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ゲイシャを買った

祭り囃子に誘われて
このクソ暑いのにふらふらとつま先が向かうのは
根っからのお祭り好きというか 
ハレの時のワクワク感に血沸き肉躍るタイプなんだなと
いい年こいても治らないやつを撫でてみる

中二かよ笑

途中
ここの水出し用のコーヒー豆をこよなく愛する同僚のために
コロンビアをとコーヒー焙煎所にふらっと立ち寄る
商品棚に並ぶコーヒー豆をふと見遣ると

あ、GEISYAの6文字
喫茶店で何度か名前に惹かれて飲んだことがあったので
試しに買ってみようとカウンターのお兄さんにこれくださいと手渡す

あ、赤毛さん、
い、いきますか、いっちゃいますか、ゲイシャ!!!

カウンター内のお兄さんと、店長さんがまあるく目を引ん剝く

え、ええ、ゲイシャコーヒーですよね
何度か飲んだことがあって、美味しいなあと思うので
はい、ください

この時点で実はこの店にはプライスカードなるものがなく笑
私はこのゲイシャがいくらするか分かっていない
まったく売る方も売る方だし買う方も買う方だ

ちなみにいつも買うコロンビアは100g1200円だ
それが安いのか高いんかは知らない
値段じゃない、嗜好品なんだから美味いか不味いかの2つしかないし
このお兄さんのところのコーヒーは炒り方なんだと思うけど
コーヒーに有りがちな苦みと酸味、スッパニガイ後味が全くない
さっぱりとしてフルーティですうっと軽く入って来て
コーヒー独特の重さがない

あかげさん、このゲイシャ4000円です!!!!!
貴族です、こいつ、貴族みたいなやつです。
トップオブトップの最高級のゲイシャですと
興奮した面持ちで、
4000円のコーヒー豆を買うもの好きがここにいたぜ!とばかりに
頬を紅潮させてどこの畑で採れたどんくらい希少な豆かを
とくとくと説明してくれた

よ、よ、4000円ですか
ちょ、ちょっとビビりますね、いつものと同じくらいかと
勝手に思っていましたと

後ずさりしそうになったけど
ま、まてよ、ここで下げたら女が廃る!!!!と
なぜかこういうときに理由もなく強気になるタイプなので

いや、買います、買わせてもらいます
これも何かのご縁です
そんなに希少なゲイシャにここで会えたのも運命です
正座して正装していただきます!!
あ、いや、コーヒー好きの友達にプレゼントしてもいいかなああ

赤毛さん、プレゼントするんすか、
あげちゃうんですか、飲まないんですか、
貴族ですよ貴族、本当にテッペンのコーヒーですよ
そのお友達、貰ったら嬉しいだろうなああ

実は赤毛はコーヒー派ではなく紅茶派で
東インド会社の末裔TWGのフレンチアールグレイを最高峰
自分へのご褒美にしているので
宝の持ち腐れなんだ苦笑

株だったらストーリー買いするタイプで
勿論株はやらないしやったらメタメタ損するだろうけど
時と場所と人の三位一体、ゾロ目が揃う時はそうはないのだから
一瞬で決めるのが赤毛の信条

どんな別嬪さんなコーヒーなのか
封を切らずに友達に渡す時まで
ゲイシャは出番を待っている

高田渡さんの息子さん
高田漣さんのコーヒーブルーズ
ホッとするなあ


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