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投資銀行について

突発的で想定外の事象が起き、数秒も許されない即対応が求められる。深夜に呼び出されることも多々あり、間違いも基本許されず、クライアントは基本ディマンディング。。投資銀行業務のように聞こえますが、毎日対応している育児のことです。で、極めつけ、金銭的な対価はない。。。何が言いたいかというと、育児は同じくらいハードワーク。でも、金銭とは違った見返りがある(と信じたい)。すみません、前置きが長くなりましたが、2回目なので、基本的な内容からです。

投資銀行って何?

長年にわたり当業務に携わってきた私自身、納得のいくこと答えが未だに見つかっていない。ちなみに英語では、Investment Bank(そのまんま)であり、Wikipediaによると『主に大口の個人や法人顧客に代わって金融取引を行う、コンサルティング業務をベースとした金融サービス企業または事業構造である。伝統的にコーポレート・ファイナンスと関連しており、・・・以下(略)』と。

確かにやっている業務はそうなんだが、『投資銀行』という言葉に結びつかないため、あるあるの質問は、『投資会社』なの?『銀行』なの?と、消化不良な回答に終わることもしばしば。『投資銀行って何?』の答えに対して、単に業務内容説明でなく、その名前の由来を説明してある文章を正直今のところ見たことがない。(ちなみに、投資銀行は、投資会社でもなく、町中にある〇〇銀行でもないです。)

ということで、業界にいた私独自の理解は、『投資を扱う銀行』。そのまんまで、これまたWiki同様にはぁ?なのだが、真面目に言うと、通常の銀行であれば、扱う対象がお金だが、それが投資に代わったもの。預金者はお金を銀行に預け、お金を必要とする事業会社は銀行に借入を依頼する。その文脈に則ると、投資家は投資ニーズを投資銀行に預け、資金を必要とする事業会社が投資銀行に資金調達を依頼する。投資銀行は、常にマーケットを通して投資機会を求める投資家の投資ニーズを把握しており、一方で事業会社に対しては、事業投資用の資金調達ニーズを常に収集している。ビジネスとしては、事業会社から資金調達(ファイナンス案件)を依頼され、その会社に投資したい投資家をマッチングさせ、調達した資金の一部を手数料として頂くのが分かりやすい基本形。つまり、マーケットにおいて投資情報や投資案件を扱っている銀行のような役割を果たすので、『投資銀行』となる。(経験をもとに説明を試みましたが、自分でも納得感はいまいちですね。。時間がある時に海外サイトを調べてるかな。。)

ちなみに、銀行はハードキャッシュを扱うので、預金と貸出はBS計上され、ストックビジネスと言われるが、投資銀行はお金ではなく投資案件といった情報を扱うので、BS計上されず、PLを通るだけのフィービジネスと言われる。別の言い方をすると、銀行は間接金融、投資銀行は直接金融。マーケットからの資金調達の時は投資銀行の出番だが、調達後は事業会社が直接投資家を対応する必要がある。

投資銀行ビジネスの基本構造

先ほど、事業会社による資金調達から投資家とのマッチングという流れを紹介しましたが、投資銀行の他のビジネスも基本的には同じ構図。代表的なプロダクト(サービスのことですが、業界的にはプロダクトと言います)として、M&A(合併と買収)、エクイティファイナンス(株式による資金調達)、デットファイナンス(債券による資金調達)、IPO(新規上場)、デリバティブ(金融派生商品)などがある。

例えば、M&Aエクイティファイナンスは、基本構造は同じマッチングで扱う証券も両方とも株式。違うのは、相手をする投資家の数だけ。M&Aは、一般的に事業会社:投資家=1:1であるのに対して、エクイティファイナンスは、事業会社:投資家=1:nとなる。投資家が特定の1社か、不特定多数かの違いだけ。投資家数が違うだけだが、株式には事業会社をコントロールできる権利も付いてくるので少し事情が異なる。

M&Aになると、資金を調達したい(事業を売却したい)事業会社は、その権利もセットとして投資家に株式を渡すので、株価以外に色々と当事者間の交渉事が多くなり、時間もかかり、複雑になる。また、M&Aにおける投資家は、コントロールできる権利も獲得できるので、純投資を目的とする投資家よりその事業を運営したい事業会社のケースの方が多い

一方で、エクイティファイナンスは、基本的に特別な権利を付けない形態で、薄く幅広い層の投資家に株式を配分して資金調達するので、事業会社と投資家双方の株価目線さえ合えば、事業会社は資金を調達できる。

いずれのケースも、ビジネスとしては、事業会社(セルサイドという)が起点となり、投資家(バイサイド)へ流れることから、投資銀行は基本セルサイド向けに営業をすることが多い(M&Aでは、sellside is kingという言葉もある)。

最後に、投資銀行って儲かるの?ということだが、代表的な儲けの多い案件は、エクイティファイナンス。事業会社にいかに株式で投資家から資金調達をしてもらうかを考える。となると、事業会社には資金を使ってもらうことを考えるので、営業の多くはM&Aの提案を行っている(〇〇会社・△△事業を買いませんか?と)。夢見る案件としては、大型M&Aエクイティファイナンス(デットでもOk)⇒それに関連するデリバティブ次のM&A、という流れです。投資銀行は、M&Aを数多くする会社が大好きです。

投資銀行って今後どうなる?

業界内で言われていることは、いつまで投資銀行ビジネスが続くか?投資銀行業務は、極めて労働集約型ビジネスです。Bloomberg、Thomson、FactSetなど役立つデータベースは色々あるのですが、事業会社の事情は千差万別で各社に合った提案を常にカスタマイズする必要があるので、投資銀行はとにかく資料を個別に作成しまくり、クライアントへの提案が終われば、また次のミーティングに向けて資料を作成する。その繰り返しの中で、案件を依頼されるというルーティン業務です。

これを聞くと、いつかは投資銀行業務はAIに仕事を奪われる、と思われる人がいるかもしれませんが、正直私もその一人です。すぐに全業務が切り替わることはないですが、徐々に業務プロセスは自動化され、投資銀行業務の範囲は徐々に狭まり、手数料も薄くなっていく気がします。

反論として、M&Aやエクイティファイナンスは、経営の根幹に関わる重要案件であり、"アートな"部分もあるので、やはり人間同士でないとうまくいかない、という意見があります。個人的には、決めるのはあくまでもクライアントであり、クライアントが求める情報や提案をAIが代替できれば、投資銀行がいちいちカスタマイズして営業対応する必要はないと思っています。営業マンの話を聞かなくとも、ネットで高額商品を買う(or 売る)人が多くなってきている流れに近づく気がします。投資銀行業務のデジタル化というテーマも今後事業が軌道に乗ってきて、時間とお金が許せば、挑戦したい事業の一つのテーマと思っています。

長文ですみません。文章力を上げて、短くまとめたいと思います。




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