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ポストコロナのハロウィン事情、うちの場合



 来週はハロウィン。娘が家に帰っていたので、ハロウィン仕様のカップケーキを焼きました。ピーナッツバターケーキのてっぺんをくり抜いて小さな窪みを作り、苺ジャムをそこに落とし入れて、その上からココアフロスティングを絞ります。アメリカ人が好きなサンドイッチの定番、PB&J (ピーナッツバター&ジェリー)の組み合わせです。細かく砕いたピーナッツを織り込んだスポンジが口の中でホロッと崩れて、美味しいのです。使ったココアがブラックココアだったので、フロスティングが真っ黒になってハロウィンぽさが増しました。もともとアメリカのレシピだったものを、日本人の舌に合うように改良しました。





 ハロウィンは新年度が始まって初めてのイベントなので、小さな子供達は、夏休みが終わってしまった鬱憤を晴らすかのように張り切ります。9月も終わり頃になると仮装アイデアを考え始めます。創意工夫で、あっと驚かせたりクスッと笑いを取るようなコスチュームを毎年手作りする親御さんもいます。私はそこまでハロウィンに労力を費やしたことはありませんが、子供たちが中学校に上がる前の5年生までは、毎年トリックオアトリーティングに付き添いました。そして、実は、私自身も何気に楽しみにしていたのです。

 

 やはり何より楽しかったのは、子供たちの仮装姿を見ることでした。小さい子というものは何を着ても愛らしいのに、得意げな顔でプリンセスだとか動物だとかに扮してる様は、もう本当にどうしてくれようと悶絶する光景です。料金を払わずそんなものが見られるのは、テンションが上がりすぎて血圧が上がりそうです。そして、家を一軒一軒回って子供がキャンディをもらっている隙に、人の家の中がチラリと見えるのもたまりません。いつも通り過ぎている家の住人の顔が見られて、それぞれのインテリアセンスなども垣間見られて、無機質だったものに命や温もりが感じられるのが楽しいのです。


 
 子供が6年生になってからは子供だけで出かけてしまうようになったので、私は家にいて、家に来る子供たちにキャンディを配る側になりました。だいたい外が薄暗くなる6時ぐらいから外がガヤガヤし始めます。「Trick or treat!」という声でドアを開け、「わぁ、可愛いミツバチだね」とか「あなたは何?」などと言いながら、手に下げているバケツやバッグにキャンディを入れてあげるのです。我が家は、余ったら自分たちが食べなければならないことを見越して、キャンディの代わりに小袋のプレッツェルを買っておくことが多かったです。だいたい8時過ぎると、仮装もしないでお菓子だけせしめに回っている可愛くないティーンエイジャーしか来ないので、店じまい。外灯を消して、居留守を決めます。

 


 この習慣が途絶えてしまったのは、コロナ禍でした。2020年、21年の2年間は、ハロウィンの夜にトリックオアトリートに出ている子供の姿は皆無でした。その翌年から、人数は少ないもののちらほら出歩く姿が見られましたが、我が家は、さすがに1年以上も人との接触を絶った後に不特定多数の人と接触するというのは考えられませんでしたし、アマゾンから届いたものですら除菌シートで拭いていたというのに、人にお菓子をあげるなんて論外という感じでした。



 コロナ禍も落ち着き、もういいんじゃないか?とは思うのですが、ここ2、3年で物価が恐ろしく跳ね上がり、キャンディの価格も肌感覚では3、4割り増しになりました。自分の子供が小さかった時に散々もらっておいてこんなことを言うのもなんですが、毎日節約してやりくりしているというのに、こんな高いものをなぜ知らない家の子にばらまかなきゃいけないのか?と思ってしまって、ハロウィンの夜はひたすら家中の電気を消して居留守を決め込んでいる昨今です。

 

 伝統とか習慣とかいうものは、よくよく考えてみたら意味のないことが多く、いったん立ち止まってやめてみると、それ、なくてもよくない?なんて思ってしまうこともあります。けど、人を笑顔にするのは往々にして意味のないことで、そういう潤いや余裕がなければ明るい社会にはならない気がするので、来年ぐらいからぼちぼちキャンディ配布を再開しようかな……と思っています。


 


 

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