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孤独な研究者

この物語は、崖っぷち文系博士課程の院生が奮闘する日々の記録。

○大学図書館・リフレッシュコーナー

 生協で買ってきたおにぎりのパッケージを剥く。ペットボトルのお茶を飲む。

あかちゃん「室内でも水分補給大事。全面的に飲食禁止っていうのではなく、図書館内にこういう飲食OKスペースあるのは助かる。ツナマヨネーズおにぎり美味しい。」

 お茶を飲んでスマートフォンをいじる。メールを確認している。

あかちゃん「予約してた本届いてるじゃん。あとでカウンター行かなければ。」

○大学図書館・通路

 リフレッシュコーナーから出て、学生数人が集まって話しているガラス貼りの部屋の横を通る。

あかちゃん「ゼミか?サークルか?和気あいあいとしてるね~。近頃は人と集まって何かをやるなんて機会ないな。共同研究もしたことない。いやそこまで現時点で実力があるわけでもないともいう。いずれ誰かと何かやることあるのかな。分野によっては、チームで研究して100人ぐらい共著者がいる論文なんてあるよね。名前書くだけで論文の1ページ目埋まっちゃうよ。」

 図書館のカウンターに学生証を提示して、予約していた本を受け取る。

あかちゃん「私は文献研究が主体だから、共同で何かをやるって感じではないもんな。文献研究は、一人でできるし、図書館をフル活用すれば費用もそんなにかからない。」

○大学図書館・研究個室

 研究個室が立ち並ぶ中の一室の扉を開けて中に入る。机の上にはノートパソコンを広げていて、横に数冊の本を積んでいる。

あかちゃん「個室っていいよね。私はこういうところで、一人でコツコツ文献に当たる方が性に合ってる。文系でもアンケートとったり、インタビューしたり、もっと人と関わるリサーチ方法もあるけど。そういうのやってみようとは今は思わない。もちろんいつか可能性はあるかもしれない。」

あかちゃん「私は一匹狼。」

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