フェリーニの「道」と悲しさと

星の数ほど映画はあれ
何が1番とかベストとか選ぶのは難しいけれど
1番悲しい映画はと聞かれたら
それだけは迷わず答えられる

フェリーニの 道、特にジェルソミーナ
という人生、存在、いじらしさ

勿論現実の人生にも悲しいことはあったけれど
幸い恵まれた人生なんだと思う
この映画で悲しいと思ったほど悲しいと思ったことはない

込み上げる嗚咽が止まらず
しゃっくりあげて泣いて
彼女が生きていることも、そして死んでしまうことも
男が無知であることも乱暴であることも
そして男の後悔もまた
全てが悲しかった

これでもか
これでもかと
悲しいが画面から波のように押し寄せひた溢れ
ニーノロータの音楽も追い討ちをかけるように
琴線を刺激して
もういい、十分だ頼むから
彼女を幸せにしてあげてくれないかと
画面に懇願するほどだ

悲しいということは
こういうことなのだと
映画を見て悲しさをフルコースで味わい尽くして
知識としての悲しさに色がついて
初めて感情になった映画だった

フェリーニの他の映画は私には難解で
フェリーニが好きというよりは
フェリーニの道のみ一択。
悲しい映画不動のナンバーワンは中2以来
燦然と煌めいている。

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