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新卒後すぐ年100万円を貯めた貯金術
私の貯金術を書くにあたって
貯金と聞くと、堅実にお金を管理し、計画的に貯めるイメージがあるかもしれません。
しかし、私はそこまで几帳面でも継続性がある性格でもありません。家計簿なんて付けたこともなかったですし、おそらくやっても続かなかったと思います。節約生活を楽しむ性格でもなく、計画的に資産を築くための方法を実践していたわけでもありませんでした。
大学を卒業した頃は奨学金を早く返済したいという思いはあったものの、具体的な貯金計画を立てることもせず、ただ日々の生活を過ごしていたというのが実情です。それでも新卒5年目には500万円の貯金ができていました。
これから当時の生活を振り返って、貯金ができた要因についてまとめたいと思います。目次は以下の通りです。
さて、見ていただいて分かるように、かなり貯金術らしからぬタイトルが並んでいるかと思います。
私の当時の貯金術は性格や偶然も影響しているため、正直全くお勧めできないですし、やりたいと思う人もいないと思うのですが、そんな人もいるんだくらいの感覚で読んでもらえるとありがたいです。
本当であれば「少しの工夫で年間100万円貯めた楽々貯金術」みたいな役に立ちそうな記事を書きたいのですが、あくまで私の実体験で語りたいと思います。
私の貯金術
食習慣
私は基本的にあまり人と会いたくない性格です。特に社会人になりたての頃は酷かった。新しい環境から来るストレスのせいなのか、休日になると、部屋から出たくない気持ちが強く、食事すら抜いてしまうことがありました。
昼頃に目が覚めて部屋を出るかどうかとぐだぐだしていつの間にか夜9時とかざらにありました。特に、ゲームや趣味に没頭していると、食事を取ることすら忘れてしまうのです。その結果、食費は自然と抑えられ、貯金につながりました。
ただし、この「節約法」は決して推奨できるものではありません。食事を抜くことは、健康面に大きなリスクを伴います。空腹によって深夜に起きることもありました。エネルギー不足で集中力が低下したり、体調を崩したりする可能性も高くなります。実際、当時の私は体調不良を感じることも少なくなく、今思えば明らかに無理をしていたなと感じます。
「食費を抑える」こと自体は大切ですが、健康を犠牲にしてまで実現するものではありません。健康でいることが、結果的には生活全般の効率を上げ、無駄な出費を防ぐことにもつながります。今同じことをやれと言われても無理です。
社員寮
新卒で入社した会社には福利厚生で社員寮があり、これが私の貯金を大きく後押ししました。寮費は驚きの月7000円。しかもガスや光熱費込みです。さらに月2万円を追加すれば、平日の朝夕食までついてくるという充実ぶりでした。住居費が抑えられるだけでなく、食費も節約できるこの環境は、新社会人にとって理想的と言えるものでした。
とはいえ、社員寮は快適とは程遠いものでした。お風呂、トイレ、洗濯機は全て共用で、建物自体はかなり古びています。壁に穴が開いている部屋も珍しくなく、冬は隙間風で凍えそうになることもしばしば。梅雨時には湿気でカビ臭さが充満し、同僚たちはファブリーズを常備していました。肌が弱い人は発疹が出てしまうことがあり、ダニでもいたのかもしれません。このような環境に嫌気がさし、早々に寮を出ていく若手社員も少なくありませんでした。
しかし、私はそうした不便さをあまり気にしない性格だったので、格安な環境に感謝しながら住み続けました。その結果、徐々に寮の古株となり、古株ならではの居心地の良さも感じるようになりました。周りから干渉されることも少なくなり、気づけば「このままずっとここでいいかも」という思いと、「このままでいいのか」という漠然とした不安が交錯する日々を過ごしていました。
「家賃を抑えることが貯金の鍵」とよく言われますが、それを実感したのはこの社員寮での生活のおかげです。月27,000円で食事と住居をある程度まかなえたことで、貯金は順調に増えていきました。ただ、就職活動時には社員寮の存在や福利厚生の詳細までチェックする余裕はありませんでした。結果的に、偶然にもこの格安寮に入れたことは私の幸運だったと言えます。
これから就職活動をする人には、給与だけでなく福利厚生にも注目することを強くおすすめします。住居費が抑えられる環境は、心にもお財布にも大きな余裕をもたらしてくれるものです。
飲み会
「飲み会行かない主義」が、思わぬ形で私の貯金につながりました。もともと私は内向的な性格で、仕事終わりに同僚と飲みに行くより、自宅で一人静かに過ごす方が好きでした。人と長時間話すことは私にとってストレスで、特に興味のない話題が続くと、精神的に疲れてしまいます。さらに、巧みな会話術も持ち合わせていなかったため、飲み会への参加は極力避けていました。
飲み会に参加すれば当然、出費がかさみます。一次会だけでなく二次会、三次会と続けば、その額はさらに増える一方です。このような飲み会を回避していた結果、自然と毎月の交際費を抑えることができました。
ただし、この「飲み会回避生活」には副作用もありました。しばらく続けると、「飲み会には来ない人」というレッテルを貼られ、次第に誰からも誘われなくなってしまうのです。これは仕方のないことだと理解していますが、少し寂しさを感じることもありました。完全に自業自得なんですけどね。
服
服を買うことも、私にとっては大きなハードルでした。服屋の店員さんと話すのが苦手で、店舗に足を運ぶこと自体を避けていたのです。店員さんが笑顔で話しかけてくれても、私はひきつった笑顔(のつもり)で対応するのが精一杯。怖くなって途中で話を遮り、速足で店を出てしまうこともありました。そんな経験から、「迷惑をかけないように」と服屋に行くこと自体を避けるようになっていきました。
その結果、服を買う頻度は極端に少なく、衣服にかかる出費も自然と抑えられました。高校生の頃に買ったセーターを毛玉だらけのまま着続けていたこともありました。当時は「毛玉」という概念を知らず、社員寮で同僚に指摘されて初めて気付いたのです。また、スーツも自分では変化に気づかず、ボロボロになるまで使い続けていました。それも上司に指摘されてようやく買い替える始末でした。
これらは、私のコミュニケーション能力や積極性の欠如によるものですが、思い返してみると、意図せず貯金に貢献した一因でもありました。服にお金をかけずに済んだ分、貯金は順調に増えていったのです。
服を買うことさえハードルだった当時の自分に苦笑してしまいます。さすがに今はマシになっていますが結構緊張して服を買いに行ってます。
ポケモン対戦
趣味がゲームの人は、意外と貯金体質なことが多いと思います。もちろん、スマホゲームに課金をしすぎるタイプは別ですが、ゲームは基本的にお金が掛からない趣味と思います。私自身、大学を卒業してからも暇さえあればゲームに没頭しており、特にポケモンのネット対戦に夢中になっていました。子どもの遊びと思われがちなポケモンですが、対戦は奥が深く、戦略性に富んでいます。相手をじりじりと追い詰めていく感覚は、詰将棋にも通じるものがあります。
そんなポケモン対戦にのめり込んだ私は、休日になるとほぼ外出せず、一日中ゲームに没頭していました。ポケモンは本当に時間泥棒です。実際、3本のソフトでプレイ時間がそれぞれカンスト(999時間)しており、最低でも3000時間以上遊んでいる計算です。それだけ遊んでも、ソフトとハードの合計で5万円もしないというコスパの良さは驚異的です。
外出しなければ、当然ながら交通費や外食費はかかりません。娯楽費もほぼゲームに限定されるため、結果的に支出が少なくなりました。ゲームに集中するあまり、他の趣味や外出の機会が減り、自然と貯金が増えていったのです。
ただ、ポケモン以外に興味を持たなかった結果、会話の話題が乏しくなり、コミュニケーションに苦労する場面もありました。それでも、これだけの時間と熱意を注いだポケモンは、私の生活の一部であり、何にも代えがたい楽しみでした。そして、その熱中が予想外の形で貯金に貢献したのは、今思えば面白い話です。
テレビ
大学入学以降、私はテレビを持たない生活を続けていました。そのおかげで、N〇Kの受信料を契約する必要もなく、年間で2万円ほどの節約になったと思います。テレビを見ないことはお金の節約にはつながりましたが、情報面では少し偏りが生まれていました。
ネットが主な情報源となった結果、自分の興味のある分野に関する知識だけがどんどん深くなり、他の分野の情報はほとんど入ってこなくなりました。スポーツ選手やお笑い芸人、ドラマの話題には全くついていけませんでしたが、自分の興味がある分野だけ異様に詳しくなっていきました。
そんな生活の弊害を感じたのは、会話で「流行り物」を知らない自分が浮いてしまう瞬間です。相手が「当然知っているはず」と話を進めるとき、面食らうことが多々ありました。特に印象的だったのは、大学時代のある出来事です。友達が突然「おっぱっぴー!」と叫んだのを見て、私は「こいつ、ついに頭がおかしくなったのか?」と本気で心配しました。後から小島よしおのネタだと知り、自分の情報の偏りに苦笑したのを覚えています。
テレビを持たない生活は確かに支出を減らしましたが、その代わりに得られる情報の幅は狭くなりました。それでも、その分貯金ができたと思えば悪くはなかったのかな、と今では思っています。
通帳&カード
当時働いていた会社では、給与振り込み口座とは別に経費精算用の銀行口座を用意する必要がありました。それまで銀行口座を一つしか持っていなかった私は、新しく口座を開設することに。通帳とカードは封筒で自宅に送られてきたのですが、ちょうどその頃、社員寮への引っ越しでバタバタしており、封筒を開封することもなく、気付けばどこかに紛失していました。「まあ、そのうち出てくるだろう」と楽観的に考え、再発行の手続きもせず、ずっと放置してしまったのです。
この少し奇妙な状況が、思わぬ形で貯金に繋がることになりました。というのも、会社の経費精算はこの専用口座に振り込まれていたため、引き出す手段を失った私はそのお金に一切手をつけることができなくなったのです。普通なら「さっさと手続きして引き出せばいい」と思うところですが、当時の私は面倒くさがりで、そのまま放置してしまいました。結果として、気づけば口座にどんどんお金が溜まっていくという状況に。
この「放置貯金」のおかげで、使うつもりのなかったお金がいつの間にか貯まり、後に結婚式の費用をこの口座に入っていた貯金で全額賄うことができました。まさか通帳やカードを紛失するというズボラさが貯金に繋がるとは、人生何がプラスになるかわからないものです。
貯金につながったポイント
今回紹介した貯金術は、決して万人向けではありませんが、振り返るといくつかの共通点が見えてきます。
福利厚生の活用:住居費・食費を抑えられる環境が大きかった
外出や飲み会を控える:人付き合いを減らすことで支出も減少
低コストな趣味:ゲームやインドア趣味でお金を使わず楽しめた
貯蓄用口座を放置:ズボラでも貯まる環境ができていた
大切なのは、自分に合った貯金スタイルを見つけること。無理をせず、ストレスを感じない方法で貯金を続けるのが理想です。貯金はあくまで生活を豊かにする手段。お金だけでなく、自分の時間や健康も大切にしながら、バランスの取れた生活を心がけましょう。
本記事が、読者の皆さんの貯金スタイルを見つけるヒントになれば幸いです。