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泣きたくて泣いてるわけじゃない

 次男がまた泣いている。

 2歳の彼は自我も芽生え、好き嫌いもはっきりしてきた。3つ上の兄がいるので、その後をやたらとついて回るし、その真似をする。しかしちいさなその体ではまだまだできないことも多い。
 長男は決して乱暴な性格ではないけれど、自我を大きく成長させている時期であるのは彼も同じ。結果、お互いのエゴがぶつかり合う日々だ。
 そして今日も次男は泣かされている。

 あまりこういう評をするものではないと思うけれど、彼の不機嫌なときの言動は、世間的な「子供」のイメージに近いと思う。
 泣き出すと、途中から自分でもなんで泣いているのかも良くわからなくなっている。そうやって泣いている自分に余計腹がたち、輪をかけて機嫌を悪くする。手を差しだしても払いのけられてしまう。しばらく様子を見て、時間をおく以外、もうどうにもならない。

 長男のときを振りかえると、だいぶ雰囲気が違ったなぁと懐かしくなる。当時は彼しかいなかったのもあるけれど、どちらかというと生まれもった性格がそのまま違いになっているのだと思う。彼はあまり「泣きわめく」とか「かんしゃくを起こす」こと自体がなかった。
 だから次男のこのかんしゃくぶりには戸惑ったものだ。しかしそんな私でも、最近はちょっとわかってきた。

 結局、彼だって別に泣きたくて泣いているわけではないのだ。

 泣きはじめはともかく、泣き出してからなんて、自分自身の気持ちすらわかっていない。わかっているのは『何か』が不快であったということだけ。それならば、そこから気持ちを少しだけずらしてあげればいい。

 手をさし出すような顔をしながら近づいて、急に逃げだしてみる。払いのけられた手に大げさに吹っ飛んでみる。意味もなく目の前で転んでみせる。謎の踊りを踊ってみる。そうやって彼の予想外の行動をとって混乱させるのだ。大抵はすぐに涙を浮かべながらも笑ってくれる。
 もともと親の仇、と思って泣いているわけではない。1回ですぐに機嫌もコロッとよくなるというほど単純ではないものの、長引かせたくないのはお互い様なのだなぁと思う。

 こうやってうまいこと機嫌を取ることができるようになってから、下の子は私に優しい気がする。私が道化になることで、彼も私も、うれしいのなら、いくらでもやってやろうじゃないか。――と、そんなことを最近意識している。



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たけのこ
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