39mmより小さいものは口に入ります

  母子手帳にも誤飲(ごいん)・誤嚥(ごえん)についての注意書きはあります。しかし、39mmより小さいものは3歳未満のお子さんのお口に入り誤飲・誤嚥・窒息の可能性があることは、乳児健診などで確認してみると案外知られていないようです。

 地域によって母子手帳の作りが異なるためかもしれません。母子手帳に39mmの穴を繰り抜いた厚紙を綴じ込み実感できたり、「誤飲チェッカー」の作り方を書いたのもありますが、その一方注意事項を書いたのみの母子手帳もあります。

 生後五ヶ月になると、赤ちゃんは手を動かし 身の回りのものを掴んで 口の中に入れようとします。赤ちゃんに、これが危険だなんてわかりません。赤ちゃんはどんどんと発達するので、昨日掴めなかったものが、今日は口の中に入れていることもあります。39mmより小さいもの、特にタバコボタン電池ナッツ類は、遠ざけておきましょう。

 自宅で気をつけていても、遊びに行った家に普通にナッツ類が置いてかもしれないし、「赤ちゃんへのプレゼント」の中にも39mmより小さいものやボタン電池で動くものもあるかもしれません。

 日本小児科学会で「Injury Alert(傷害速報)」というものがあります。子供が案外意外なことで事故を起こします(No.035 鉄板による熱傷は当院からの報告です)。誤飲・誤嚥の報告がいくつかありますが、ここからNo. 47 木製おもちゃの誤嚥による窒息を少し長いですが紹介します。

事故当日、患児は同胞よりも先に食事を終え、苺を模した木製玩具(中心部の直径:3.5cm)(写真1、2)の先端部分をふざけて口腔内へ入れ、母親に見せにきた。母親はいつもすぐに出すように注意していたが、当日はいつになく厳しい口調で叱ったためか、ムキになった児は頑なに口を閉じ誤嚥に至った。母親が口腔内から搔き出そうとしたが奥へ陥入し、すぐに背部叩打法を行っても摘出できず、母親が119 番通報を行った。救急搬送中、救急隊員によるマスク換気はまったくできず、腹部が膨隆するだけであった。搬送中に心肺停止となり,胸骨圧迫のみ施行されながら搬送された。…現在、臨床的には脳死に限りなく近い状態で、入院から180 日が経過した。


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