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「恋愛」だけでも「部活」だけでもない!増えゆく「青春」のマンガたち【#マンガの話がしたい】

最近「青春マンガ」とでもいうべき作品が増えているような気がしている。

「青春マンガ」というのはわたしが勝手に言っているだけのジャンルなのだけれど、少年少女が主人公で、そこには恋愛や部活や学校生活、友人たちとのやりとりが中心に描かれ、エピソードによって恋することも部活にうちこむこともある。でも、どれかひとつにしばられない
「恋愛マンガ……?いや、部活マンガか……?いや、そうだな――、あえて言えば『青春マンガ』かな」という感じで、なにかひとつのテーマにしばられず、若さゆえのキラメキそのものを主眼として扱っているマンガのことだ。


たとえばアニメ化も決まったジャンプ本誌の作品『アオのハコ』

連載しているのは週刊少年ジャンプとはいえ、気になる先輩とひとつ屋根の下、という恋愛マンガの常套句みたいなはじまり。実際、恋愛要素はこの作品の大事なポイントだ。
ただしそれだけではない。先輩はバスケ、主人公はバトミントンと、それぞれが部活動にうち込む「スポーツマンガ」としての要素もこのマンガを彩る大切な要素になっている。それこそ比率で言ったら、「6:4」くらいで「恋愛:部活」になっているのではないだろうか。

その比率のせいか、読後感的に「恋愛マンガを読んだ」というよりも、「青春の甘酸っぱい空気を吸った」という感覚におちいる。


そして、サンデーからはこちら『小さい僕の春』

先日最終巻となる3巻が発売されたところ。
たがいにバレーボール部に所属する、背のちいさい主人公と、背の高いヒロインによる恋愛マンガだ。バレーという背の高さが重宝されるスポーツに打ちこんでいるからこそ生まれるコンプレックスなんかも手伝って、ヤキモキする距離感から目が離せない。

こちらもおそらく「恋愛マンガ」ということで間違ってはいない。ただ、自分で書いてて違和感を感じる程度には、ちゃんとバレーボールもしている。そしてタイトルに「春」とあることからも、「青春を描く」という意識がやはりあるのだろう。


もうひとつ、これも「青春マンガ」でいいのではないかと思っているのは、『正反対な君と僕』

陽キャの鈴木と、陰キャの谷くんによる「正反対」なふたりの恋愛がメインなのは間違いない。

ただ、早々にふたりはつきあうことになり、関係性を深めるフェーズにはいる。ふたりだけじゃなくて、その周りの友人たちを描くことも増える。もちろんそっちはそっちで恋をしていたりするのだけど、感覚としては群像劇……それも、「青春群像劇」というのが自分の感覚に近い気がしている。


恋愛という要素が中心にありながらも、決してそれだけがメインというわけではない。ほかに部活などの別の軸があったり、そこにまつわる友人関係や悩みなど、もはや「恋愛」だけでは語れない青春時代のキラメキを描く作品群
もはやこれは「恋愛マンガ」というくくりでは語れない。やはり「青春マンガ」と呼ぶのがふさわしい。そう思わざるえない。

いい加減ながら考察、というか、「なぜ青春そのもの」を描く作品が増えているのか……というのを考えてみた。
――いや、本来はそもそも「青春マンガが増えているのか?」というポイントから考えるべきなのだが、そこは置いておく(笑 前提として青春そのものを描いているマンガが増えているとして、「なぜ、『青春』を描いたマンガが増えているのか」。

その答えは、マンガを好んで読む層が、総体として高齢化したことによって、「青春」というものの価値があがっているせいではないだろうか

自分自身の年齢が、いわゆる青春とよばれる年代から遠ざかるのに比例して、その二度と返ってこないきらびやかさや、若さに対する憧れ、羨望の思いはいやがおうにも強くなる。そして、自分にはもう手に入らないからこそ、「青春」の空気を接種したい、追体験したい、という強い欲求につながりえるのだ。

ひと昔前は、マンガは若い人が読むものだった。いつの間にか大人も読むようになり、今では一部の大人しか読んでいないのではないか疑惑すら出てきている(言いすぎなのは百も承知
「『鬼滅の刃』のおかげで、マンガは10年生きながらえた」(若い読者を増やすことができた)という言説はあるものの、若いマンガ好きの読者数は減少の一途をたどっていることはおそらく間違いない。

結果、マンガを好んで読むボリュームゾーンはどんどん高齢化。表立って公言することはないにしても、若かりし青春の日々への憧れは日増しに高まる。そんな時代だからこそ「青春」というジャンルを描くことの価値も比例して高まっているのではないだろうか。

「恋愛」は大人だってできるけれど、「青春」は大人にはできない。
マンガのなかくらい、めいいっぱい青春を感じさせてくれてもバチはあたらないだろう?そんなことを、高齢化してきた読者のひとりとして思わないではない今日この頃だ。


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