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たけのこ@マンガライターが2022年7月に読んで面白かったマンガ!

今月は『ONE PIECE』の無料公開があったおかげで、ずっとマンガに追い立てられていたようなひと月でしたねぇ。

本来なら無理して読むようなものではないのでしょうけれど、「ただほど高いもの」はないとは先人の言葉が身に沁みます。
とにかくこれで92巻までは読了いたしましたので、続きも順次読んでいこうと思います。昔はリアルタイムで単行本も買っていたわけですし、大名作であることは間違いありません。とっても面白かったです。

普段それほどマンガを読まない友人たちも『ONE PIECE』『ゴールデンカムイ』は無料で読んでいたりして、共通の話題ができるというのも僥倖でした。「僥倖」なんて小難しい言葉を普通に使うことができるのは『カイジ』のおかげですね(笑

『ゴールデンカムイ』完結31巻が出たのも7月です。

こちらも無料公開では読んでいましたが、推しに課金するつもりで最終巻は購入いたしました。そして、買ってよかったです。
先生もおっしゃっていましたが、結構加筆されていて、連載で分かりづらかった部分がきれいになっていたり、より劇的になっていたり。全然違う!とまでは言いませんが、「だいぶ印象が違う」くらいの加筆があって、無料で読んだ人にこそ単行本のほうも読んでいただきたい作品でした。
もちろん加筆前の段階でも最高の物語であったことは間違いありません。

さてさて、そんな2022年7月面白かったマンガをあげていこうかと思います。


まずはこちら『恋人以上友人未満』

『恋人以上友人未満』

この手のタイトルって結構多い気がするので、最初ちょっと警戒していたのですが、面白かったです。元AV男優と元AV女優がお見合いで結婚する話すでにことをすませているのに、お互いのことは全然知らなくて、ちゃんと知り合っていくのはこれから。

まさに「恋人以上友人未満」な関係性が、結構純粋な恋愛ものとして描かれていくのが心地よい作品でした。わたしの観測範囲では、みんなAV男優時代の「カンブリア牧」という芸名が大好きです。


そして海野つなみ先生の最新短編『スプートニク』。面白かったです!

『スプートニク』

これ1冊で完結しています。
元部下・元上司・元上司の弟という3人がコロナ禍の人生を描きだします。先生らしいどこか理系っぽい考え方で3人がしゃべるだけでも楽しいですが、物語は徐々に動いて、関係性も少しづつ変わって。
コロナ禍という、わたしたちと同じ立場を描いているがゆえにどこかエッセイコミックのようなリアルっぽさがあり、それゆえか気の知れた友人たちの動向を垣間見ているような親しみやすさがあったように思います。

こういうマンガです!と言いづらいとことはあるのですが、とても好きな雰囲気のマンガでした。

そしてシマ・シンヤ先生の新作『GLITCH - グリッチ - 』が1,2巻同時刊行。短編集『Gutsy Gritty Girl』も一緒に出ました。

『GLITCH - グリッチ - 』

相変わらずなこの硬質な絵。

新作はジュブナイルアドベンチャーということで、夏にぴったりの一作です。越してきたばかりの町にはなにやら怪しい影が……。少女たちは町の謎を解明するために調査を始める。
『GLITCH - グリッチ - 』は本当にまだまだこれからですけど、少なくとも6冊くらいは出してもらってアニメになってほしいと思えるキャッチ―な作品です。

短編集もSFや夢や、とにかくいろんな話がありましたし、どれも大きな設定が先に決まっているようで、その世界感にはどれも興味を持たずにはいられません。次作を書くときには、このなかからどれか選んで続きを描いてほしいものです。

前作からも言えることですが、人種や人間以外の存在も含めて多様性にあふれた物語であり、それが全面に出ることはなくとも、どこか多様性というものを意識せざるえない。そんなテーマを含んでいることも、ひとつの魅力といっていいのではないでしょうか。


そして完結しました『まじめな会社員』4巻。

『まじめな会社員』

TLで見かけた「この作品は誰かの救いになったのだろうか……」というつぶやきが印象に残っています。

あからさまにツライ人生を描いているというわけではないんですよね。
理想があって、こうなりたいという思いがあって東京にしがみついているのに、実際には思うようには全然進まない。そのうちコロナも流行して余計息苦しい世の中に。いつしか年齢と脂肪ばかりが積みあがっていく。

真綿で首を絞められていくようなこの感覚には身に覚えのあるかたもいるのではないでしょうか。最後こそ前向きにしめていたものの、こんな「普通であれば物語になりえないリアル」を描いたマンガにはなかなか出会えないと思いました。




そしてこちらも最終巻。台湾マンガの先鋒『用九商店』5巻。

『用九商店』

台湾マンガに関しては今年はいってから本当に沢山日本にはいってきているので、必ずどこかで目にする機会がくると思います。向こうで出た作品の翻訳や、日本の雑誌に連載しなおしたり、直接日本の媒体で連載したり。
入ってきかたは多様ですが、なにせどれも面白いです。

日本の今と比べて考えると「少し前の時代」なイメージを感じることが多いです。この『用九商店』でも、人間同士のつながりの強いよろず屋のお話ですから、ひと昔前の田舎のイメージですよね。
そんな要素は、現代にいきるわたしたちにとっては「なつかしさ」となってもどってきます。舞台は台湾ですし描かれているのは現代。懐かしいと感じるはずがないのに懐かしい。そんなちょっと不思議であったかい感覚にとらわれるのではないでしょうか。

大好きな作品でした。ぜひ、次作も期待しています。

あと台湾マンガに関してebookjapanで特集記事を書かせていただいたので、興味ある方はこちらもぜひどうぞ。


さてだいぶ長くなっていますが、あと少しだけ。
7月は2巻がなんだか沢山出ていたイメージですが、そのなかで1巻もさることながら2巻も面白かったのが『ガクサン』2巻。

『ガクサン』

学習参考書をテーマとしたマンガです。
学習参考書の出版社で、相談員として働く主人公。そして知識はひと一倍だけれどパワハラっぽい感じの男性上司。このパワハラっぽい感じが1巻の段階でちょっと話題になっていましたが、2巻では実際すでにそんな経緯もあったんだよ…という感じで設定をきちんと回収していましたね。

固くなりそうな話題なのに楽しく読むことができる。参考書のことを好きになれる。そんな稀有なマンガです。この巻は参考書の編集というお仕事について知ることができる巻でもありました。

学生のころに読んでいたら、もうすこし参考書に対する目線が変わったんじゃないかなぁ。たぶんそんな価値観を変えてくれるかもしれないマンガだからこそわたしは好きなんだと思います。



そして今月、個人的に一番の大穴『生活保護特区を出よ。』1、2巻です。

『生活保護特区を出よ。』

わたし電子書籍派なのであまり伝わらないのは悲しい限りなのですが、この装丁かなり凝ってますよね。鉛筆の下書きあとがあったり、やすっぽい写真に、キャラ絵の切り抜きがはってある素人くささ。この手作り感あふれる感じを狙ってやっているのはあっぱれです。

話はディストピアのお話なんですよ。
東京には「生活保護特区」という隔離地区があり、通常生活が困難な人などが強制的に集められていた。そんな時代のお話。
普通の女子高生だった主人公は学校の成績は不振でしたが親元で暮らしていますし、生活困難者ではありません。しかし彼女のもとにもある日突然、特区への召喚状が届きます。

そう、つまり「生活保護特区」と人権の保護のためのように銘打たれているものの、実際には「使えない人間」「役に立たない人間」「邪魔になる人間」などを特段の審査もなく強制的に隔離するしくみに他ならないのです。

そんな場所に送られた主人公は住むところはあてがわれ、同居人の助けを得ることはできるものの、やはりそこにいる人は大きな闇を抱えている人ばかり。前向きに生きる人もいれば、ただ安眠をむさぼるばかりの人もいる。不器用にしか生きられらない主人公も他人事ではありません。

ただ生きることだけは許された世界で、彼女たちはなにを考えるのか。どう生きるのか。これが刺さりすぎる人いると思います。今後の進み方によるところはあると思いますが、個人的にもかなりの衝撃作でした。


あとはまとめて紹介だけで。

藤本タツキ先生の『さよなら絵梨』もすごかったし、『ババンババンバンバンパイア』の2巻も良かったですねー。『サマータイムレンダ』が大円満で終わって、スピンオフみは強いもののその正統続編『サマータイムレンダ2026 未然事故物件』も素敵。
『私の息子が異世界転生したっぽい フルver.』3巻も良かったですね。元と違って勢いで飛ばしてきたところにちゃんと向き合っていく感じ。あと旧作ですが、『水曜日のトリップランチ』も面白かったです。おいしそう!


以上そんな感じの2022年7月でしたー!!
また今月もマンガを読むとしましょうか。

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たけのこ
「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)