の世界です
第2話 3.物語を進めるにあたって
第3話 作用と反作用-1
第4話 作用と反作用-2
第5話 作用と反作用-3
第6話 概念における作用反作用-1
第7話 概念における作用反作用-2
第8話 心における作用反作用
第9話 思い出すってなんでしょう?-1
第10話 思い出すってなんでしょう?-2
第11話 思い出すってなんでしょう?-3
第12話 思い出すってなんでしょう?-4
第13話 オカルトなお話し-1
第14話 オカルトなお話し-2
第15話 出会い-1