偏りライブレポ遅死syrup16g
昨日syrup16gのライブに行ってきた
会場は5月のスペアザで最後になるはずだったのに改修業者が入札で見つからずお色直しが宙ぶらりんになったまま元の姿で営業している日比谷野音
つまり野外だ
11月3日の文化の日は晴れの特異日かなんかで幼稚園のバザーとかこの日に行事を当てときゃ絶対間違いない日で全国的だと思うけれど
初秋の凛と冷たい夜の空気を胸いっぱい深呼吸して
昼から夜への逢魔が時
ゆっくり入れ替わる季節と1日を感じながらのライブ
なんて勝手に期待していたのに
季節外れの台風から崩れた低気圧が
よりにもよってちょうどライブの開場時刻から終演の3時間の間に東京上空を通過する予報
そして通り抜ければその後は晴天が続くという
Syrup雨雲背負ってんじゃね?
という疑いが誰の胸にも去就したと思うし
何より誰よりSyrup自身が一番そう思っていたことは
ライブのリアンコールの五十嵐さんのMCが物語っていた
「今年初めてで今年最後のワンマン。業が深いせいで今日に一極集中して雨雲も集まってきて皆さんに災害をもたらしてしまって申し訳ない」
確実にずぶ濡れドブネズミはブルーハーツだけど、ドMみたいな仕打ちを受けにわざわざお金払っていくのに正直尻込みもしたけれど
朝一番に行った整形で担当のお若いお姉さんにカクカクシカジカこれから雨の中野音のライブなんですよねえとボヤくと
楽しそうじゃないですか
いつもと違う体験がきっとできますよ
それって特別じゃないですかと
迷いなく言ってくれて
そうか、非日常の体験にさらに季節外れの大雨という奇跡も加わるとなれば
千載一遇、伝説的な一夜に居合わせることになるんだと
そんな幸運に居合わせるんだと思えたら
それにお姉さんはジャニーズが推しでライブに勤務の寸暇を縫ってこの間札幌まで行ってきたと言うけれど
今日は1日患者さんのリハビリにご自分の熱量を注ぐんだ
遊び呆ける側がボヤくなんて贅沢だ
そして働いてる人に失礼だと思って
行くと腹を決めて
雨合羽とキャップと防水スプレー長靴にかけて完全防備の濡れることでテンションが下がってライブを楽しめないリスクをヘッジ
ババアだからな体力には不安だらけだし仕方ない
万全を期す
天気予報は相変わらずの強い雨の予報で
安心してくださいと言わんばかりだし
syrupからは中止のアナウンスがない
いや日本シリーズも中止なんだけどね笑
なんで逆に言うとやるんだろ、中止にしないんだろうと言うくらいの他のイベントが軒並み中止のアナウンスを早め早めに出す中で
syrup運営のアカウントは中止の二文字をアナウンスすることなく刻々と開場時間を迎えた
日比谷公園に近づくと
人間てるてる坊主というかビニールのカッパやポンチョやそれゴミ袋やろって各々雨からの防御を施した人が地下鉄の通路の隅で静かに身支度をしている
ああ同志
そんな思いが自然と湧き上がってきて
日比谷野音に向かう河童の集団は
新興宗教パナ◯ウエーブみたいだなとか思いながら
いや五十嵐さんは教祖だよなあ
歌は祝詞我々は祈りを捧げに来たんだもんなあと思いながら
友人からチケットを会場で受け取ると
なんとAゾーンの6列目ステージほぼまん真ん中(ステージを囲むカステラで言うと茶色いとこ)と書かれているのを見て
神ってるとはこのことかと
そもそも当日引き換えってのんびりし過ぎやないのとツッコミみながら
空いた席へと誘われていく
ライブレポと銘打ちながら笑
ちっとも始まらないのだけど
ライブの内容については私は詳しくもないし
専門の記者さんやメンバーの書いたものを読んでいただくほうが正確だと思うので
書くことはしないけれど
ひとつだけ
このライブのタイトルになっている遅死だけれど
過去のアルバ厶
Delayed 、Delayedead 、Delaiedback
の遅延の流れを汲んで
日比谷野音の遅死ライブの再現ライブであるのだけれど
遅い死ってなんだろうと
ずっと聴きながら考えていて
最後のリアンコールのMCで
どうしても日比谷でやりたかったんです
二十年後も生きていてよかった
来年もライブやります
また会いましょう
というようなことを言って
リボーンという歌を歌った
その時にハッとして
遅死の反対は早死
三十代まで生きてるのかなと歌っていた自分へのアンサーだと思うし
死ぬのを遅延しましょう
ゆっくり急がず死にましょうということは
究極の生への応援
ファンへの感謝や
共に生き抜いたことを喜びこれからも生きましょうと分かち合うために
雨が降ろうが槍が降ろうが
この日にこの時にここでライブをやらなきゃ意味がなかったんだと思った
だから大雨で軒並みのイベントがマトモに中止のアナウンスをする中で敢行したんやと思うと
雨だか涙だかわかんない何かが頬を伝った
道づれにしてゴメンねえという
メンバーのコメントもあって
ああそういう道づれなら大歓迎喜んでと
庄屋の店員さんみたいに跪いてしまいそうになる
優しく叫ぶ五十嵐さん