I say Hi from my kitchen

家の中で一番好きな場所はどこかと聞かれたら、たぶんキッチンと答える。

幼少期はソファの上、ティーンの頃はお風呂の中、OL時代は個室トイレが一番落ち着けたけれど、今の私のmy placeと言えば、奥に小さな小窓のついたキッチン。

でも、この場所がずっと昔から好きだった訳ではなく。
もともと料理は大の苦手。料理のイロハを、うっかり実家の母に教わることなく、ポンと嫁ぎ先に来てしまったがため、それこそ日々失敗だらけ。周りのお料理上手のお友達が、羨ましくて仕方がなかった。

ただ昔から、食べることだけは大の好物。新しいものに目がない食いしんぼうタイプ。
五感の中でも特に、何でも味覚を使って経験したかったわたしは、日々食への尽きる事ない興味と、未知の味への好奇心を満たすがごとく料理しているうちに、いつからか自然と、料理を作るということ自体が楽しくなっていった。
そして、その小さなキッチンという空間の中で、気づけば沢山のストーリーが生まれて、それが大切な想い出になっていった。

毎晩、子ども達が寝静まったあと、最後の水仕事を終え、電気を消してキッチン奥の小窓のそばへ行く。
運が良い日は、ひんやりとした窓に、顔をピッタリとくっつけて上を見上げると、星が一つ二つ光っているのが見えるからだ。そしてそんな日は、1日の最後にとっても満たされた気持ちに何となくなるのだ。満月の夜は、暗い夜空に大きく光るまあるいお月様にしばし心奪われ、そこはひとときのロマンチックな空間になる。

そしてまた明日が来たら、ママ〜今日は目玉焼きにして〜というあくび混じりの長女の声とともに、我が家のキッチンにも朝がやってくる。

そんな、毎日の営みの中で生まれた小話を、少しずつ。


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