ちょっとうちの子見ていってよ【所有ベース遍歴】【エッセイ】
この前、新しい子をお迎えしたので、備忘録的にこれまでうちに居た子たち……つまり持っていたベースたちをここにさらしておこうと思います。
今はもう手元に2本しかないけれど、どの子にも愛着があってカワイイ子たちでした。曲と一緒で、楽器もそれなりに時間と愛をそそぐわけで、『うちの子』と言いたくなる尊い存在たちなのです。
ちなみに私は趣味のベース弾きなので、今回上げる楽器はどれもベースです。全部で6本。総所有本数としては多くはない方だと思います多分。ギターも何本か手元にあったけれど、あんまり愛は注いでいないので割愛。
――では行きましょう。
【1本目】Fender(フェンダー) American Pro Precision Bass
私が楽器に初めて触ったのは高校の時で、その時はまだパートはギターでした。軽音部もありませんでしたし、バンドをやっていたわけでもなく、ひとり寂しくつま弾いていただけ。……あ、でも学園祭の時にバンプを友達と2人で勝手に歌ったりはしていました。
じゃあベースはいつから……? という話になりますと、大学で音楽サークルに入った時からになります。
たまたまギターが3人集まってしまい、どうする……? とすったもんだした末、一番ギターがうまかったヤツがそのままギター、もう1人がドラムに、そして私はベースをやろう、ということになったのでした。ここが私とベースとの出会いです。
そのとき私の頭の中をよぎったのは、高校の友達がベースを買っていたけれど全く使っておらずホコリをかぶっていたはず、というもの。そう、そのホコリをかぶっていたベースこそが、この記念すべき1本目のベースです。
「売って!」
「4万ならいいよ」
ということで、売買も即成立。私の手元にやってきたのでした。
スペックは今となってはよくわかりません。fenderのUSAだと言っていたので多分それはそうなんでしょう。画像および名称はイメージです。黒のプレベであることも間違いありませんが、どのラインだったのだろう……。
なんにしても、ほぼ新品のUSAフェンダーが4万円なら破格です。いい買い物でした。ありがとう友達。今はどこで何をしているのか知らないけど。
その後1年くらいはこれをメインで使いました。レッチリとかミッシェルなんかのコピーはこのベースでやりましたね。
育ちのいい子ですが、上品すぎることもなく活発で快活。やはり生まれは大事なのだな……と今なら思ったと思いますが、当時の印象はほぼ何もありませんでした。いやまあ比べるものがないからね。人生で一本目だからね。
ただ、フェンダーという王道ブランドであったことが、逆に若気の心に引っかからなかったんだと思います。1年足らずでなんとなく愛着がうすれ、私はいそいそと次のベースを探すようになるのでした……。
最終的にこの子は、サークルの先輩がなんでもいいから使えるベースを探している、というときに5000円でお譲りいたしました。5000円ならむしろ私が欲しい。4万出してもぜんぜん安いぞ。譲り手……私。貰い手……私。――いいじゃないか。
……とはいかないのが世の中の常というものですが、今から考えるとちょっと悔しいです。
【2本目】YAMAHA BB3000MA マイケル・アンソニー(Van Halen)シグネチャー・モデル
そんなわけでバーミヤンでのバイト代を片手に、お茶の水とかを練り歩く私の目に飛び込んできたのが2本目の彼です。
写真の映りが悪いんですけど、ネックのポジションマークが唐辛子になっていてかわいいんです。たぶん廉価版の方? なのかな。中古で88000円だったはず。ちょうど2か月分の給料で買えたのがお気に召しました。
問題は、別にヴァンヘイレンにはさして興味がなかったこと。それと、「レッチリが好きだからこれにしたの?」と聞かれること。いやレッチリは確かに好きだけれど、そういうつもりはで買ったわけでは全くなく、聞かれるたびに苦虫をかみつぶしていました。
さすがにクオリティに定評のあるヤマハさんの楽器。作りがしっかりしていて偏りもなく、クセのない硬質な音で、いろんなバンドをコピーしていた学生時代にはとても適していました。
地方の名家に生まれて、王道とは一線をかくすものの芯の強い一本気な気質と、上品さを兼ねそろえた黒髪日本美人みたいな。
この子は結構ずっと使ってましたし売る気はなかったんですが、先日、新しい子を迎え入れるために下取りしていただきました。下取り価格30000円ナリ。
誰かに使ってもらえたら、と思ってサークルの後輩に貸そうとしたこととかあったんですけど、「これ使ってると、たけのこの彼女みたいに見られるからイヤだ」と丁重にお断りされた思い出アリ。
【3本目】フェンダージャパン プレシジョンベース
今、「フェンダージャパン」ってブランドはなくなっちゃいました。で、例によって画像はイメージなわけですが、学生時代も半ば。私はサンバーストのフェンダージャパンをどうしても買わねばならない、という事態におちいるのです。
――というのも日向秀和(ひなっち)という男がいまして。
ストレイテナーというバンドでベースを弾いているのですが、要するにストレイテナーにドはまりして、手が届くものなら同じもので演奏したいと強く思うようになるのです。
しかもモノの本によると、当時のひなっちはこのフェンダージャパンというたった数万円で買えてしまうベースを使っているというじゃないですか。いやそりゃ買うよね。そろえるよ。30万とか言われたら無理だけど、数万円なら出す出す私出します。
そんなこんなで近くの楽器屋で取り寄せてもらって、お値段確か5万円。
荒くれのやんちゃもののイメージだったけれど、性根はしっかりしており、しんしんと雨が降るなか、路上に捨てられたネコを人知れず拾ってしまうようなあたたかな心も持ちあわせた子でした。我ながらこの謎の比喩イメージ描写なんなの。
でも実はこの子はちょっと不遇の子でして。意気揚々と使い始めたはいいんですけど、2弦……って細い方から2番目の弦があんまり鳴らなかったんですよ。いや微妙な差なんですけど、微妙に鳴りがよくない。コンプレッサーという、音のツブをそろえる機械を強めにかければほぼ問題はなかったとはいえ、どうにもそれが気になって気になって……
それこそストレイテナーのコピーをするときなんかには使っていましたが、後輩がベースほしいなぁって言っていた時に、
「1万円なら譲るよ」
「じゃ買うわ。はい1万円」
というやり取りをへて、人の手にもらわれていったのでした。
取り寄せてもらったせいで、あまりちゃんと試奏していなかったのが問題とは思いますが、ちゃんと試奏したところで、当時の私にその辺がちゃんと気がつけたかどうかは疑問でもあります。
【4本目】Warwick 5st
これもまたイメージ画像で、ワーウィックという種類であるということ以外さっぱりわからないんですよね。いや私が気にしなさすぎ、ということなんですけど。
もう社会人になっており、地元に帰ってオリジナルバンドをやっていた時ででした。有名どころでいうとマイケミみたいな感じ、かな。早くてやかましくて重低音な感じの音楽でしたので、一度は5弦ベースは持っておきたいし、この機会に買ってしまうか、と意気込んで買ったものです。
確か中古で10万円。安いラインであることは間違いなさそう。
通常ベースは弦が4本ですが、これは5本あるタイプ。
当て書きみたいな感じで、そのバンドのために、というのが主目的だったのでそういう意味ではいい選択でした。……こう、スプレーを吹きかけたような音がするんですよこれ。
グラサンかけて、ちょっと腹出ていて、タンクトップで必死でイキがっているアメリカの悪そうなおっさんみたいな。いい線いってるんだけど、けんかしたらパンチ力には欠ける感じ。リストバンドとかしてそうな子でした。おっさんなのに。
結局、バンドはドラムが忙しくなって自然消滅。そのあとも5弦が必要な時はちょこちょこ使いましたけれど、やっぱり普段使いにはそんなに適さないベースだと思います。特にこの安いラインはね。
この前、上のヤマハと一緒に下取ってもらいまして、下取り価格は20000円。どれかというと、この子に一番思い入れがないかも。いや、最初の子の方がないかしら。
【5本目】Vanzandt PBV-R2 V.3TS
画像、多分これだと思うけれど、細かいところがわからない。
ヴァンザンドというこのベース。自分で使う上では、この銀色のパーツは全部外して使っています。この子は今もうちに居ます。
「プレベで、パッシブで、10万代で、上から下までちゃんと鳴るやつ」
というざっくばらんな要求にこたえていただいた楽器屋の店員さんありがとう。お値段中古で17万円。結婚してなかったし、一番お金に余裕があった時期でしたね。
……解説しますと、ベースには大まかに分けて「プレシジョンベース」と「ジャズベース」形があって、そのプレシジョンの形のやつで、というのがまず1点。そして電池が内蔵されているものと、されていないものがありまして、されていないものが「パッシブ」です。電池嫌いなんです。
そんな感じで出会ったこいつ。5年くらいはメインで使っていたんじゃないでしょうか。とってもいい子です。
子供時分は教育ママから、声楽とかの勉強を厳しく叩き込まれており、自我の芽生えとともにちょっと悪い行動も覚えてきたけど、結局根っこはいい子で悪い子にはなり切れない優等生、みたいな。
――いい子なのに、じゃあなんでまた新しいヤツ買っているの? と言われますと、まあその楽器の音にはそれぞれ特徴がありまして。
ヴァンザンドは「ヴィンテージ風」をイメージして作られている楽器なんです。古き良き楽器の音、ということなのでしょう。温かみがあって太くて強い。そんな感じの音です。
そういうベースを使っていたせいなのか、関係ないのか。徐々にもっと「モダン」な音がいいなぁという思いが出てきたんです。
「モダン」っていうイメージを伝えるのは難しいことなんですが、簡単に言うと『音がビンビンする』ということではないでしょうか。こんないい加減なこと書くと怒られそう。
そういう『モダン』な音のベースが欲しい。
そんな思いで、私はしばらくネットを駆けずり回ったわけです。東京だったら、まずお茶の水か新大久保かあたりに行くところですが、地方ではそうはいきませんからね。
【6本目】Fender USA American Standard Jazz Bass
今はYoutubeで色々楽器を弾いているのが沢山見られますからありがたい話です。もちろんこちらのスピーカーに左右されるとはいえ、音を気軽に聞けるという意味では非常にお手軽で便利。
色々めぐった結果、USAのフェンダーなら私の欲しい水準は満たしてくれそう、ということがわかります。
ただ現行のモデルは新品で20万円ほど。正直もう一息かふた息は安いものがいい。中古で探して状態よくなくてもいいからそのくらいで……と思って、行けそうな楽器屋の在庫を端から見てまわるわけです。
ここならこれはある、こっちにはこれはない。
最悪買うのは通販で買うにしても、一度も触ったことがない楽器を買えるほどの度胸はないので、他のシリーズも含めて、店頭在庫があるものを見て回る、見学ツアー計画をたてました。
実は最初は上に出てきた、日向秀和こと「ひなっち」のモデルのベースが欲しいと思っていたんです。ただこれ、上位モデルだと30万円程度しますし、もともと出ている数が少ないみたいで中古があまりない。その上値崩れもしていないんです。
下位モデルであれば、10万円程度で、気安く手が出ますが、果たしてそれで満足いくの? 私。という疑問がずっとあった上に、結局この辺りには下位モデルが置いてある楽器屋が皆無、ということでやめました。これだから田舎は。
そんな計画に基づいて、色々見て回り、ある店にあったのが上の赤い子。
フェンダーUSAの『American Professional II』という現行モデルか、そのひとつ前の『American Professional』の中古を本命で考えていましたが、結局、そのさらにひとつ前の型『American Standard』に落ち着いたのでした。
同じ型の、サンバーストという茶色みたいな色もあったんですけど、いざ実機を見たらこの赤がかわいいな、と魅了されてしまいました。
それほど音に差を感じなかったことと、2つ前の型ということで、割安な値段がついていたことが決め手。お値段は大事ですからの13万円。
打てば響くエリートで、非の打ちどころがない。だからといってお高く留まっているわけでもなくノリはいい。内に秘めたる実力をいかんなく発揮してきて、味方なら心強いけれど、敵に居たら厄介なエースの子。
みたいな。今のところ大満足の買い物です。
前のヴァンザンドを買ったときもこれで最後にしよう、と思いましたし、今回もこれで最後にしよう……と思っていますが、まあどうなることやら。また5年もすれば新しいものが欲しくなるのかもしれません。
できればそんな日は来ない方が財布に優しいので望ましいところです。妻の視線を気にする必要もありませんから(笑
ま、その時もまだ音楽をやっていられれば、の話ですしね。
もしそんな環境に居られたら、まずは感謝しないといけませんね。
そんな私の所有ベース遍歴でした。
――さて、問題です。私はトータルではいくら使ってきたのでしょうか?
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