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あの時「ポートピア」に見た夢、の行く末
♫ ポォ〜トォ〜ピア〜、The city of light and wave〜 ♫
「モンキーマジック」や「銀河鉄道999」で一世を風靡したバンド「ゴダイゴ」のタケカワユキヒデさんが歌うこのメロディーを懐かしく思い出す方は、今やあまりいらっしゃらないだろうか?
とか言って当時の私も「♪ポートーピアー」のあとは殆ど歌えなくて、「♪シティ、ふふふーふふーん」とか、誤魔化して歌ってたけれど〔笑〕
これは1981年に、私の故郷、神戸市で開かれた地方博覧会「神戸ポートアイランド博覧会(愛称 ポートピア '81)」のテーマソング。あれから42年!今聴くと、冒頭のアップテンポなブラスセクションから、いきなりタケカワさんがスローに歌い始める、シュールな曲。皆さんも、ちょっと聴いてみてください!
歌詞には、こんな言葉がある。
山の心が海にとけ、ひとつに・・・・
当時「山、海に行く」と言われ、山を削って住宅地を開発し、その土砂を海に運んで埋め立て人工島を作った神戸市。今思えば、「山の心が海にとけ〜♪」とか言っても、単に山の土砂を海に流しただけで、単なる自然破壊ちゃうの、とも思えるが、当時は「株式会社神戸市」とか言われてその手法がもてはやされ、その象徴の人工島ポートアイランドで開かれた博覧会は収益を上げて、成功とされた。
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その後、全国各地の自治体が続々と地方博覧会を開き、失敗が相次ぐことになる(東京の都市博中止も懐かしい)が、その「地方博ブーム」の先駆けだったのだ。
ちなみに、私が子供の頃よく遊び、学校のマラソンで走った住吉川の土手は、今も市民のジョギングや散歩のコースとして憩いの場所となっているが、これは、もともと、沖合の埋め立てのために、山の土砂をダンプカーに乗せて海に運ぶ道として作られたものだそうだ。
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ポートピア’81は、子供だった私の心もワクワクさせた。
東京のゆりかもめよりも15年近くも前に導入された新交通システムの無人運転やホームドアに驚き、長い行列を作ってパビリオンで立体映像を見て、初めて見るパンダに興奮した。子供ながらに自分の街を誇らしく思ったあの時の気分は、今でもしっかりと思い出す。
なんか、あのまま華やかな発展が続き、このポートアイランドが世界につながっている気がした。大袈裟ではなくそう感じていた。
神戸新聞社の当時の映像を見つけた。ポートピア'81の思い出がない方はご覧になると少しイメージをつかんでもらえると思う。時代を感じられて面白いですよ。
地元サンテレビの特集番組
今回、大病で入院をする父親に会いに神戸の実家に帰った。
その時に、憧れのリゾートだった六甲山が寂しくなっていてショックだったことを書いた。
寂しさにショックを受けたのは、六甲山だけでなかった。
今回は行き帰りとも、ポートアイランド沖の人工島にある神戸空港を使ったのだが、ポートアイランドも、ゴダイゴが歌った「光と波の街」とはほど遠い寂しさだった。
ポートアイランドに渡る手前。道路がこんなに立体的に縦横無尽に走っていても、走っている車はまばらだ。
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神戸大橋から山側を見た港の風景は大好きなのだが。やっぱりどこか寂しい。
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今回は、辛い帰省だったので写真を撮る余裕がなかったが、「山の心を海にとかした」人工島は、空き地が目立つ。憧れのデートスポットだった神戸大橋のたもとの北公園付近でさえ、地面のコンクリがヒビ割れ、ぺんぺん草が生えているのを見て、ショックが隠せなかった。
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僕らの「ポーアイ」は、こんなんじゃなかった。もっとキラキラしてた。今の若い人は、特にモザイクやハーバーランドの辺りをもって、これでもオシャレで格好良いと思うかもしれないけれど、また、神戸だけじゃなくて時代そのものが縮んでいることと関係があるかもしれないけれど、かつての神戸の輝きはこんなもんじゃなかった・・・ように、確かに感じていた。
特に今回は父のことで辛い気分だったこともあってか、この40年での変化はずしりと心にこたえた。キラキラと輝いていたもの、ずっと続くと思っていたものが廃れていくのを見るのは、辛い。街も人も同じだ。
そんなことを考えながら、東京に帰るため、新交通システムで神戸空港へ。
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我が故郷は、なんか、実力以上の背伸びをしすぎていたのかな。神戸の本当の良さはコンクリではなく、もっと違うところに十分あるのに。・・・と思っていたら、こんな記事を見つけた。えっ!? 空港と三宮を結ぶ新しい地下鉄の建設構想って、何?
と、いうより、神戸空港に国際便の就航が予定されていたのか。知らなかった。
この問題、私は取材したこともなく知識がないので正確なコメントができない。
神戸空港はそもそも関西空港との関係や、政治の要因で今の中途半端な役割になっていることも聞いていたけども・・・
これはあくまで、自分の感覚だけど、嫌な予感がする。本当に大丈夫だろうか?
大きなものを建設する時に潤う業界の人たちのことではなく、本当に人や物の流れは生まれるのか、そして、十年後、二十年後の市民がどんな街でどう感じて暮らしているか、そのビジョンは描けているのだろうか。地下鉄は、寂しくなったポートアイランドを再生するものになるのか。その皮算用は適切なのだろうか。
巨大なコンクリのハコモノの中から、神戸の一番の魅力である「ソフトパワー」が十分に生まれないうちに、ハコモノが劣化してしまった。一回失敗しているだけに、とても不安だ。
ふるさとに、どんどここんなもの作って、挙句の果てにぺんぺん草、はもう嫌だ。
山をあんなに削ったんだから、発展してくれないと、そこに住む人にとって誇らしい場所にならないと、ふるさとが浮かばれない。
父のことをずっと考える傍ら、そんな不安も感じながら、飛行機に乗り込んだ。
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最後に、皆様にお礼とご報告。
父の手術は6時間かけて無事終了したとのこと。本当によかった。
この後、1日でも多く長生きしてほしい。親孝行ができていないことが、こんなに辛いとは、そして焦るとは思わなかった。
励ましていただいた皆様、本当にありがとうございました!
心より御礼を申し上げます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
AJ
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