カレー屋が実験に至った物語〜前編〜
この話は2020年末頃に遡る。
コロナ禍で初めての年末の東京。
夜は殆どお店を開けられていなかった頃。
よく来ていた常連さんが"また皆でカラオケとか行けたら良いですよね…。"と遠い目をして呟いた。
思えばあの一言からすべてが繋がっている。
皆でカラオケはなかなかハードル高かったあの頃、それならば私が曲を弾いて歌って貰えたら少しは気が紛れるのでは💡と、お店の隅に立て掛けてあったミニギターで弾けるレパートリーを増やし始めた。冬っぽい曲が数曲弾けるようになった頃には春になっていた。
春になっても歌えるような状況ではなかった。それどころかお酒も提供出来ない新たなルールが出てきて素面で皆が私の流しに付き合って歌ってくれるかも怪しくなってきた。
私はギターをそっとお店の隅に戻し置き、GW明けに今度は触った事もないレコーディング機材を揃え始めた。
カラオケも流しもダメなら…DTMで曲を作って皆に個々でレコーディング参加して貰ったら楽しいのでは💡
界隈の飲食店が出前系を増やすとか、いっそテイクアウト専門店にして夜も開ける、移動販売などの企業努力をしているなか、
私は気付いたらYouTubeでDTMを1から学び始めていた(YouTuberキックンさんありがとう)
久々に夜少し開けられる状況な頃、常連さんだったお客さんが一見さんのお客さんに"よく来られるんですか?"と訊かれ、"年に数回しか来てません"と答えるのを耳にした。
コロナ前は1日に昼夜3回来る事もある方だった。
このままでは"常連"の名がこの店から、…いや、やがてはこの世界から無くなってしまうのではないか⁈
だったらアレだ💡"常連"の名をメンバー名にして音楽グループにでもしてしまえば後世に残せるのではないか⁈と
グループ名は"カレー屋と常連たち"と名付けた。
6月に機材が揃って奇跡的に8月にはどうにか人に聴かせられる状態の新曲を2曲、昔作った曲をベースに1曲作った。
とりあえず一番楽しそうな曲"モーモーチャーチャー"をかつては集っていた"常連さん"などにLINEで送ったりUSBで渡して
聴いてもらった。
ここまで来て当たり前な事に気付いたのだけど、カラオケは好きだけどレコーディングはちょっと、勘弁してくれな人もいる。
何それ楽しそう〜✨と参加してくれる人、参加はしないけど先の見えない日々に突飛に生まれたイベント的な楽しみ方をしてくれたり応援してくれる人も出てきて、これまでわりと孤独にやっていた思い付きがだんだんと皆の楽しいアクティビティーみたいな様相になってきた。
ランチ後の仕込みの合間などに店内で一人ずつ歌いに来てもらった。みんなホントに歌上手いし台詞劇もラップもスムーズにこなすし✨私のあやふやな人生初ディレクションでよくぞ❗️というテイクが沢山録れて新たな楽しさの日々だった。
"モーモーチャーチャー"とはマレーシア発祥の実在するスイーツで、私が毎年"今年はモーモーチャーチャーが日本で流行るのでは⁈“と期待している気持ち、いつか食べたい気持ち(実は未だに食べた事はないけどきっと好き)、そして単純にモーモーチャーチャーという響きが好きで連呼したいという気持ちをそのまま歌にした楽曲なのだけど、参加してくれた皆は"え⁈モーモーチャーチャーってアミさんの造語じゃないんですか⁈"って😇
みんなに今更ながらどんな店主と思われてるんだろうと思ったけど。そんな奴に付き合ってくれてどうもありがとう!
折角作ったのだし、Tune coreという配信方法で全世界に向けてリリース配信してみよう✨
みんな職業あるし、こんな世で店名を出して売名だと思われても(そもそも店名がアジト)だし、流行りの匿名グループで出してしまおう〜と考え💡
有難いことにリリースに必要な諸々も常連さん達サポートをお借りすることができ!
2021年11月
カレー屋と常連たち第一弾シングル
『モーモーチャーチャー〜憧れのモーモーチャーチャー編〜』
はリリースされた。
万が一にも売り上げが出て、コロナが落ち着いて集まれるようになったら中野サンプラザでパーティーだ〜🎉という淡い夢を、あの頃の私たちは抱いていた。。。
〜後編へ続く〜