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UXデザイナーにとってのOOUIとは?

この記事はGoodpatch UI Design Advent Calendar 2019の19日目の記事です。

Goodpatchの中では、UXデザインやサービスデザインをメインにやっているので、直接UIデザインを行うことはないのですが、プロジェクトの中でOOUIに触れる機会が多くあったので、UXデザインの観点からOOUIについて触れてみたいと思います。

今回のGoodpatch UI Design Advent Calendar 2019でも何名かのメンバーが触れてきたOOUIの考え方ですが、これはUIデザイナーのみが理解すべき考え方ではなく、UXデザインを行う立場にも強く関わってくる考え方になっています。

UXデザインとOOUIの関係

OOUIに関しては、「UIデザイナーのスキルとOOUI観点の構造設計」の中でも詳しく説明されていますが、その中で重要になってくるのは「オブジェクト」になります。そしてOOUIの考え方で設計を進めるためにまず、オブジェクトを抽出する必要があります。

では、オブジェクトはどこから抽出することになるでしょうか?

すでにあるソフトウェアの改善時には、そのソフトウェアの中で定義されているオブジェクトを抽出することができますが、新しい機能や0→1開発をするソフトウェアではどうでしょう。

答えとしては、そのソフトウェアをユーザーがどのように使うのか?というユーザー体験(ユースケースやユーザーストーリーなど)の中から、そのソフトウェアのドメインとしての概念を探り、その概念の中から「オブジェクト」という形で抽出します。

ソフトウェアに対するユーザー体験をUXリサーチから明らかにすることで、その中にあるオブジェクトの抽出に繋げることができます。

OOUIはUXデザインと密につながっている思想

OOUIにおけるオブジェクトは、ユーザー体験の中から探り抽出することができ、そう言った意味ではUXデザインと密につながった思想であるとも言えるのではないでしょうか。
0→1と改善で多少方法は違いますが、基本的に下記になるのかなと思っています。

・0→1のプロジェクトでは、オブジェクトを抽出する手がかりは理想の体験をベースとして、そのストーリーの中でドメインの概念を探りオブジェクトを抽出します。

・改善のプロジェクトでは、すでにあるものからオブジェクトを抽出を行いますが、この抽出したオブジェクトのモデルを再設計するためには、ユーザーのストーリーだったりユーザーのメンタルモデルとつながりを持ちます。

このようにOOUI観点の設計プロセスを行うためにはユーザーストーリーやユースケースの洗い出しなどのUXデザインのプロセスが必要となります。

一方でユーザー体験の中から概念を探り、抽出したオブジェクトをシステムとして正しく設計できるOOUI観点の設計プロセスは、UXデザインの工程で作った理想の体験を正しくソフトウェアとして構築するために必要不可欠なものとも言えます。

理想の体験をUIデザインとして接続してくれるのがOOUIの考え方になり、UXデザイナーにとってもそれを理解すれば、大きな武器となる考え方と言えます。

ユーザーストーリーから行うUI設計で陥りやすいタスク起点な設計

ユーザーストーリーやカスタマージャーニーは、ユーザーの行動(動詞)となりか且つ一直線的に描かれることが多いためそのままプロトタイプやUIデザインを起こすとタスク起点な設計になることがあります。

以前弊社で行なったイベントのレポートにはこのように書かれています。

UIの設計方法論には大きく「タスクベース」と「オブジェクトベース」の2つがあり、タスクベースはCUIの様に動詞→名詞の順に操作を行うもので、オブジェクトベースはGUIの様に名詞→動詞の順に操作を行うものです。名詞にあたるオブジェクトは変化しにくい一方で、動詞にあたるアクションは機能の追加や変更に応じて変化しやすい性質があります。

上記に書かれている内容はソフトウェアの拡張的観点や開発的観点になりますが、ユーザー体験の側面からみてもオブジェクト起点な設計が重要であると言えます。

タスク起点な設計の場合、ユーザーは悩むことなく画面に沿って操作を行うことができる一方で、そのタスク以外の実行は難しく制限がある状態になります。このようにタスク起点は、操作が分からない初心者にとっては使いやすいUIになるかもしれませんが、継続的にサービスに触れるユーザーにとってはどうでしょうか?
サービスやソフトウェアは、継続的にユーザーが利用することを基本と考え、そのためにUXデザインという考え方が重要とされているのではないでしょうか。継続的にユーザーが使うという点でみてみると、初心者である状態はある一瞬の点となり中級者や上級者の期間の方が全体でみると長くなります。

それを踏まえて考えるとサービスを使うユーザー体験においては、初心者ではなく中級者を主とし、初心者には中級者を主とした設計にサポートをいれ、学習しやすさを足すことが良いのではと考えています。

その状態を作るためには、ユーザーに選択肢がある状態のオブジェクト起点な設計を行う事が、ユーザー体験の側面からみても重要であると言えます。

タスク起点に陥らないOOUI観点での設計プロセス

ここで簡単にタスク起点に陥らないためのOOUI観点での設計プロセスに少し触れておきたいと思います。

今までやっていたプロセスを大まかな形に整理すると下記のようになります。(ここは人によっていろいろと自分のやり方があると思います。)画像3

UXリサーチから導いた結果を元に理想のカスタマージャーニーマップやサービスブループリントなどでユーザーストーリーを描き、その中で必要になる画面をデザイナーとディスカッションしながらホワイトボード等に手書きで画面定義。その後、UIデザイナーの方でプロトタイプ化を行なっていました。
ユーザーストーリーからの画面定義の過程で「動詞」のままプロセスが進んでいくためタスク起点な設計になる可能性が高いです。(暗黙的な経験値で自然と名詞に変換してプロトタイプを作成することもあるので全てではありません。)

一方、OOUI観点での設計プロセスを大まかな形で整理すると下記のようなプロセスになります。ユーザーストーリーからプロトタイプ作成までの間の工程を細かく分け定義することができます。
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ユーザーストーリーの作成後、そのドメインでの概念を探りオブジェクトを抽出することで「動詞→名詞」の変換を行います。名詞に変換したことで、ユーザーが操作するものは名詞であるオブジェクトとなりオブジェクト起点な設計を行うことができます。
また、オブジェクト抽出後は、ビューの定義それに伴うナビゲーション構成図(画面遷移のようなもの)の作成を行い、各工程を行き来しながら改善を行います。
ある程度の精度でビューの定義ができたタイミングでプロトタイプ作成に移ります。さらに、プロトタイプを作りながら改善を回し、最終的な画面としてのプロトタイプ作成が完成します。

今までのやり方では、暗黙的な経験値で画面を定義していたと思います。この部分は、なかなか形式化されず、個人の能力に依存することが多いように思います。

暗黙的だった間のプロセスを埋めることで、形式化できるとういのもOOUI観点での設計プロセスが優れているところですが、形式化できたことで各工程での改善サイクルを回し、整合性をあげられそれに伴い全体設計のクオリティをあげることができます。
この工程は、プロトタイプ作成後の手戻りを少なくすることができたり、手戻りが発生したとしても戻るべき場所が細かくあるため改善スピード自体もその正確性もあげることができると思っています。
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結び

UXデザインを行う立場からみたOOUIについて触れてみましたが、どうでしたでしょうか?
UXデザインにおいてUXリサーチから導き出した理想の体験を設計することはとても重要ですが、そこがゴールではありません。その設計した理想の体験をユーザーに正しく届けるための設計プロセスとして、OOUI観点での設計プロセスがあるように思います。
今までUIデザイナーやエンジニアの近辺で語られることが多かったOOUIですが、ユーザー体験にも密につながっている思想だということがわかると、UXデザインを行う立場にも身近なものに感じるのではないでしょうか。

理想の体験をユーザーに届けるために、また継続して使ってもらうサービスを設計するために、OOUIの思想に少しでも触れてみてください。

もちろん正しくユーザーに届ける方法はこれだけではないと思ってます。

個人的には、皆さんがそこに対してどうアプローチしているかもっと知りたいです。機会があればぜひ、デスカッションさせてください!

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そして、宣伝です!笑

少しでもOOUIに触れてみたいと思った方はこちらもどうぞ!
Goodpatchでは、OOUI観点での設計プロセスに触れられるワークショップも提供していたりもします。
興味がある方は、ぜひ下記記事も読んでみてください。

また、Goodpatchでは理想の体験を設計するだけでなく、正しくユーザーに届ける設計も行いサービス開発や改善を行なっています。
そんな環境に少しでも興味を持たれた方はこちらの方もお気軽にお声がけください。


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