かさこじぞう
寒くなると「かさこじぞう」という昔話を思い出す。
年の瀬の市場で売れなかった笠を
深々と雪降り積もる帰り道に
寒かろうとお爺さんはお地蔵さんにかけてあげます。
お正月を迎える餅もなく
編んだ笠もお地蔵にかけてしまい(自分の笠も)
手ぶらで帰るお爺さんをお婆さんは優しく迎えます。
深夜ドスンと重い物音に扉を開けると、家の前には山のように米や餅や野菜が積まれ、雪降る中笠を被って去りゆくお地蔵さんの後ろ姿がみえたのでした。
私は人間だから、何かするときにやはりどこかで見返りとか、よく思われたいとか、下心が隠せないのだけど
二十年来の友人に、笠こじぞうと密かに呼ぶ人がいて、釣りが趣味で関東近県に出掛けては道の駅で新鮮な野菜や果物を袋一杯に買って、はい、と一言届けて帰っていく。
今日もまた、居る?と連絡があり、まだ道の駅がやってなかったといいながら、茨城から干し芋やらキウイやら八つ頭を届けてくれた。
ありがとう。私もだれかのかさこじぞうになりたいと思う。
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