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お茶本のご紹介 『松風の家』著:宮尾登美子
このゴールデンウイークは、宮尾登美子さん『松風の家』を読んでいました。宮尾さんの本は、初めて読んだ気がします。
明治初期のある茶道の流派の衰退、復調の物語です。
モデルとなっている流派は明らかですが、フィクションとして書かれています。
新しいものがすごい勢いで入ってきたこの時代、
茶道にとって難しいかっただろう時代のお茶のあり方への興味から読み始めました。
やはり想像通り、茶道家元の苦難の時代、あわせて、今とは異なる女の生き方や、家制度など、いまの自分にとって、遠い世界のことでした。
にもかかわらず、引き込まれました。
これが大作家の仕事なのかと、圧倒されました。
十分な歴史的な調査が作品に説得力を与え、作者の大げさでない人物描写が物語としての魅力を支えているということでしょうか。
文庫版あとがきは阿川弘之氏で「美しい絵巻」と表現されています。
茶道どうこう関係なく、読み応えのある小説です。
登場人物が多いのですが、文春文庫から出ているものには、はじめに相関図もあるので、迷子にならずに済みます。
上下2巻の長編です。
ちなみに、タイトルになっている松風は、釜の鳴く音をのことを言っています。
お茶を点てるのに最適なお湯の温度は、茶の味や香りを損じやすい沸騰の頂点ではなく、その前後、少し下り坂の煮え加減の時と沸騰の一歩手前の時と言われています。この時の釜の煮え音を「松風」といいます。
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