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試行錯誤の青春展 新居浜でがんばる未来のエンジニアたち

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2024年11月16日(土)から2025年2月2日(日)を会期として、あかがねミュージアム1F「新居浜ギャラリー」で実施する企画展の内容を紹介します。 工業都市・新居浜で「モノづ…
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#衛星

「学生が、どんどんのめり込んでくれた」 -「KOSEN-1」開発を支えた教員たち

 2018年12月にプロジェクトが採択され、2021年の打ち上げに向けて本格的な開発がスタートした超小型衛星「KOSEN-1」。高知高専を中心に、新居浜高専を含めた全国10校の高専が、役割分担しながら開発を進めた衛星でした。新居浜高専での開発を主導した一人が、2020年に新居浜高専・電気情報工学科に着任した今井雅文さんでした。  アイオワ大学の研究員だった当時から、NASA(アメリカ航空宇宙局)の木星探査機「Juno(ジュノー)」プロジェクトに参加するなど、木星研究の分野で

「高専スペース連携」の夢をのせて -超小型衛星「KOSEN-1」前史

 「KOSEN-1」は、高知高専の今井一雅教授(当時)をプロジェクトマネージャーとして、高知・群馬・徳山・岐阜・香川・米子・新居浜・明石・鹿児島・苫小牧という全国10校の高専が参画して開発・打ち上げを行った、超小型の人工衛星です。  超小型ってどれくらい?と思うかもしれません。たとえば、気象観測衛星として地球を周回している「ひまわり8号」や「ひまわり9号」の、太陽電池パネルを含まない本体のサイズは、だいたい【2.2m×2.1m×2.9m】。軽四自動車1台分よりちょっと幅が広い

「つぎは宇宙でね。」 -「KOSEN-2」が、届かなかった日。

 もうすぐ始まるライブ配信の画面には、「革新的衛星技術実証3号機 イプシロンロケット6号機 打上げLIVE中継 打上げ時刻 9時50分43秒」と表示されている。  ほどなくして、ライブ配信が始まる。イプシロンロケットの歴史が、様々な関係者の証言と共に紹介されていく。  やがて、打ち上げまでのカウントダウンが0になり、轟音と白煙とともに、ロケットが宇宙を目指して飛んでいく。  そして打上げから約10分後。ライブ配信を進行していた司会者が、打上げの「中止」とライブ配信の終了を告げ

しんどいのと楽しいのと、半々でしたね。 -窪田さんの、「KOSEN-2」開発の日々。

 自身がプログラミングした「KOSEN-2」の補助的な基板について、こう熱を込めて語るのは、今回のエピソードの主人公、新居浜高専・専攻科1年生の窪田さん。専攻科に進学する前の高専3年次から「KOSEN-2」に関わっていました。  もともと宇宙分野に興味があり、それも天体などへの興味ではなくロケットや人工衛星など宇宙工学に興味があったという窪田さん。プログラミングには、元々心得がありました。  実際に「KOSEN-2」で担当したのは、衛星の運航を制御するメインコンピューター