幸せのナイトクルージング
7月最期の週末。世間は夏真っ盛り。
でも山間のこのホテルでは、日が落ちてからは少しひんやりするくらい。窓辺に立つと、夜風がゆるやかに入ってきて心地よい。昼間に飲んだお酒がまだ残っているせいか、火照る身体を優しくなでてゆく。
入ってくるのは風だけではない。
ここはすぐ横で音楽フェスが行われている最高のロケーション。抽選に当たったときは一生分の運を使った気分だった。夜も更けてきて、大きなステージではもう演奏は行われていないけれど、DJの流している曲が風に乗って流れてくる。
そう、この曲は確か……『ナイトクルージング』。ちょっと古い曲だけど、今でも人気のある曲だ。緩やかなテンポにつられ、自然に体がゆれる。
傍らでは眠る子供たち。一日歩き回ってさぞ疲れただろう。例によってお腹も丸出し。後で直してあげないと。
まどろむ意識に『幸せ』という単語が浮かぶ。
願わくばこのまま、時が止まってくれないかしら。
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「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)