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【ネタバレあり】マリオの映画を観てきた日記
①導入:にわかだけどマリオ観てきました
唐突に気分が乗ったので『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を観てきた。
観るなら映画館でと、ほんのり気にしていた作品だ。
ゲーム題材ということもあって、客席には子どもから大人まで幅広い年齢層の顔が並んでいた。
日曜の午後回というのことも後押ししたのかもしれない。地元の映画館にしてはなかなか豪勢な客入りだった。
普段は(というほど頻繁に映画を観る訳ではないのだが)、映画館で酒を飲むという非日常を味わいたさにアルコールを購入しがちな私だが、今回はせっかくなので童心に浸ろうとジンジャエールにとどめておいた。
私が選んだのは吹き替え・2D版での上映だ。
3Dが用意されているからにはそちらが本命なのだろうが、どうにも三半規管に自信がなかったため、平面にこもることにした。
結果的には、大きな画面でゲームをできるような感覚が楽しかったので良い判断だったと思う。
なんならスクリーンで任天堂のCMが流れるだけでもはしゃいでしまった私がいた。
ほとんどゲームをしたことがないくせに、恐ろしい刷り込みである。
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②余談:私とマリオについての免罪符
そう。私はマリオに関して、というよりゲーム全般について、圧倒的ににわか仕込みなのだ。
ゲームとの出会いが、同世代の子どもよりも遥かに遅かったのである。
人生で初めて手にしたゲーム機はゲームボーイアドバンス。
当時の私は小学5年生だった。
ゲームスキルを鍛えるには時既に遅く、ただでさえ不器用な私は人生初のゲームとして選んだ「ポケットモンスター サファイア」をクリアすることなく終わった。
ごめんねアチャモ。
マリオ関連のゲームについては、友達とマリオカートで対戦させてもらったのが子ども時代の唯一で、その次の記憶は成人後のゲームセンター。
これもやっぱりマリオカートだった。
マリオは配管工で、コインを集める要素があって、敵はクッパ。
そのあたりは全て、近年訪れたユニバのニンテンドーワールドで得た知識である。
③本題:ネタバレだらけの感想
さて、前置きが長くなったが、そんなにわか仕込みの私が映画を観た感想を述べたい。
結論から言えば、映像的には映画館で観て損はなかったと感じている。
スクリーンで‘’マリオ‘’の世界観が映し出されるのは、目の前にゲームの世界が広がったような感覚があってわくわくさせられた。
ここに関しては、ユニバに行った日からそう遠くないタイミングで観れたのも大きいかもしれない。
トンネルを通り抜けた先に広がるカラフルな世界というのが、スクリーンに広がるキノコ王国の景色に重なって、私にとってはすこぶるリアルな追体験だったのである。
鑑賞中、関西圏の方は映画館からユニバ直行の日程を組めるのかという考えが浮かび、少々うらやましいほどだった。
ちなみに物語の大筋としては、
現実世界(ブルックリン)で起業を試みるマリオとルイージだが失敗続き
↓
ひょんなことから異世界(キノコ王国等)へ。マリオとルイージがそれぞれ別の国に飛ばされる。
↓
クッパの元に飛ばされてしまったルイージを助けるため、マリオはピーチ姫の手を借りることに。
↓
マリオ修行パート。キノコを食べまくる。なんやかんやあってドンキーコングと同盟。
↓
ルイージ救出。クッパその他大勢が現実世界へ。兄弟で力を合わせてクッパを倒す。大団円。
というものだった。
予想外だったのが、マリオ=ブルックリンの住人という設定だ。
ゲームのキャラクターとして認識していたマリオが、現実世界の存在として描かれることには少々驚いた。
それだけに、思わぬダメージを受けたのがマリオと父親の確執である。
マリオの父のセリフにこんなニュアンスのものがあった。
「夢を見てんじゃねえ、せっかく入った会社を辞めてバカな夢を追うなんて」
このセリフに心を抉られた人間は、意外といるんじゃないだろうか。
少なくとも私にはクリティカルヒットした。
申し遅れたが、私は絶賛ニート期間である。
転職先に当たりもつけず退職した身としては、なかなか堪えるシーンであった。
(ちなみに両親との和解もわりと最近のことだ。ますますダメージが大きい)
反面、心躍ったのはちまこくて可愛いキャラクターたちの存在だ。
冒頭登場するペンギン王国の子たちも、妙に不穏なことを言うルマリー(青い妖精みたいな子。名前は本編に出ないので鑑賞後に調べた)も、見た目が可愛くてなかなかニッチャリさせられた。
そして中でも圧倒的に「可愛い担当」の自覚を持っていたのが、キノピオたちである。
彼らは事あるごとに「こんなに可愛いのに」「可愛い私たちのために」と、自身の可愛さについて言及する。
その口ぶりたるや、アッサリしすぎていていっそ嫌味にすらならない。
「オッ、いいぞ!」という気分にまでなるのだからすごいと思う。
ちなみに私が一番好きだったのは、クッパ軍団の奇襲を受けて、キノピオが宙に投げ出されるシーンでのセリフだ。
咄嗟のキノピオが「死ぬには可愛すぎる〜!」と断末魔を残したときには、さすがにニヤッとしてしまった(すぐにピーチ姫にキャッチされて事なきを得るのだが)。
キノピオの自己肯定感が高いところ、嫌いじゃねえな〜!!
だが、自国のために戦う姿勢は見せてほしいナアと感じたのも正直なところだ。
彼らの性質が、ゲームにおける本来の設定とどれくらい一致しているのか、私にはわからない。
そのため、映画の中で提示された情報のみでの認識になるが、わりと個人主義の性質なのかもしれないとは感じた。
というのも、コインを無心で拾い集めたり、クッパから逃げる際に落ちたリンゴを拾おうとするといった描写が目についたからである。
こうした行動から、目の前の物事や自分の欲求に没頭できてしまうタイプのように見受けられた。
だとすれば、まるっきりよそ者であったピーチのことを育てたというのは、なかなかすごいことだったのかもしれない。
もしかして、彼女が「可愛い」の基準に刺さったから庇護対象になり得たのだろうか?
また演出面での気になることとして、途中、ゲームBGMと別に既存の洋楽が使用される場面が何度かあった(私の記憶の限りでは3度ほど)。
曲名こそ覚えていないが、「これ多分どこかで聞いたことあるな」と思い至る程度のものだ。
ゲームの気分に浸らせてくれよ〜と拗ねる心がなかった訳ではないが、そもそもマリオとルイージを現実世界の住人として描いた作品である。
現実世界と異世界の混ざり合った状況の象徴としての楽曲使用なのかナアということで、私の中では折り合いをつけておいた。
それにしても、どうしてこうも兄弟ものというのは涙腺を緩めるのだろう。
(答え:私がドのつくシスコンだから)
ルイージが終始不憫な目に合っているだけに、最終戦で兄弟揃ってスーパースターの光を帯びる場面はぐっとくるものがあった。
クッパとの対戦における勝利をもって、現実世界におけるマリオ&ルイージの評価は一変する。
けれどそれはあくまで、異世界のパワーを得ての成功体験だ。
現実世界で当初描いていた夢=配管工としての独立の成功、ではない。
エンディングで2人がキノコ王国に馴染んでいる姿は、それを裏付けるかのような印象を抱いてしまった。
ゲーム本来の設定としては正しい結末のはずだが、ちょっぴり渋い気持ちになったのは否めなかった。
総合すると、私の中では「深く考えなければゲームの世界を楽しめる映画」だったと言えよう。