たけのこ@マンガライターが2022年6月に読んで面白かったマンガ!
もう1週過ぎてしまいましたが6月の面白かったマンガを書いていこうかと思います!
まずは新刊の1巻群から!
『眠くなる前に話したいことがあと3つあって』
ちろ先生の原案を、はしゃ先生がコミカライズ。恋人たちの投げやりで愛のあるやり取りが沢山収録されております。
この「投げやり感」っていうのがすごくいいんですよね。気を許せているからこそそこにある「投げやり感」。単に投げやりなだけでなく、同時にそこには愛もあるからこそ見ていて心地よく感じられることができる。
普通のストーリーものではなかなか形になりづらい、何気ない二人の日常を描いているからこそ見られるこの感じ。好きです。
『黄泉のツガイ』
荒川弘先生の最新作。
わたしは基本的にアクションものはいったん置いておくクセがあるのですが、これはとりあえず一度手に取ってみないわけにはいかないでしょう。という思いで買いました。そしてやはりその圧倒的な実力の前に打ちひしがれたのでした。
田舎村のファンタジー要素アリの時代物……そんな感じで読みはじめたにもかかわらず、さっそうと読者の予想をおおきく裏切ってくれる力強さ。そして謎の多い話なのに振りおとさないで持って行ってくれる安心感。これまで通りの魅力的なキャラや迫力のアクションなどももちろん搭載。
すでにアニメ化は決まったようなものでしょう。
……実写映画化? ん?例の作品の興行成績はどうでしたっけね。ああ……(調べた)。たぶん慎重な判断がされるかと思います(笑
『推しの肌が荒れた ~もぐこん作品集~』
もぐこん先生の作品集。
アトピーややせすぎた体形など、コンプレックスと密接につながっていそうなテーマを扱っており、その分深く刺さる人も多いでしょう。絵柄も全体的にほの暗く仕上がっているのが、よけいその目をそらしたくなる感覚を助長しています。
見たくないけれど、見たい。そんな相反する感情を味わうことができるのではないでしょうか。
『花四段といっしょ』
『バクちゃん』の増村十七先生の最新作は将棋の棋士もの。
もちろん将棋を指すシーンは沢山出てきますが、花四段はどんなときでもマイペースで頭の中ではまったく違うことを考えていたり。本格将棋ものとは対極にあるような花四段のゆるい日常をおった作品です。
なによりも花四段という存在が愛らしい。ぬぼーっとして散らかった机の上で、甘味をたしなむ。この表紙の感じがそのまま中身にもつながっていますので、これをみてビビッと来た人は是非。大好きです。
そしてこの辺から新旧合わせたホラーのゾーン!
『みなそこにて』
ある田舎町には人を食う人魚が出る。そんなよもやま話は言い伝えだけであればよかったのですが、実際にそんな人魚がいる田舎のお話。
きままに食用として人間を食べるだけではなく、来た人間をその街に染めあげる。そんな独占欲の強い人魚の街の物語。外から来た子もいつのまにか人魚を普通に受け入れる町の子供に染まっていく。そんな忍び寄る恐怖を繊細な筆致で描いています。
『君のくれるまずい飴 冬虫カイコ作品集』
上に書いた『みなそこにて』の冬虫カイコ先生の過去の作品集も面白かったです。
人間生きていると、正直倫理的にはどうなんだろう、と思うヒドイこともときには頭に浮かぶことってありますよね。それを世間に公表したりすると炎上とかしますので、表に出すようなことをしないのがいい大人のたしなみですが。
でもそんな思いが自分にあるって、ある意味とても怖いことじゃないですか? その気持ちに自分が乗っ取られる可能性もあるってことですよね。方向を間違ったらいつか自分が無差別殺人のようなことを起こしてもおかしくないんじゃないか。そんな火種のような気がしてきませんか。
今作には人外や人魚も出てきますけど、怖さのポイントはそんな誰にでもある火種を拾いあげ、見せつけられる部分です。だからこそ誰しもがこの作品につき刺されるはずです。
『君が肉になっても』
タイトルそのまま。ある日友達が人を食う肉のかたまりになってしまったら。あなたはどうしますか?
急にそんな怪物になってしまって、手も付けられなかったら素直に見捨ててしまう、というか何もできないで終わってしまうこともあるでしょう。
今作では、ある程度おなかが満たされたら人間に戻る。それに飢餓感は増えるものの他のもので満たせないわけじゃない。満たされているうちは怪物にならないですむ。人間を食べなくてすむ。
そんな危うい状態だからこそ、彼女は友達に付きあい、手を差し伸べる。しかしそこにはなにかの解決策があるような、明るい未来が待っている旅路ではないのでした……
1巻で終わってしまっているのは、ちょっと物足りないものの、友情と切なさの凝縮したいいホラーです!
『四丁目の夕日』
いろんなところから「トラウマ」だなんだという噂を聞いていたので、いつか読みたいなぁと思っていたところ、電子書籍が安くなっていたので購入。噂にたがわぬトラウマ作品でした。
印刷所をいとなむ家族のお話なのですが、とにかく救いがない。そのうえエグイ。絵的にも話的にもかなりグロイ。これは何気なく本棚に置いておけるような本じゃないなと思いました。話は良くも悪くも場当たり的な部分もあるのですが、そういう雰囲気も含めて生々しい感触があります。
グロいものがお好きな方は一度手に取ってみる価値のある作品でしょう。
そして今月は『宝石の国』の無料公開があって、こちらも大変楽しませていただきました。連載再開にあてての無料公開ですね。とっても面白かったです!
『宝石の国』
昔、1巻を読んだときには、ちょっと難しくて読むのやめちゃっていたんですよ。そしてこのたび読み直しても多少とっつきづらさがあったのは確かですが、読み進めれば気になる気になる引きこまれる。これSFなんですよ。そう気がついたときには虜になっていました。
まだこれから大山がありますから、楽しみに続きを追っていこうかと思います。
そしてまとめて『サマータイムレンダ』も全巻読みました。
『サマータイムレンダ』
『サマータイムレンダ』は長いこと面白いんだろうなぁと思いながら横目で見ていましたので、この機会に堪能させていただきました。こちらもまーおもしろろくて。
タイムループものとでもいいましょうか。幼馴染のお葬式のために地元の島に帰った主人公に次々と不可解なことがおこり……と。そんなSFアクションサスペンス。
正直、行って帰ってが激しく理解していないところもあったかと思いますが、それでも十分楽しくて最後まで一気に読んでしまいました。ここ最近では珍しく……いや、珍しいってこともないですが、とにかくグッとつかまれて最後までグイグイ読まされた作品でした。
今月、正統続編のスピンオフみの強い作品も出ていますので、『サマータイムレンダ』が面白かった人は是非そちらもどうぞ。
そして古いものですが、わたしの琴線に突き刺さったのがこちら。
『縁の手紙』
韓国発、ウェブトゥーンからのフルカラーマンガです。
主人公の女の子がいじめにさいなまれ転校するところから始まります。その転校先の学校で、不思議な手紙を見つけ、その手紙のなぞを追っていくジュブナイル作品です。
途中に出てくるイラスト風のカットがとにかくかわいいのが印象的で、たぶんそういうのが本職の人なのかなぁと勝手に想像したり。手紙のなぞをおっていくうちに、少しづつわかっていく込められた思い。この展開に涙しない人はいないでしょう。
とても読後感のよい作品ですし、フルカラーで本棚においておきがいもありますので、ちょっと値ははりますがぜひ読んでみてください。
そして既刊で最高だった作品たち。
『BADDUCKS』4巻
ついに完結の4巻でした
3人の逃亡劇はここにて完結。話がどうとか絵がどうというよりもとにかく「キャラクターの強さ」が際立っていたように思います。それぞれが信念を抱き、大事なものを抱え、そのなかでもがき苦しみながら良いと思える方向にかじをきってゆく。
そんな一人一人のキャラクターがわたしたちにとってほっておけず、魅力的に映ったからこそこの作品は素晴らしい作品だったように思います。
4巻完結であることがわりと早い段階からわかっていたのも個人的には好感触でした。
先生の次回作も楽しみにしております!
『EVOL (イーヴォー)』4巻
最後に紹介するのは『EVOL (イーヴォー)』。
4巻ですのでわたしもずっと追ってきているのですが、最高です。最高傑作。先生はこれまでもずっと力強いアメコミにインスパイアされたタッチで、大きな謎を展開するかたちの作品を書いてきていましたが、この作品がこれまでで一番読みやすく、限界を突破した感じすらあります。
前作の『サーチアンドデストロイ』もかなり良かったので、あのあたりでなにか変化があったのかもしれません。
まだ既刊4巻ですから、この機会にぜひとも読んでいただきたい作品です。大好き。もちろんわたしの基準ですが今年の10本指にはまず入ってくると思います。
まとめ
というわけで、6月はこんな感じでしたー!
今回、ちょっとゆるい感じで書いていたら逆に長くなってしまいましたね……。あ、あのだからちょっとスジとかゆるい拾い方になっている可能性あるので、ご容赦くだされ(笑 本業がいそがしくてね……(苦笑
さて、今月ももう3分の1は過ぎ去っておりますが、沢山マンガを読みましょう!
「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)