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sika_ring
海辺にて我ら弥立つ【旅する日本語】
――ああ、まるで昨日のことのように思い出せる。
島津の軍勢は1万。かたや我らは3千がせいぜい。割腹も覚悟した我らの手元に残されたのはコレひとつ。使えば千里の先へも知らせが届き、遥かな島々から援軍が駆けつけるとの言い伝えがある伝家の逸品。わらにもすがりひと吹きすると、地鳴りのような音が鳴り響き、木々を揺らし、海を揺さぶり、空を割る。
心は弥立つが、しばし何の反応もない。しだいに島津も迫りくる。――やはりダメかと覚悟したその時。……それは現れた。遠く、沖縄という島の猛々しい海人の軍団が。その数20万はくだらない。我らは阿吽の呼吸をもって島津の軍勢を挟撃。そのまま休むことなく都に攻め入り、わずか2日にしてこの国を統一。翌週には月までもひとっ飛び。巣くう巨大なウサギたちまで駆逐し、完膚なきまでに叩き潰してやったのだ。
――ん? 盛りすぎではないかって?
まぁいいだろ。ホラ貝の話なんだから。
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